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【2021年版】イップスを公言してるプロ野球選手がイップスをどう思っているのか②

イップスはそんなにネガティブじゃないと思う理由

さて、前回の続きです。
もし前回の記事を読んでいない方はこちらか読んでくださると中身が理解しやすいと思います。

今回はイップス経験者である僕が「イップスはそんなにネガティブじゃないと思う理由」について書きたいと思います。

大きな理由としては次の2つが挙げられます。
理由①ほとんどの人がイップス持ちだから
理由②たくさんの気づきを得られるから

1つずつ詳しく説明します。

理由① ほとんどの人がイップス持ち

僕がイップスのことを勉強してから、ある疑問を抱くようになりました。
それが「ほとんどの人がイップス持ちじゃないか?」ということです。

前回の記事でイップスについて「もともと無意識でできた動きが、何らかの原因でできなくなる不安症の一種」と説明しました。

イップスの定義を知ったとき、僕は「イップスってなんてあいまいなものなんだろう」って考えたんです。

・どのくらいの動きができていたのか
・動きがどのくらいできなくなったのか
・何が原因でイップスになったのか
がハッキリしていないため、イップスを持つ人と持たない人の境界線がわかりにくいです。

さらに気になるのはイップスが不安症の一種であること。
イップスが不安症なら、ほとんどのプレーヤーがイップス持ちじゃないですか。
不安を抱いたまま100%の力を発揮できる人はほぼいないからです。

つまり、一般的に「あの人はイップスだ」と思われるケースは氷山の一角に過ぎず、日の目を見ないところに「イップスを持つ人」がたくさんいるような気がしてなりません。

たとえば
・ブルペンと試合で投げるボールがちがう
・特定のキャッチャーの時だけコントロールが悪くなる
・雨の日や寒い日に調子が悪くなる
などピッチャーによくあるケースだって、もしかしたらイップスによるものかもしれません。

「イップスになる人はほとんどいないから恥ずかしい」じゃなくて、「みんな少しはイップス持ってるんでしょ」と思えればイップスに対するイメージも変わりそうですよね。


理由②たくさんの気づきを得られる

イップスと向き合って、より良くなろうと行動することでたくさんの気づきが得られると僕は思っています。

むしろ僕の場合はイップスになったからこそ得られた気づきや学びがたくさんありました

たとえば
・どうやって不安と向き合えばいいのか
・どうすれば効率よくボールに力を伝えられるのか
・苦手なことをカバーするにはどうするのがいいか
などの課題に取り組むうち、自分の中で引き出しが増えてきました。

個人的な意見ですが「イップスかも」と感じたとき、メンタルだけでなんとかしようとするのはオススメしません。
身体のことや技術のことを含めて幅広く取り組んだほうが良いと思ってます。

なぜなら強い不安からイップスになっているとしても、不安の原因はメンタル以外にあるかもしれないからです。

僕が若手の頃にイップスになったときは、メンタルよりも身体が原因でした。
身体のコンディションの良くないままキャンプを過ごしてしまい、少しずつフォームが崩れていきました。

フォームをどれだけ直そうとしても進歩はなかったです。
次に周りから「メンタルだ」と言われて勉強したり試行錯誤したりしましたが、大きな進展はありませんでした。

ですが、身体の動き(特に肩甲骨まわり)をトレーニングやストレッチで広げていくと少しずつボールに強さが出てくる実感がありました。「これだ」と感じた瞬間です。

ただメンタルのことを勉強したことは今も活きてます。結果的には心技体それぞれに課題をもって取り組んだからちょっとずつ良くなっていったんだと思ってます。

イチローさんがテレビ取材の中で

人体の動きを理解ながらプレーすればケガを防ぐこともできる

と発言されてました。そのことを身をもって体感できた気がします。

トレーナーやトレーニングコーチ、理学療法士、医者などたくさんの方に教えて頂きました。もし僕がイップスになっていなかったら、ここまで勉強しなかったと思います。

イップスになったことに感謝するときもあるほどです。

まとめ

以上、イップスがそんなにネガティブじゃないと思う理由でした。

サクッと振り返ります。
理由① ほとんどの人がイップス持ち
不安を感じない人はいません。だからほとんどの人が小さなイップスを持っています。不安は悪いものじゃなくて、付き合い方次第では仲良くなれるはずです。

理由②たくさんの気づきを得られるから
イップスにならないと気づけないこともたくさんあります。心技体バランス良く取り組めば、必ず今より成長できると僕は信じています。


僕は「どうやってイップスを克服したんですか?」と聞かれることが結構あります。
実際に僕がイップスになってから取り組んだことは話せますが、話すたびに心の中が少しモヤモヤしていました。

なぜなら僕は「イップスは治らないもの」だと思っているからです。

次回の記事では
・イップスは治らないと思う理由
・イップスの研究は進んでいる
という話を書くつもりです。

次が最後になる予定です。
引き続きよろしくお願いします。


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