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なにもできなかった2か月間。

ほんとうに、それはほんとうなのだろうか。

いまのところの予定だと来週末、ぼくは去年の春からずっと書き続けてきた原稿の、第一稿を書き終えることになっている。最終章も折り返し地点に差しかかった。ここから最後の節まで、なにを書くかも決まっている。「はじめに」と「おわりに」の姿はまだ見えていないけれど、そのへんは推敲の段階でまた明らかになってくるだろう。


はじめての著書『20歳の自分に受けさせたい文章講義』を上梓した、8年前のこと。「本が出たら、取材やプロモーションで忙しくなるはずだ」。勝手にそう判断したぼくは、刊行から2か月ぶんのスケジュールをガラ空きにしていた。いくらでも取材に応じよう、書店さんからお声がかかれば全国どこだろうと飛んでいこう、と待ちかまえていた。しかし、この本についての取材は1件も入らなかった。刊行から2年〜3年経ってからいくつかのラジオ番組に(この本をテーマに)お呼ばれしたけれど、けっきょく紙媒体やウェブ媒体からの取材はひとつも入らなかったと記憶している。あの、なにもない2か月間の気恥ずかしさは、いまでもよくおぼえている。

で、ひるがえって今回。

現在のところぼくは、いま書いている本が刊行されたあとの予定を、ひとつも入れていない。取材やプロモーション用にスケジュールを空けているのではなく、「これを書いちゃったらもう、その先なにをしたらいいのかわからない」のである。

来年おれはどうするんだろうなあ。

本が出たらきっと、答えが見えてくるのだろう。やりたいことなのか、やるべきことなのか、なんだかわからないけれど見えてくるのだろう。それを期待してひとまず、来週末まで走り続けよう。