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キムチの文化

 キムチは、韓国語(ハングル)で「김치」、英語では "Kimuchi" となります。

 白菜や大根などの野菜を塩漬けにして発酵させた韓国の伝統料理です。韓国では、様々な調味料と様々な野菜の組み合わせで、数百の種類があると言われています。

起源

 キムチ(김치)という言い方は、南北朝鮮の標準語で使われる言葉です。古くは朝鮮の漢字語では「沈菜」とあり、それをハングルにした「ティムチョン (팀ᄎᆡ)」から何度か変化して、現在のキムチになったと考えられます。この古い形は、地方で方言として残っており、「チムチェ」「チムチ」「ディムチ」などが使われています。

 野菜を発酵させて食べることは、朝鮮半島最古の歴史書「三国史記」(1143~1145)にも記述があります。冷蔵庫がなかった時代に、野菜を発酵させて保存することは、食材の寿命を保つことができます。新羅時代(紀元前57年~紀元935年)に仏教が浸透し、菜食主義的なライフスタイルと共に普及したと考えられます。

 現在のキムチの特徴となる唐辛子は、17世紀初頭までは韓国では使われていませんでした。キムチに唐辛子を使用する方法が広まったのは、19世紀になってからです。また、白菜が韓国に伝わったのは19世紀末であり、それまではチョンカク大根、きゅうりや、チョギなどを使った、水キムチ、白キムチが作られていました。

 韓国がベトナム戦争に参戦した1965年に、自国の軍隊に食料を提供する目的で、キムチ生産の工業化、商業化が進みます。

キムチ文化

 日本人の食生活にキムチが入ってきたのは1945以降になります。一般に普及するのは1965年からで、1970年代にはスーパーマーケットで販売されるようになってきました。1996年以降は、日本の漬物生産量の中でキムチ群がトップになっています。

 しかし、日本のキムチは発酵させてなく、塩漬けの白菜に調味料を混合した浅漬に近いものが多数見られました。韓国は、これに講義し、WHOの関連組織のコーデックス委員会に酷使規格を求めました。1997年にキムチの規格化により、主な原料を白菜に限定し、乳酸の濃度は1%以下という基準が決められました。導入されると、韓国のキムチの輸出量は増えましたが、一方で安価な中国産キムチが韓国に輸入される量も増加しました。

 ただ、「塩漬けの白菜にいろいろな調味料を混合し、乳酸の生成により適切に熟成・発酵された製品」という現在の規定では、韓国の多様なキムチ製品は国際基準に当てはまらず、白菜の浅漬に少量の唐辛子と乳酸菌を添加したものもキムチとして販売できてしまうということは問題として残ります。

続く中国との論争

 中国側は、このコーデックス規格を無視し、キムチは自国の料理「泡菜(パオツァイ)」からの派生で、韓国のキムチは「単なる漬物」であるとして、2012年以降、韓国産キムチの輸入を事実上禁止しています。

 韓国と北朝鮮の両国からユネスコへ登録申請が提出され、2015年に「冬のキムチ漬け文化」がユネスコ無形文化財遺産として登録されました。

 それに対し、中国は「泡菜(パオツァイ)」の国際規定をISOに申請し、「中国が主導するキムチ産業の国際規格」であり、キムチは「四川泡菜(パオツァイ)」であるとして自国のものであると主張しました。このことに韓国メディアが強い怒りを示したため、”百度百科”に記載された「韓国産キムチの起源は中国」を削除し、「泡菜」と「韓国泡菜」は全く異なるものだという表記になっています。

 韓国側は、2013年以降キムチの中国語名を「辛奇(シンチ)」とするよう求めていましたが、中国国内では相変わらず「泡菜(パオツァイ)」が使われていました。そして、2021年、韓国文化体育観光部が、適切な中国語訳として「辛奇(シンチ)」という用語を使うよう改正を実施しました。





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