来月までのスケジュール。
月末が締切の、おおきな原稿を抱えている。
あと2週間。間に合うのか間に合わないのか、薄氷を踏んでいる足裏が緊張で熱を帯び、もうそれだけで厚氷が溶けてしまいそうな緊迫感である。しかし、締切の遵守がマストなのは来月のあたまからこれまた薄氷スケジュールで原稿がひとつ待っているからで、なおかついずれの原稿もいっさいの手抜きが許されないというか、無意識下の手抜きでさえしたくない、大事な原稿なのである。
しかも、だ。
めぐり合わせの悪いことに、いまサッカー日本代表はアジアカップを戦っている。きょうは決勝トーナメントの1回戦。対サウジアラビア戦だ。これはどうにかして観たい。中島翔哉の不在は残念だけど、アジアカップはおもしろくなかった大会が思い出せないほど、毎回おもしろい。緊張感や競技レベルでいえば当然ワールドカップのほうが何倍も上なんだけど、選手と監督の信頼関係が築かれ、ばらばらだったチームがひとつになり、しかもワールドカップとは違った「意地」だの「プライド」だのが泥臭くぶつかり合うアジアカップは、ほんとうにおもしろい大会なのだ。
しかし、うちの会社にはテレビがない。
ここで帰宅してサッカーに何時間も使うのはちょっと、締切がおそろしい。もしもサッカーがなければ間違いなく、きょうは会社に泊まって原稿を進めるべき日なのだ。体調的にも、スケジュール的にも。
書きながら、これは言い訳だな、と気づく。
当初は「アジアカップの1回戦を観ない理由」を書こうとし、「おれもがんばるから代表もがんばれ。決勝で会おう」くらいに考えていたんだけど、どうやらぼくはこのまま帰宅するようだ。そしてサッカーが終わったら、家で朝まで仕事をするのだろう。ときどき犬をなでたりするのだろう。
ああ、あと30分でキックオフ。
おれのアジアカップも、グループリーグは突破したよ。すばらしい本ができるよ、間違いなく。