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こんな時だから。人はなぜ旅に出るのか、初心に返らせてもらった本を紹介します。

外貨獲得のために増やせ増やせと言われていた観光客は、一転ウィルスを持ち込むバイキン扱いとなってしまいました。
悲しいニュースを聞く度に、もう観光なんて必要ない産業と言われている気がしてしまいます。
このまま自粛が続けば、多くの同業者たちが廃業し、地域の魅力は激減してしまうでしょう。
考え始めると暗い気持ちにしかならないので、映画を観たり本を読んだり、脳が少しでもクリエイティブな方向に働くようにしています。


そんな時、両親から「これは芙美子のことだ!笑」と勧められたのが『さいはての彼女』(原田マハ/角川文庫)。

観光関係の方は今比較的時間があると思うので、この機会にぜひ読んでいただきたいと思って紹介します^^

仕事はデキルけれど、どこか傲慢で自分勝手な女性が旅を通して変化していく様が描かれた短編小説集。
一晩で読めてしまう、読みやすく爽やかな1冊です。
これを読めば、旅するアラフォー女子の心が少しはわかるようになるかもしれません(笑)

主人公はみな首都圏の方なので違う部分も多いのですが、子どもを産む前の私はあんな感じだったなぁ、ワカルワカル、という女性たち。
旅に出る動機や一人旅の時の心の動きなんか、自分のことのようでした。
観光を生業としてみると、ついつい忘れがちなのですが、そうだよな、旅ってこういうことだったよな、道東の良さってそこだよなと、純粋な心を取り戻した爽やかな気分です。

==ぜひ読んでもらいたいのはこんな方==

・道東に縁のある方
女満別空港、知床峠、相泊温泉、釧路湿原、伊藤タンチョウサンクチュアリなど身近な地名が出てくるので、知っている方はそれだけで楽しいです^^

・ターゲットは女性だ!という議論に具体的イメージが持てていない観光関係の男性
そういう議論の時、私はいつも、女性って誰?と突っ込んでしまいます^^;
物語の中では、収入もリテラシーも高い独身女子が旅に出る心理が描かれているので、ぜひ生の声に触れて頂きたいです。
男性が共感できるものかはわかりませんが、少なくとも私はわかるわかる!!ということばかりです(笑)
こういう心理を理解して受け入れてくれたら嬉しくなっちゃう(*´▽`*)

・アラフォー女子
仕事を頑張って来た女子にはビンビン共感できるお話ばかり。
読み終わる頃には旅に出たくなっちゃう^^

・バイク乗り(特にハーレー)の方
ペーパーライダーの私でも風を感じる爽快なシーンが随所に登場。
土地を知っているからこそ、風景まで見えてきてウキウキしてしまいました。
バイク乗り同士の温度感も伝わってきて、温かく懐かしい気持ちになります。
ハーレーのマニアックな話題も多いので、バイク好きな方はまた違った楽しみ方ができる事でしょう^^


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オンラインで充分つながれて色々な事ができるんだし、災害や伝染病の度にこんなことになるのでは観光業なんてやってられない…
そんな事が頭をよぎった私でしたが、本を読んで、何だか少し光が見えたような気がします。
アフターコロナは、むしろ観光の価値がもっと上がるでしょう。
その時私たちに何が提供できるのかが問われます。
そして人間が考え創り出すものよりも、本来土地や自然が持っているものにこそ絶対的な価値があるのだということを改めて認識しました。
日本最北の島であるという北海道の地理的条件と、圧倒的なスケール感、新しく開拓された土地だからこその人の気質…
素晴らしい資源におごることなく、来る方の気持ちに寄り添ってお迎えできる大地へと、さらに進化するチャンスなのかもしれません。

今おうちにいるのは、また気持ちよく旅ができるその日を早く迎えるため。
また会うためのStayhome^^

そう思えば何とか頑張れる…気がしてきます♪
北海道観光に関わる皆さん、共に生き残って、もっと素敵な北海道にしていきましょうね^^


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