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パンは粉もんにあらず。

粉もん、ということばがある。

お好み焼き、たこ焼き、うどん、焼きそばなど、小麦粉を使用した食べものの総称で、主に関西でのそれを指して使われることの多いことばだ。本日のぼくは、昼ごはんに焼きそばを食べ、夜ごはんにたこ焼きを食べ、完全無欠の粉もんデーだった。

しかし、考えてみると欧州・米州の人たちあたりは、パンやパスタばかりで炭水化物を摂っているはずで、小麦粉由来という意味でいえばこれらも立派な粉もんである。欧米もまた、粉もん文化だと言えるはずである。けれど、パンやパスタばかりを食べる人に対して「兄さん、ほんま粉もんが好っきゃなあ」みたいなインチキ関西弁を述べる人がいないのはなぜか。

パンやパスタが、一種の加工食品だからだ。

関西の方々が言う「粉もん」とはたぶん、「小麦粉を使った料理」のことではなく、「みずから小麦粉を水で溶くなどして、こしらえた料理」の総称なのである。小麦粉を「使っている」ことよりも、小麦粉と水から「つくっている」ことに力点の置かれた、DIY的なことばなのである。それゆえ、お好み焼きは粉もんだし、たこ焼きだって粉もんだ。一方で、みずからこねることのないうどんは、観念的には粉もんの一部でありながら、粉もんの実感が少ないのではないだろうか。いや、知らんけど。


ともかく、最近お好み焼き食べていない。

おいしいお好み焼き屋さんは、ほかのお店以上に「会話」がセットになっている印象がある。酒を飲んだとしてもビールのジョッキ1〜2杯程度で、深酒にならず、ちゃんと「会話」が進む。三密その他で避けてきた自覚もないけど、ひさしぶりに食べたいなあ。みんなで気兼ねなく鉄板を、そこにのるお好み焼きを囲みたいよ。