見出し画像

ときどき名前の旅に出る

ふと見た何かの商品だったり、ブランドの「名前」が妙に気になることがある。

なんでこの名前、ネーミングなんだろう。ピュアな疑問が突然浮かんでくる。ほんと、どうでもいいことなんだけど。

そういうのないですか?

べつに常に商品名とかブランドの由来を気にして調べてるとかでもない。ほんと不意に気になるのだ。何も思わないときは思わないのに。

この前も「メリット」がどうしても気にった。あのシャンプーの。よく考えたら、なかなかど直球なネーミングだ。

ほら、なんていうかもっとシャンプーってふわっとしたイメージのネーミングが多い気がする(個人の感想です)。最近だと、ボタニカル系のおしゃれっぽいのとか。そういう中で「メリット」の存在感。

まあ、超ロングセラー(1970年の発売から50年)商品だし、いまさら新しい発見でもないんだけどメーカーのブランドサイトで調べてみた。

・当時の日本人の洗髪は週2~3回程度
・シャンプーするだけでフケ痒みを抑えられて画期的

・キャップを開閉しなくても片手で液が出せる新機能

出典:花王 メリット50年の想い


まじか。髪の毛は毎日洗うものってなんとなくあたり前っぽい、もはや習慣とすら意識してないぐらい日常生活だけどそれって比較的最近なんだ。

で、そうなると週2~3回の洗髪ではやっぱり髪も頭皮も汚れが溜まるしフケや痒みも出やすい。だから1970年の発売当時、殺菌効果のある薬効成分を配合したシャンプーは画期的で、それは「メリット」と名乗るだけのことはあったのだ。

当時の価格は200円。高いのか安いのか。どうなんだろう。

消費者物価指数(いろんなモノやサービスの価格の変動度合を示すやつ)で考えると2019年の指数は102.3で1970年は32.0。単純計算で約3倍違う。

つまり、発売当時のメリットの200円という価格は、現在だと約600円ぐらいの感覚ということになる。ほんと、ざっくりとだけど。600円のシャンプー。なるほど。まあ、その当時としては高機能商品の価格帯って言えないこともないな。

(すごい厳密には時代によって消費動向、何にお金を使うか、何が大量に売れるかとかも違ってそこの重みづけもして考えないといけないので参考程度の話です)

メリットの名前の件は満足。それより何気なくみた社名由来のほうが新鮮だった。

花王はてっきり「花の王様」のような、みんなに愛される美しさを願った社名として名付けられたと思ってたら違った。

以前の国産品は顔を洗ったあと、肌がピリピリしていたよ
安心して「顔」を洗えるから「花王」って名前なんだね

出典:花王 暮らしを変えた製品の歴史


「花王=顔」。つまり、顔が安心して洗える石鹸からの社名。

そっち!? で「花王」は同じ読みで「香王」「華王」などの候補の中から「花王」になったのだとか。

企業名も商品やブランドの名前も、いろいろ掘っていくとおもしろい。

取材させてもらった企業で社名とか商品名の由来を尋ねると、たまに歴史ありすぎてちゃんとした資料がなくて「そういうことにしておこう」で定説になってたりするのもある。

ちょっと実例を出すとあれなので出せないけど、それはそれでおもしろかったりする。

何でもそうだけど、ふだん特に気にも留めないものをわざわざあらためて調べてみると小さな発見がある。そんなの知ってるよって言われるかもしれないことのほうが多そうだけど。

それでも、誰かに聞いたのと自分で調べたのでは自分の中の「残り方」が違う。

みんながあたり前に使ってるものにも、普通の中の物語みたいなのが何かある。たぶん、そういうのを拾ってくのが好きなんだ。旅先でなんでもない小さな石を拾うみたいに。