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ものかきのおかしみと哀しみ

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#これからのライター

書ける人には何があるのか

書ける人には何があるのか

いわゆる「この人、文才あるかも」って思う人。編集者目線での話。個人的な目線だけど。

文才とは何かの明確な定義はあるようでない。

ひと言で言えば文章を書く能力の中で「何かある」。なのだけど、それだとそこで話が終わってしまう。

もう少し掘っていくと、いくつかの「引っ掛かり」みたいなものがある。

書いてる人のほうは「文才あります!」「書きたいんです」とかすごいアピってないのに、勝手にこっち(読む

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もう文章を書かない

もう文章を書かない

いきなり何を言ってるんだ。僕もそう思う。

そもそも、じゃあこうやって書いてる文章はどうなんだという話だ。たぶん、こういうのは「文章」でもないし「文章でもない文章」でもない。

またちょっとわからないこと言ってるけど、そんなに変なところに連れていかないのでよければもう少しだけ。

冒頭で「もう文章を書かない」と言ったのには、いろんな要素が含まれている。

いわゆる「文章のための文章」を書いても仕方

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人として話せるかどうか

人として話せるかどうか

たまに書いてるけど、僕は基本的に人見知り属性だと思う。ライターなのに。

どっちかと言えば、人の中にいるより山の中とか畑で樹々や野菜たちに囲まれていたい。

それなのになんでライターをやれてるのか。

端的には「ライターという設定」があるからだ。これもそこだけ切り取ると誤解を招く。そんな軽くやってるのかと。

もちろんそうではない。まあ、誰も興味ない話なので端折るけど、ちゃんと成立させるにはそれな

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精神的豊かさは書けるのか問題

精神的豊かさは書けるのか問題

文章を書く人間として気をつけてることがいろいろある。

不用意な言葉を使わないのもその一つ。もちろん、取材だとか、それに近い対話とか、あるいは流れるように文章を書くときにも。

そんなの、どれもそれなりのスピードで進んでいくのに逐語的にすべての言葉を用心深く使うのは難しいのだけど、それでも基本的には意識をする。

取材や対話の場合は、その前後も含めてお互いに「場の空気や流れ」を共有できるので、明ら

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聞きたくなるように話そう

聞きたくなるように話そう

懐かしい「KY」についての短い話。空気を読む読まないって、どちらかといえばネガティブな文脈で使われる。

一昔前に流行った(というのだろうか)KYっていう言葉が象徴的。

場の空気を読まずにズレた発言をしたり、あえてそこで言わなくてもいいことを言ったり。そういうのは「空気を読まない、読めない=KY」として忌み嫌われる。

一方で「空気読めとか無理じゃないのか」「そういう日本の同調圧力がいろんなもの

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自分の文章に信号機を持つ

自分の文章に信号機を持つ

文章を書いていて、ついうっかり使いそうになる「言葉」がいくつかある。いつも気をつけているのだけど。

「普通(ふつう)」という言葉もその一つ。文章じゃなくても話していても、ほとんど無意識で使ってるかもしれない。

「普通はこう考えるんだけど」
「普通はしないよね」
「普通にうまいんじゃない」などなど。

だけど、よく考えたら「普通」って何なんだろう。よくわからない。

誰にとってのどんな状況での普

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胃袋に収まらない文章について

胃袋に収まらない文章について

その人の話していることがテキストになってたり、その人について書かれているものなら無条件に読む。そんな人が何人かいる。

仮にそのひとりがAさんだとする。

Aさんのことは勝手に天才だと思ってる。同時に自分自身をときに持て余し、そこに生成されたどうしようもない穴によく陥るし、その穴から発せられる思索の言葉に僕はよく絡め取られる。

その言葉はいちいち問いにあふれてるし、ひとつの問いが別の問いの箱を開

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正しい世界へようこそ

正しい世界へようこそ

そうか。リアルとネットが入れ替わり始めてるのか。

あるいはリアルとネットの境界が溶けて混じり合ってる。そんなの、いまに始まった話でもないじゃんって思いそうだけど、今回はちょっと違う。

何が違うかといえば、これまでは結果的にそうなってたのが(そうじゃないのも、もちろんある)、結構、意識的に「入れ替え」が始まってるという部分。

もう「リアル」は捨てて「ネット」のほうをリアルにしようという強い意思

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ガムテープ椅子の存在

ガムテープ椅子の存在

工場が好きだった。こう見えて(どう見えてるのかなんて誰も知らんがなだけど)工場の現場を取材するのは嫌いじゃない。

もちろん、そこに住みたいとかの「好き」ではなく、人が介在していながら「人以外の無機質な何か」がそこに息づいてる気配が好きなのだ。どこでもない位相。

当然、工場では何かしらの「モノ」を製造しているのだけど、それは会計上の仕掛品や半製品だったり、一般のユーザーの目には直接触れることのな

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落下する糸電話

落下する糸電話

朝、起きるとスマートフォンから糸が伸びていた。最初は糸の切れ端みたいなのがくっ付いたのかと思った。

摘んでみたけれど取れない。というよりスマホを持ち上げると、コネクタからスマホの裏側に回り込むように隠れていた10センチぐらいの糸がだらんと出てきて「ああ」と思った。

たまに聞いたことがある。スマホから糸が出てくる現象だ。

糸が伸びてもスマホの機能に支障はないというのがキャリアの公式見解だけど、

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5分で書いたnoteが重かった

5分で書いたnoteが重かった

なんか5分で書かないと駄目らしい。noteの新しいトレンド。いや、適当なこと言ってます。

流行ってるのかどうかわからないけど、やってみる。というか本当にそれぐらいしか時間がない。

まあ、ふだんから書くのはそんなに遅くはないけど「5分間しか書いてはいけない」しばりはそんなにない。何かの試験的なものとも無縁な人生だし。

そういえば最後に受けた試験って何だっけ? 思い出せない。

資格とか言っても

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人は無人島で言葉を覚えるのか

人は無人島で言葉を覚えるのか

言葉はどこにあるのか。言葉のゼロ地点ってどこなんだろう。どうでもいい話です。

たとえば、もし自分がポツンと無人島に生まれ育ったとして、言葉を覚えるのだろうか。

そもそも「無人島で生まれ育つ」が原理的にあり得ないという異論は認めます。でも、まったくないとは言えない。

「人」がひとりでも存在した時点で無人島ではなくなってしまうのだけど、それでも自分しかいなくて、他の人との接触や情報のやりとりがま

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想いと信念は何がちがうのかの話

想いと信念は何がちがうのかの話

似ているようだけど、全然別のものという言葉や概念がある。

その違いを考えたりするのがわりと好きだ。数少ない「趣味」と言えるかもしれない。嘘です。趣味ではない。そんな趣味あまり聞いたことない。

たとえば「想い」と「信念」の違い。

何かを成し遂げてきた人、成し遂げようとしてる人とインタビューで対話してると、その領域の話がよく出てくる。

といっても、べつに「どんな想いがあったんですか?」とか「信

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