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老舗商社の社員向け勉強会で代表の瀬川が登壇。3度の倒産危機からの学びと粗利を重視した経営の重要性をお話ししました。

フルカイテン戦略広報の斉藤です。2022年8月27日、大阪府東大阪市に本社を構える、株式会社丸金様の社員様向け勉強会に代表の瀬川が登壇しました。

講演当日はどんな様子だったのか、レポートします!

はじめに

株式会社丸金様は、昭和12年に創業し今年85年目を迎える生活用品の総合商社です。「皆様に愛される100年企業へ」を掲げ、生活用品の卸売り事業やEC事業を行っていらっしゃいます。

今回の講演は、株式会社丸金の下社長から当社宛にお電話があり実現しました。
開催にあたり当社本社で打合せをしたところ、「こんな講演内容にして、社員にとって実り多い時間にしたい!」という想いや、「当社の社員向けに、瀬川さんが経験した3度の倒産危機を赤裸々に話してほしい。そして粗利経営が大事だということにも触れてほしい。」というご要望が寄せられました。

講演当日、下社長は「日経トップリーダーの記事で瀬川社長を知ったのですが、記事を読んで一目ぼれしたんです。すぐにこの人の話を聞きたい!と思ったので、ダメもとで飛び込みで電話したら広報さんからすぐに返信を頂き、承諾して頂けたのはとても嬉しかったです。」と仰っていました。

日経トップリーダーの記事はこちらでご覧になれます(有料の会員登録が必要です)。

講演を実施するに至った経緯や想いをお話しする下社長(スクリーン前方)

まずは瀬川がどんな人物なのか知っていただくために、自己紹介をしました。
普段のウェビナーや経営者向けの講演会ではまじめなプロフィールを投影しますが、今回は社員様向けの和気あいあいとした講演なので、あえて【まじめ編】【リアル編】の2種類のプロフィールを用意しました。

色々ツッコミどころがある文章が並びますが、セルフ浪人は特に瀬川の人柄や考え方が現れているエピソードです。

詳細が気になる方は、フルカイテンの創業秘話noteをご覧ください。

講演序盤なので、まだ皆さんの緊張感が伝わってきましたが、「ふふっ!」と笑っている方もチラホラ…!順調な滑り出しです。

全商品のたった2割で利益の8割を生み出している

まずは、FULL KAITENが解決できる課題を知っていただくために、「全商品のたった2割で利益の8割を生んでいる。」ということについてお話ししました。

瀬川が「御社は何割の在庫で利益を生んでいるか、肌感でもいいので分かりますか?」と問いかけると、下社長が「そうですねぇ、大体〇割くらいです。」と答えてくださいました。

ですが、利益を生んでいない残りの在庫はどうしようもない!と諦めるのではなく、運用次第で在庫を利益に変えることができるのです。その理由を瀬川が乗り越えた3度の倒産危機やファクトを交えお話ししていきます。

壮絶すぎる「3度の倒産危機」

この講演の主題である、3度の倒産危機をこれ以上ないくらい赤裸々に語りました。

3度の倒産危機を赤裸々に語る瀬川

普段の講演では、以下のスライドにまとめてお話ししますが、今回は瀬川と家族が倒産危機を迎え、どんな気持ちで何をしてどうなったのかを、29枚のスライド使って詳しくお話ししました。

3度の倒産危機をまとめたスライド
3度の倒産危機を聞いてメモを取ったり、気になったスライドの写真を撮る社員のみなさん

1度目の倒産危機の時は、在庫を増やしすぎたため、不良在庫がどれなのか判断できなくなっており、それを解決するロジックを生み出しました。

ここで瀬川は、「皆さんは自社の倉庫を見て、これが不良在庫です。」と言えますか?と問いかけました。
「うーーーーん?」と深く考え込む方が多数いらっしゃいました。なんとなくあの商品かな?と思っても、決定的な根拠がないので断定できないというのが正直なところなのかもしれません。

