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ものかきのおかしみと哀しみ

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2020年10月の記事一覧

僕の書くものは土と菌で出来てるから

僕の書くものは土と菌で出来てるから

どんな仕事も長くちゃんと続けるにはアップデートが必要。きょうはなんとか時間を削り出して「土と菌」を2020年版にアップデートしてきた。藤井風くんを聴きながら移動して。

いったい何を言ってるのか。君の仕事はライターとか編集で、なんで「土」やら「菌」が出てくるのか。ヤギだからパピルスでもつくって食べるんだろうかと散々な言われようだけど、そういうことじゃない。

たしかに僕の仕事は原稿を書いたり、本や

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見えた?『東京嫌い』帯コレクション その1

見えた?『東京嫌い』帯コレクション その1

2020.10.22夜7時に幕を開けたnote同人誌マガジン『東京嫌い』。21人のさまざまな書き手が毎夜1人ずつ夜を塗り重ねていく、これまであまりなかったタイプのマガジン。

ここまで、九つの夜を彩ってきました。そして作品公開に合せて、読んでくださったみなさんの気持ちを「帯」にして届けてもらう『東京嫌い』帯コンテストも同時開催中。

note界隈で「帯」と呼ばれる、Twitterでのnoteのシェ

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それは身体から出た言葉

それは身体から出た言葉

言葉は身体で読むものだ。

一瞬、ん? と思われそう。多くの人は視覚器官を使って脳にデータを送って「読む」のだけど、それだけでは説明できない読み方をしてしまうときがある。

なんだろう。その文字、文章と出会った瞬間に有無を言わせない感じで入ってきてしまうときとか。

決して不快ではなくて、むしろ自分が文字や文章とシンクロして泳ぎ出せるような感覚。細胞レベルで言葉や文章をつかんでるときの、なんとも言

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『東京嫌い』オーディエンスからの手紙

『東京嫌い』オーディエンスからの手紙

またかよ、と思われるかもしれないのだけど。ふだん、自分の仕事を含めて「告知」とか「宣伝」を滅多にしないから余計に。

でも、今回、僕たち三人が責任編集している『東京嫌い』に関しては、そこの意識がいろんな意味でなくて。

告知しなきゃとか宣伝! っていう感じでもなく自然にやってる。なんだろう。ただの宣伝なんて誰も見たくないし興味持たないのはわかってるから、フェスの楽屋裏とかリハーサルとか「こんなんで

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あの人の言葉がほしい

あの人の言葉がほしい

リアルでモノが売れないらしい。デイリーなものは売れるけど、そうじゃないものたちはなかなかお店で足を止めてもらいにくくなってる。

まあ、個人的には元からあまりものを買わない(本とか農工器具を除けば)種族なので、とくに禍以前も以降も変化ないのだけど、ものを売る(買ってもらう)を生業にしてる人にとってははなかなかシリアスな話。

知り合いの木工作家も例年、秋のこの時期は各地でクラフトフェアなんかがあっ

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感情を味わおうよ

感情を味わおうよ

この1年(締めくくるにはちょっと早いけど)、何に使う時間がいちばん増えたんだろう。時間占有率として。ZoomやGoogle Meetなんかのオンライン会議ツールじゃないのかな。

禍がオンラインやリモートを加速させて日常を覆った。

物理的な世界がすっかり遠くなった分、オンラインでリモートですぐに繋がれる世界はすごく近くなった。もうこれ、どこでもドアって呼んでいいんじゃないか。

みんなの夢だった

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言葉がある星

言葉がある星

いろいろと、いろいろと日々が飛んでいく。自分が回りながら飛んでるのか、時間が第二宇宙速度を出してるのか、どっちもなのか。

よくわからない。ヤギは時間もどうやら食べるらしい。時間が食べられてしまうと概念が溶ける。

すっかり穴の開いた隙間から、ふと空を見上げる。

そこには言葉のある星が浮かんでる。懐かしい気持ちになる。僕はたしか、あの星の住人だったんだな。

言葉を呼吸して生きてる星。

◎岩間

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コーヒーカップが消えない世界で

コーヒーカップが消えない世界で

ことばを扱っていて、怖いのは「ことばが消える」こと。

そうなるときって、なんとなくわかる。やらなければいけないことが押し寄せていて、タスクという波にうまく乗れていないとき。

いつも目の前で自分を取り巻いているはずのたくさんのことばたちが、気が付いたら消えている。それでもなんとかつかもうとして、ことばの面影っぽいものをつかもうとした瞬間にひゅんと消えてしまう。

忙しさの中に締め出されたような真

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東京嫌いって言わないで

東京嫌いって言わないで

この話は、いつかしないといけなかった。

もし、あなたがどこかの街を好きだったとする。

その街のことを「嫌い」と、誰かに名指しで言われてるのを知ったり聞いたりすると、もやっとすると思う。

自分の好きな街を否定された気分。どうして? こんなにいい街なのに? 好きじゃないのは構わないけど、そんなふうには言わないでほしい。私にとっては大事な街だから。

いろいろな感情が出てくる。

それが大都会「東

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奥渋谷の夜

奥渋谷の夜

noteで仲間と『東京嫌い』という同人誌をつくっている。あれやこれやの仕事と並行して。

べつに同人誌づくりは世の中で珍しくないし、noteのマガジンでもいろんな同人誌が既にある。

僕たちがつくろうとしているもの、ああ、よくあるやつだよね。そんな反応をもらうかもしれない。

のだけど、今回、僕たちはちょっとそこを「超える」ことを考えてるのだ。

超えるってなにを? なんだろう。ほら、いまっていろ

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東京はいつも秋だから

東京はいつも秋だから

この人なに言ってるんだろうと思われるけど。

東京という街は存在が秋っぽい。人生の彩りが深まる街。

春に出会い、夏に育まれ、光を受け高揚して紅葉し、やがて道に還る。
誰も拾わない、東京の秋。

なのに、みんな東京の秋は好きだ。
僕も、東京は春でも夏でも冬でもなく秋の街だと思う。

実りと隣り合わせにある終わりの季節を
宿命的に抱え続ける街。

ものすごく個人的な感覚で言ってる。
たぶん、伝わらな

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さわるのではなく、ふれること

さわるのではなく、ふれること

近辺についての短い雑記。ここのところずっと、想いを編んでいる。愛憎という名の想い。

想いにかたちはあるんだろうか。わからない。noteや紙の本に浮かび上がった「想い」は、それぞれの媒体のかたちを持って表れる。

だけど、その媒体がなければ想いにかたちはないのかというと、ちがうと思う。

媒体は文字通り媒介するもの。想いそのものではない。

どうしたら、この想いがちゃんと表わせられるのだろう。そん

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解決のつかない話

解決のつかない話

気分転換に料理をする。たまにね。たいしたものじゃない。畑の間引き菜とツナのチャーハンとかストックしてある冷凍餅を使ったピザとか、じゃことバジルのパスタとか。まあ、居酒屋メニューみたいなものだ。

料理するのはべつに特別でも面倒でもない。学生のときにバイトしてた居酒屋で仕込まれた。

半分個人経営みたいな店だったので、バイトといっても仕込みから料理、接客、閉店作業までフルコースのバイトだ。

やわら

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