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「義務」から「約束」へ。

少しだけ早めに起きて犬と散歩した日は、なんだか調子がいい。

こう書くと、健康についての話だと思われるかもしれません。早起きと適度な運動。仕事に疲れたメタボリックな中年男性が、少しだけ健康に目覚めた話だと思われるかもしれません。ぼくも犬と暮らしていなかった去年のいまごろなら、そんなふうに理解していたでしょう。

でも、違うんですよ。からだが気持ちいいんじゃなくって、こころが気持ちいいんです。犬と一緒に散歩をした朝は。

これってなんだろう、とずーっと考えていたんですけど、なんとなくわかった気がします。ぼくの場合はたぶん、「約束を守ったこと」が気持ちいいんですね。

ぼくにとって犬と行く朝の散歩は「義務」ではありません。雨ふりの日はもちろんのこと、仕事の都合によって行かない日も多いですし、そこへの罪悪感もさほどありません。でも、なんとなく犬に対して「行ける朝には行こうね」と約束している。そんな感覚です。

その約束を守ったことが、約束のために少しだけ早起きしたことが、なんだかやたらと気持ちいいんですよね。


これって日常のストレスを軽減していく、いいヒントになるかもしれません。つまり「義務」のように考えているいろんなことを、「約束」だと考えなおすんです。

たとえば毎朝定時に出社する。これを「義務」ではなく「約束」なんだと考えてみる。歯を磨くのも、ヒゲを剃るのも、お風呂に入るのも、ぜんぶ「約束」だと考えてみる。部屋や机を整理整頓すること、請求書をちゃんと出すこと、経費精算をちゃんとやること、なんでも「約束」なんだと考える。

もしもそれが「義務」であれば、すべては「やって当たり前」であって「やらなきゃ怒られる」だけのこと。あんまりモチベーションが上がりません。ところが「約束」だとした場合、それを守ることによって誰かがよろこんでくれるのかもしれず、少なくとも約束を果たしたのだ、という満足にはつながる。


「義務」から「約束」へ。

誰からも怒られず、守ればよろこばれるばかりの世界。

これ、なかなかいいんじゃないかなあ。

武士は食わねど高橋ジョージ。
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ライター。バトンズ代表。著書・共著「嫌われる勇気」「古賀史健がまとめた糸井重里のこと。」「20歳の自分に受けさせたい文章講義」など。週日更新しています。http://www.batons.jp

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