ちなみに瀬川が1度目の倒産危機を迎えた際、日常業務も行いながら3日ほどで不良在庫をあぶり出すロジックを生み出したそうです。追い込まれて苦しかったと思いますが、大学時代に学んだAIと統計の知識を活かして、何とか息を吹き返しました。

在庫を消化する力を身に付けた瀬川は、仕入れを強化して一気に売上拡大を目論みましたが、仕入れ量が支払い余力を超えており、2度目の倒産危機を迎えます。
ここで瀬川は、「売れ筋」と「不良在庫」の間の状態の在庫が存在することに気づくという、とても大きなブレイクスルーを体験しました。

元々売れ筋だったのに、不良在庫になってしまう理由を必死に考えたんです。そしたら、新商品を一生懸命販促しているうちに、既存の売れ筋商品が不良在庫化しているという共通点を発見しました。つまり売れる、売れないの二択ではなく売れ方にはグラデーション部分があります。」と瀬川。

社員の皆さんからは、「あぁー、なるほど。」という納得の声が聞こえ、大きく頷く方も多数いらっしゃいました

ちなみに社員の皆さんから、「何回目の倒産危機が一番辛かったですか?」と質問があり、瀬川は「2度目の倒産危機ですね。」と答えていました。

仕入れ量を毎回間違えてしまう原因になっていた、発注点を変動させる手法について話す瀬川

3度目の倒産危機は、在庫問題に自信を付けたので、一気に客数の増加を目指して送料無料ラインを7000円から2000円に下げたことが発端です。しかし思うように客数は増えず、客単価が下落し運送会社から商品を発送する時点で赤字でした。

ここのスライドに少し遊び心を入れてみたのですが、全くウケませんでした。
スライドの原案を作ったのは筆者(斉藤)なので、「瀬川さん、ほんとにすみません!」と心の中で思いつつ、スベっている状況がシュールで笑いをこらえるのに必死でした。

自信を深め、フルカイテン大阪本社のソファーでたそがれる瀬川
絶望する瀬川

瀬川はこの危機を乗り越えるために、今まで着目していなかった客単価の研究を始めました。

瀬川がホワイトボードに書いた客単価を解説する図

「客単価を分析していた頃は、一番寝ずに仕事をしていました。客単価に自社の未来をかけたイメージです。当時は時間もお金もなくて、もやしばかり食べていました。私は事業が上手くいかず殺気立っていたので、この状況がとてつもなく心配な妻と会話する度に喧嘩していました。おまけに生まれたばかりの子どもを育てながらだったので、気持ちにも余裕がなくなっていました。なので、ベビーカーに子どもを乗せて夫婦で深夜に公園を散歩しクールダウンしていました。ベンチに座ってスイカバーを食べながら会話すると、少しは落ち着きました。」と瀬川。

筆者の脳内でも当時の様子が映像のように流れ、社員の皆さんも「本当に苦労したんだな。」と噛みしめるように瀬川の話を聞いていました。

日本の市場環境をファクトを元に解説

この後は、コロナ下の2年を総括するとともに、コロナ後の日本の市場環境を数字を交えながらお話ししました。

人口動態の統計データによると、毎年60万人以上の人口減少が継続しています。

「これは鳥取県と同程度の人口なんです。」と言うと、「えぇ!毎年日本から鳥取県が消えているってことですか⁉」と100点満点のリアクションをしてくださった方がいました。

今日一番伝えたかったのはこれから起きる「企業の二極化」

「今日一番皆さんにお話ししたかったのは、これから企業に起きると考えられる二極化についてです。これから5~10年の間に企業の業績、企業の人気という切り口で二極化が進んでいくでしょう。」と瀬川。

売上第一を続ける企業
・価格競争の激化で苦しむ
・投資ができず社員が不幸せになる

粗利第一に変革する企業
・増益の好循環が生まれる
・投資ができ社員が幸せになる

在庫の物量で勝負する売上第一経営は、縮小市場で大量生産するため価格競争が激化し資金力で勝負する戦いを意味します。大企業の中でも、物量で勝負する戦い方をできる企業は一握りではないでしょうか。

