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Seed期の資金調達で使われるSafeとkiss/J-Kissは何が違うのか

自分の頭の整理を兼ねてSafeとJ-kissの違いについて調べたのでまとめます。ご興味あればどうぞ!(もし解釈が間違っているところがあればご指摘ください)

*Coralの澤山さんからご指摘いただきいただきましたが、本来であれば日本ではsafeがあまり一般的でないことを踏まえ、Safeとkissを比較すべきところですが、ここで議論したいことは各種転換株の思想と、検討時オプションなので、簡易的にここではjkissとしています。kissとj-kissの差については本質的にはほぼなく、ここで大きく取り上げることはないので、元ページをご参照ください。

そもそも、スタートアップの資金調達は通常、普通株、各種優先株、転換社債/株のどれかで行われますが、転換株にもいろいろ種類があり、米国や日本でシード投資が発展する中で様々なテンプレート(SafeやKiss)が生まれ、またそれぞれも常にアップデートされています。

そのような中で、日本でも500 Startupsの作成したJ-kissで調達するスタートアップはかなり増えてきていますが、たまにSafeで…という企業もおりますので、ここで違いについてまとめられればと思います。

SafeはY combinatorが2013年に公開した転換株テンプレート

SafeはSimple Agreement for Future Equityの略であり、詳細は上記の元サイトをご覧いただければと思いますが、Safeにもバリュエーション、ディスカウントのありなし等で実は様々な種類があります。米国では未だに非常に多くのシード期の調達で使用されており、ご存知の通り特にY Combinator関連のスタートアップでは広く使われています。

基本的な設計思想は、とにかく簡単にシード期の調達を「早く・簡単に」終わらせることであり、よく見てみると業界のネットワークやレピュテーションに一部依存した、一種の紳士協定に基づく簡易的な契約になっている側面があるのではないかと思います。

J-kissは500 startups(現状のCoral)が公開した転換株テンプレートの日本版

こちらも詳細は是非元サイトをご覧いただければと思います。もともと米国の500が2014年に公開した転換株テンプレートの日本版です。(KissはKeep It Simple Securities)

こちらに関しても設計思想はSafeに近いですが、Safeに比べると条件がよりしっかりと作り込まれており、非常に起業家と投資家の権利をバランスよくしっかりと保証する内容となっているように見えます。

SafeとKissの簡易比較

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一概に言えるものではないと思いますが、両者を比較するとSafeの方がより起業家有利な条件が多いと思います。また、これは市場によるのだと思いますが、日本は米国と比べれば依然として投資家のほうが有利な場面が多いと思うので(資金調達はしやすいですが…)、その場合はより投資家有利なJ-kissの方が広く使われやすいのではないでしょうか。

一方で、バリュエーションについてはSafeのポストマネーでのバリュエーションの方が使いやすいのではないかと思います。ポストマネーでバリュエーションキャップを決めておけば、それぞれの投資家に対してどれだけ放出したかも非常にわかりやすいですし、複数回転換株のラウンドを重ねたとしても複雑な計算なく転換が可能です。

SafeやJ-kissを使用する際の注意点

SafeでもJ-kissでもこれでラウンドを複数回重ねてしまったり、ダウンラウンドになってしまったりした場合、思った以上の放出をしてしまう可能性があるということです。ここでは具体的にシミュレーションするのはやめますが、特にプライシングラウンド(基本的には優先株の次のラウンド)までに複数回の調達が必要なビジネスの場合は注意が必要です。

今回は以上です。

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