見出し画像

出張の帰りに。

いま、日帰り出張で奈良から東京へと向かっている。

と書くとなにやら大変なことのようだけど、新幹線を使った関東〜関西間の距離(時間)はそう長くない。連日のように関東と関西を行ったり来たりしている職業人は、たぶんぼくが思っている以上に多いのだろう。

関西にくると、電車内から漏れ聞こえる乗客のことばが、少し違う。エスカレーターの乗り方も違うし、土地勘もなく、駅構内のどこにいても「お客さん」な自分を意識せざるをえない。その空気をたとえるなら、あたかも外国のようだとさえ思えてくる。

そして静かに、東京に帰る。

なんて言いながら、ぼくにとっての東京はホームタウンではない。関西なら関西から降り立って、東京駅で「帰ってきたなー」と思うことはない。思うとすればそれは「戻ってきたなー」であり、どこに戻るのかといえば「故郷」ではなく「日常」だ。

低気圧の雨雲を追うように、東京が織りなす「日常」に、ぼくは戻る。

新幹線が走るあいだ、飛行機が飛んでいるあいだ、ぼくらは「途上のひと」になる。もしかしたらそこが、いちばん居心地のよい場所なのかもしれない、と最近思う。

たぶんぼくにとっての「日常」とは仕事であり、旅先とは「定められた休息」であり、どこにも属さない時間は、車内・機内の「途上」にこそあるのだろう。


はい、取材終わりにしこたま酒を飲みました。明日からの日常、がんばりましょうね。