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わたしのインフルエンサー計画。

先週末、数か月ぶりに病院に行った。

常用している薬がなくなったので、それをもらいに行ったのである。病院はさすがの厳戒態勢で、入口と出口(普段は非常口のように使われている)を別にして、両方の自動ドアを開放して換気し、入口と出口のそれぞれに消毒用アルコールを設置、待合室のソファも3分の2が「×」印の紙が貼られ、ソーシャルディスタンスを保つよう注意書きが添えられている。数か月前とはまるで別の空間だった。

来院者が少ないこともあり、ほどなく診察室に案内される。十数年来お世話になっているかかりつけ医の先生は、ぼくを一瞥するなり言った。



「コロナ太りですね?」



リモートワークが中心になり、運動不足が慢性化してきた中年層に、多いのだそうだ。なるほど現在、腹が出ている。正面から鏡を見るばかりでは気づかないが横向きに鏡を見ると、ぽこん。見事に腹が、出っ張っている。首と顎のラインが一体化している。そういえば最近、家で飲むことも増えてきたし、満腹のもう二歩先くらいまで食ってたよなあ。自分の身にこんなことが起こるなんて、考えもしなかったよ。なんというか鏡に映るおれの姿、虚弱な橋本真也だ。


そこで一念発起したぼくは、昨日から減量作戦を開始した。


若い人たちにとって、ダイエットに励んだり、ファッションに気を遣ったり、髪の毛をセットしたり、あるいは薄毛に悩んだりすることのすべては、「モテ」に直結している。

しかし、正直いまのぼくはもう、直接的な「モテ欲」をなくしている。今後の人生において、何十・何百という素敵な異性たちと素敵な関係に発展したいとは、まるで思っていない。そのへんのいっさいがっさいを面倒くさく感じる草食系中年だ、ぼくは。

けれどもやはり、周囲の人びとに「きゃー」とか「ぽっ」とか「きゅん」とか「うほっ」とかのインフルエンスを与えられるわたしでありたいと思っている。なんというか、モテたいのではなく、素敵でありたいのだ。男性女性のいずれから見ても。

そしてまた、「素敵でありたい」は自分に客観の眼を向け続ける、ほとんど唯一の方策だと思うのである。