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古賀史健

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古賀史健の note、2018年以降のぜんぶです。それ以前のものは、まとめ損ねました。
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#バトンズの学校準備中

たったひと晩の冒険。

たったひと晩の冒険。

寝台列車、なるものにぼくは乗ったことがない。

松本零士さんの傑作『銀河鉄道999』の影響もあり、ぼくが子どものころ、寝台列車は大人気だった。それは「ブルートレイン」と呼ばれ、その音の響きもまた、ぼくは好きだった。どこか遠くへ旅すること。列車のなかで食事をとり、夜になれば眠ること。朝に目を覚ますと、見知らぬ土地を走っていること。ブルートレインにまつわるすべては、夢のなかの物語のように思われた。当時

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異業種のプロと仕事をする悦び。

異業種のプロと仕事をする悦び。

はじめて名刺をつくったときのことを思い出す。

会社から支給された名刺ではなく、フリーランスになってはじめて自分でつくった名刺だ。当時はまだ、名刺をオンライン注文するような時代ではなかった。池袋の印刷屋さんに行って、過去の制作事例のなかから自分のイメージに近いものを選び、紙や色、書体や文言等を調整して印刷してもらった。縦型で、水色をベースとした名刺だった。自分の名前のうえには、迷いに迷って入れた「

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ひとつのロゴができるまで。

ひとつのロゴができるまで。

先週末、『取材・執筆・推敲』に重版がかかりました。

4刷目となる、そこそこ大きな(初版部数を超える)重版です。ライターさんや編集者さんはもちろん、それ以外の方々にも届きつつあることを、少しずつ実感しています。読んでくださったみなさん、仕事仲間やご友人におすすめしてくださったみなさん、ほんとうにありがとうございます。

まだまだたくさんの人たちに届いてほしい本ですし、これからも「できることは、ぜん

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学校について、すこし実務的なお話を。

学校について、すこし実務的なお話を。

昨日に引き続き、学校の話を書いていきます。

おかげさまで昨日発表した batons writing college に関して、たくさんの反響をいただきました。ほんとうにありがとうございます。この構想については語りたいこともいっぱいあるのですが、きょうは真剣にご応募を検討してくださっている方々に向けて、つとめて実務的なお話をさせていただければと思います。

【応募時の課題作文について】ご応募いただ

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バトンズの学校、開校のお知らせ。

バトンズの学校、開校のお知らせ。

ようやく、発表できるときがきました。

ここに至るまでの思いを正確に記そうとすると、どうしても話が長くなってしまいます。短く語りたいけど、しょうがありません。ことの発端はいまから3年前。三日続けてぼくは、こんな note を書いていました(ひとつずつ読んでいただくのもたいへんでしょうから、要約を添えておきます)。

【2018年4月18日】【要約】
今後コンテンツは「プロダクト」と「サービス」に分

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その企画を「事業」と言い換えよう。

その企画を「事業」と言い換えよう。

若いころ、求人情報誌の仕事をしていた時期がある。

巻頭グラビアページで、経営者や人事担当者にインタビューするのが当時の主な仕事だった。会社勤めの経験もロクにない金髪フリーライターが、よくあんな仕事をやっていたものだと、いまでは思う。インタビューは好きだったし、原稿もそれぞれ好評だったから、いちおうあれでよかったのだろう。

いまの若い方々はそういう雑誌の存在も知らないかもしれないが、求人情報誌と

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雨の日に、雨乞いするように。

雨の日に、雨乞いするように。

今日の東京は、雨降りだ。

犬と暮らすようになってから、雨に対する認識はおおきく変わった。そんなふうに育ったのだから仕方がない。うちの犬は、毎日散歩に行けると思っている。大雨の日も、台風の日も、大雪の日も、部屋のなかにいる彼に天候のことはあまりわからない。とにかく毎日、散歩に行けると思っている。彼を迎えてから4年半あまり、散歩に行かなかった日はたぶん、まだない。ぼくもフジロック民が着るような防水ポ

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