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ここは東京だなあ、の建物。

地方出身者として、「ここは東京だなあ」と感じる建造物がある。

東京タワーは、その代表格だ。とくに照明デザイナーの石井幹子さんがライトアップを手掛けて以降の——つまりは平成以降の——東京タワーは、「こんなにかっこいいタワーだったのか!」と、見るたびに驚かされる。あるいは東京駅の丸の内駅舎に「東京」を感じたり、都庁にそれを感じたり、六本木ヒルズやフジテレビ社屋、東京ドームなどに「これかあ」としみじみする人もいるだろう。

けれどもぼくが、なによりも「ここは東京だなあ」を感じる建造物は代々木第一体育館と首都高速道路だ。いや、首都高を建造物と呼ぶことに反論はあるだろうけれど、ひとまず。

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(写真はいずれもウィキペディアより転載)

はじめて代々木第一体育館を訪れたときにはただ、建物を貫く強靱な意志の美しさに圧倒された。そしてはじめて首都高を走ったとき、あまりの強引さに呆れかえった。どちらも、ひどくわがままな設計に思えたし、だからこそ美しかったり、おもしろかったりしていて、「こういうのは、さすが東京だよなあ」と思った。要するに「オリンピックがあったからだよなあ」と。

以来、東京の街が変わるとしたら、もう一度オリンピックが開催されるときなんだろうとぼんやり思っていたのだけれども、どうやらそうじゃなかったみたいだ。


税金にしろ、会社のお金にしろ、あるいは個人のお小遣いにしろ、なんだか「いっさいの無駄遣いを許さない」的な空気がバブル崩壊以降支配的になっている気がするんだけど、そしてそれはそれで正論ではあるんだけど、まあせいぜい個人や自分の会社レベルでは「たのしい無駄遣い」や「わがまま」をやっていきたいな。

(お金に限らず)無駄遣いに目くじらを立てるような態度からは、なんらクリエイティブは生まれないと思うのだ。