誰かを愛しむことはいつも悲しみを育てることになる
\ 誰かを愛しむことはいつも悲しみを育てることになる /
かつて日本人は『かなしい』を
「悲しい」と書くだけでなく、
「愛し」と書いて「かなし」と読んだり
「美しい」と書いて「かなしい」と読んだりした。
『かなしい』のそばにはいつも
慈しむ心が生きていて
そこには美としか呼ぶことができない
何かが宿っている。
ここで言う美は華美や華麗、
豪奢とはまったく関係がない。
不況であっても
日々を懸命に生きるものが放つ
光のようなものに他ならない。
悲しいということが
「誰かを愛しむ」ことであり、
悲しいということが
「美しい」ということだ。
そしてそれは
光を放っている。
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著者:若松英輔さん
作品:悲しみの秘義(文春文庫)より
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