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ビル・ゲイツの語ったインターネット

昨日も少し紹介したビル・ゲイツの『ビル・ゲイツ 未来を語る』(95年)から、アンダーラインを引いた部分を引用させていただきます。

(情報スーパーハイウェイ構想について)

ネットワーク上で展開される多種多様な活動を形容するには、「ハイウェイ」よりも「究極のマーケット」というメタファーのほうが適切だろう。証券取引所からショッピングモールにいたるまで、市場(マーケット)は人間社会の基盤であり、ネットワークというこの新しいマーケットは、最終的に世界の中心的な百貨店になるとわたしは信じている。
社会的動物であるわれわれ人間は、そのマーケットでものを売り、交換し、投資し、値切り、新製品に目をとめ、議論し、新しい人々と出会い、暇をつぶすことになる。
「情報ハイウェイ」という言葉を聞いたら、一本の道路をイメージするかわりに、取引所や市場を思い浮かべてみてほしい。ニューヨーク証券取引所や青物市場の喧騒、あるいは魅惑的な物語や情報を求める人々でごった返す大書店を想像してほしい。十億ドルの取引から不純異性交遊まで、ありとあらゆる種類の人間活動が生じる場所。取引にはたいてい金銭が関係するが、それは通貨ではなくデジタルなかたちで決済されるようになるだろう。金銭のみならずあらゆる種類のデジタル情報が、このマーケットにおける新しい交換媒体になる。

『ビル・ゲイツ 未来を語る』より

クリントン政権当時、アル・ゴア副大統領が訴えていた「情報スーパーハイウェイ構想」についての言及です。もともとこの『ビル・ゲイツ 未来を語る』は、情報スーパーハイウェイ構想後の世界について語られた本で、カバー写真もそれを示唆するものとなっています。

そして情報スーパーハイウェイ構想(クッソはやいインターネット網)がもたらす未来図を、ビル・ゲイツがメタファーのレベルで再定義しようとしたのが、上記の引用。

これ「インターネットってなあに?」の質問に対して、「究極の百貨店だ」と答えているようなものなんですよね。双方向のなんちゃらとか、マルチメディアの云々とか、当時いろいろ言われていた「メリット」を、ぽーんと飛び越えて、「ニューヨーク証券取引所」や「青物市場」、あるいは「魅惑的な物語や情報を求める人々でごった返す大型書店」を想像すればいいのだと主張する。要は、インターネットは「交換の場」なのだと喝破する。

そして交換する「財」は金銭にとどまらず、「あらゆる種類のデジタル情報が、このマーケットにおける新しい交換媒体となる」と語るわけです。

このへん、ものすごく本質的な議論だと思うんだよなあ。