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大人がお酒を飲むもうひとつの理由

気がついたら大人になっていた。うっせぇわと言われても仕方ない。

大人になった記憶なんてないのだけど、まあそういうものなんだろう。人は大人になろうと思ってもなれないし、大人になりたくないと思ってもなってしまう。

自分が大人だってことに極めて自信はないけれど、そういうことにしないとスクランブル交差点の真ん中で急に立ち止まった人みたいになって迷惑だ。

それでも大人は楽しい。楽しいか楽しくないかと問われたら「楽しいんじゃないかな」と答える。断定しないあたりがいかにも大人だ。

ただ、大人であることが微妙なときもある。

思ってもないことが口から出そうになるときだ。これは大人の機能なんだろうけど、あまり好きな機能ではない。

誰かから何か言われて、そのとおりなのに「そんなことないですよ」とか言ってしまう。あるいは5ぐらいのレベルでいいものを8ぐらいに盛って「すごいですよね」とか。

僕は基本的に何かでひどく落ち込むというかダウナーになることって、ほぼないのだけど「思ってもないことを言ってしまったかも」というときは、ちょっと落ち込みそうになる。

「思ってもないこと」を口にしそうになるとき、もうひとりのメタ的な自分は「あ、いま思ってもないこと言おうとしてる」と瞬間的に察知してるのがわかる。

そこで、ほとんどの場合はやっぱり思ってもないことを言うのはやめる。

のだけど、オモッテモ ナイコトヲ イオウトシテル ときに味わった感覚はしばらく自分の中に残ってしまう。薄ぼんやりとした苦さと共に。

大人には、そんな苦さを流し込むために飲むお酒もある。