憲法草案〜第9(8)章 地方自治〜地方自治の本旨、地方自治体

現行憲法の地方自治の本旨、地方自治体

第九十二条
地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。

短い文章に地方自治の本旨(本来の目的や意義)までも込められており、ある意味地方自治が蔑ろにされている一因と考えます。
沖縄県の基地問題だけでなく様々な住民の意見が国政等により無視されたり、地方交付税交付金の増減額により意思決定をコントロールされていると考えます。

自民党(2012年)草案の地方自治の本旨、地方自治体

第九十二条(地方自治の本旨)
地方自治は、住民の参画を基本とし、住民に身近な行政を自主的、自立的かつ総合的に実施することを旨として行う。
第九十二条2
住民は、その属する地方自治体の役務の提供を等しく受ける権利を有し、その負担を公平に分担する義務を負う。
第九十三条(地方自治体の種類、国及び地方自治体の協力等)
地方自治体は、基礎地方自治体及びこれを包括する広域地方自治体とすることを基本とし、その種類は、法律で定める。
第九十三条2
地方自治体の組織及び運営に関する基本的事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律で定める。
第九十三条3
国及び地方自治体は、法律の定める役割分担を踏まえ、協力しなければならない。地方自治体は、相互に協力しなければならない。

第九十二条で、「地方自治の本旨」を書こうとしている意思は伝わりますが、中身は住民の権利と義務論となっており全くちぐはぐです。
第九十三条3項は、「国及び地方自治体は、法律の定める役割分担を踏まえ、協力しなければならない。地方自治体は、相互に協力しなければならない。」としていますが、現安倍政権の施策を考えると「協力」とは表向きで、実は統治になると憂慮します。

独自草案の地方自治の本旨、地方自治体

第百八条
地方自治の本旨は、団体自治と住民自治からなる。
第百八条2
団体自治は、国等から独立した地方公共団体に立法権、行政権、財政権等が付与され、当該地方に適した自治が行われる。
また、国及び上位の地方公共団体は、下位の地方公共団体の自主性、自立性に配慮しなければならず、交付金等により圧力を与えてはならない。

第百八条3
住民自治は、前項により国及び上位の地方公共団体から独立した地方公共団体の政治、行政は当該地域住民の意思に基づいて行われなければならない。
また、国及び上位の地方公共団体は、当該地域住民の意思を尊重しなければならず、施策に反映しなければならない。
第百九条
地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。

第百八条で、「地方自治の本旨は、団体自治と住民自治からなる。」とし、2項および3項でそれぞれについて記載しています。
2項で団体自治は、より下位(上位・下位と言う表現は悩んでいます。)の地方公共団体の自主性、自立性に配慮を求め、交付金等で圧力与えてはならないとしました。
3項で住民自治は、より下位(上位・下位と言う表現は悩んでいます。)の地方公共団体の政治、行政は当該地域住民の意思に基づき行われるものとしました。
また、国等は地域住民の意思を尊重し、施策に反映することを求めました。

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