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乾いた空気と、神話のなかの人たち。

空気が乾燥してきたのだろうか。

このところ、わかりやすく頭がかゆい。毎年、秋から冬にかけてのこの時期に悩まされる、けっこうな大問題である。もしかすると10代、すくなくとも20代の前半から薄毛におびえてきたぼくは、そこそこに「いい」シャンプーを使っている。髪や頭皮によくない成分を排した、むしろ頭皮の血流をうながす成分の入った、美容院推奨のシャンプーを長年使っている。シャンプーが合わないせいではなく、空気の乾燥がいちばんの原因なのだろう。

以前、イギリスに短期留学した友だちに「そっちの暮らしはどう?」と訊いてみたところ、第一声として返ってきたのが「頭がかゆい」だった。空気がおそろしく乾燥していて、喉が痛いし、頭がかゆい。なるほどたしかにそれは、むこうに住んでみないとわからない実感である。海外生活の経験をもたないぼくは、いたく感心してしまった。

といって思い出されるのが、以前に「100分 de 名著」のテキストで読んだ古事記に関するお話である。丸山眞男によると、創世記的な神話はおおきく「つくる」「うむ」「なる」の3つに分けられる。ユダヤ教やキリスト教のように、神さまが人間を「つくる」物語。あるいは男女の神さまが交わった結果、人間を「うむ」物語。それに対して日本の神話では(人間の始祖たる神々が)なにもないところから生まれ出る。つまり「なる」。この形態は、日本をはじめ、太平洋岸一帯の湿潤な気候をもつ地域に共通してみられる発想なのだという。ここで生まれ、ここで育っているからわからないけど、ぼくらはとっても湿気の多い地域に住んでいるのだ。

なお、頭のかゆみが限界に達したときには、下手にヘアトニックを使うよりもシャンプーを変えたほうがいい。フケやかゆみに特化した、「コラージュフルフル」という薬用シャンプーだ。

そういえば最近、犬もかゆそうにしているけれど、乾燥してるのかなあ。

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