ですので、これからの縮小市場では、在庫の効率を重視し多様化した価値観に応えるため付加価値で勝負する粗利第一経営が、日本の縮小市場に適した経営スタイルと言えるでしょう。

今や「幸せ」は理系研究者の研究分野に

この話は7月の2講演でもお話しし、毎回とても反響を頂いています。

幸せに関する研究は、理系研究者が研究する分野になっており、日本も海外の研究とほぼ同じような結果が出ているそうです。

幸せには2種類あります。

・地位財(人と比較できること):給与、役職、社会的地位な
・非地位財(人と比較できず、自分の中にあるもの):心、健康、安全

瀬川からは「経営上は地位財と非地位財を上手に織り交ぜることが大事です。チーム内の関係だけでなく、チームを横断して全員が全員と対話することで、組織の関係性の質があがります。」と説明がありました。

実際にフルカイテンでは、以下のような取り組みを通してコミュニケーションを楽しんでいます。

・コミュニケーションの敷居を下げるために、全員にニックネームがある
・全社員参加のオフラインイベント「ALL Hands MTG」を3か月に1回、大阪本社で開催
・バリュー(全力トライ、価値アンテナ、スクラム志向)を体現した人にバリューカードを渡す取り組み

みなさんからの感想と質問

瀬川の講演後に4グループに分かれて、グループディスカッションを実施しました。グループごとに感想と瀬川への質問を代表者が発表する形式で、ガヤガヤと笑いを交え活発に議論する姿が印象的でした。

盛り上がるグループディスカッション

社員の皆さんからは「3年ほど前から社内で粗利を重視した経営が大事だと聞いていたが、なぜ大事なのか数値や根拠を交えて聞けたので、本当に大事なんだと理解できた。」という感想が寄せられました。

下社長や稲谷専務からは「幸せが理系の研究者の研究テーマになっているのは驚いた。当社はかねて幸せについて社員に発信していたので、数値を交えた幸せの重要性を聞けてよかった。」や、「粗利経営の重要性に関しては事前の打ち合わせで話しており、社員の幸せと業績の関係の話もかねて言葉で伝えていたが、何故それが大事なのか数値で教えて下さり、社員にとって非常に良い話だった。話してほしいことをここまで一致させてくださり、正直驚いている。」という感想を頂きました。

各グループが3~5個の質問を下さり、興味をもって話を聞いてくださったことが伝わってきました。

こんな質問がありました。

・粗利を重視した経営が重要だと皆分かっているのに、なぜ実現できないと思うか
・4度目の倒産危機が迎えていたら、どう乗り越えていたか
・チーム内の関係性の質を上げるためにどのようなことを行っているか
・商品の発注点はどういうロジックで考えているか
・EC事業では、発送のスピードなどもお客様への付加価値になるが、他にどんな付加価値が必要だと思うか
・自己紹介にあった「見積書ハリセン事件」の詳細を知りたい

沢山の質問をくださる社員の皆さん

質問を多数頂き、講演時間がオーバーするほど白熱しました。自分事化して聞いてくださる姿勢が嬉しかったです。

最後に

今回フルカイテンの瀬川に講演依頼をしてくださった、株式会社丸金の下社長は瀬川と筆者に重要な書類を見せてくださいました。

瀬川も「こんな重要な書類、見ていいんですか?」と驚いていました。
これも講演の内容に満足頂けたからではないかと感じました。

株式会社丸金の下社長に重要な書類を見せて頂く瀬川

講演の中で、瀬川は「今からお話しするのは皆さんのお客様(小売事業者)の課題です。」「これは皆さんにぜひ知っておいていただきたい話です。」「今日一番皆さんに伝えたい話です。」など、聞き手の関心を集める言葉を要所で用いていました。この言葉で、視線が集まり更に意欲的に講演を聞いていただくことができました。
瀬川は普段から当社主催のウェビナーに登壇し、それとは別に講演の依頼を頂くことも増えたので、一層パワーアップしていると感じました。

瀬川に講演してほしい!という方は、info@full-kaiten.comまでご連絡をお待ちしております。内容を精査し検討させていただきます。

ここまで読んでくださってありがとうございました。


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