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『ごめんね青春!』全話レビュー

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TBSの2014年10月期日曜劇場『ごめんね青春!』(脚本・宮藤官九郎)の全話レビューを書く予定です。
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記事一覧

『ごめんね青春!』第9話をレビューする

■第9話「今日大事な人にごめんねとさよならを言います」(2014.12.07 OA)これまで、回想シーンとラジオの生電話でしか登場しなかったりさの姉・祐子(波瑠)が、第8話のラストでついに14年ぶりにその姿を現します。

その登場が、どうにも不吉で不穏なラスボス感を醸し出しているのは、祐子こそ、平助(錦戸亮)の代わりに礼拝堂放火の嫌疑をかけられ、一度は街の外に追われた“追放者”であり、そんな彼女が

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『ごめんね青春!』第8話をレビューする

■第8話「息子が女子? 合併解消! ついに告白!」(2014.11.30 OA)いやあ、いわゆる「神回」ってやつだったのではないでしょうか。

ドラマのレビューをする際に、制作の舞台裏を勘案に入れるのは無粋またはルール違反、と思われる向きもあるかと思いますが、この第8話はクドカン自身が傑作だと自負しながらも、当初、放送尺を大幅にオーバーする脚本を書いてしまい、数十分にわたる分量を泣く泣く削った、と

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『ごめんね青春!』第6話をレビューする

■第6話「ヒーローは最後にやってくる!」(2014.11.16OA)ああ、恥ずかしい!
私はねえ、恥ずかしいですよ!

…あ、いきなり懺悔とかしてすみません。
何が恥ずかしいって、私は前回のレビューで<罪を犯した者にだけ母親が菩薩となって見える>というこのドラマの作劇上の仕掛けを指摘しました。
<自分の罪悪感を咎める存在でありながら、同時にそんな自分を慰めて自己憐憫の気持ちを満たしてくれるのもまた

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『ごめんね青春!』第5話をレビューする

■第5話「仲間のため学校のためプライドを賭けて走れ!運命の駅伝スタート!」(2014.11.09OA)りさ「初めて心を許した相手を生涯かけて愛し、添い遂げることが幸せなんです」

私は不勉強ながら、厳格なカトリックにおける恋愛観、結婚観をよく知りません。実際、時代によっても教義の解釈は刻々と映り変わってきたでしょう。
しかし、少なくともこのドラマの中で、りさ(満島ひかり)は“運命の相手と生涯添い遂

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『ごめんね青春!』第4話をレビューする

■第4話「恋の嵐!ガッついていこう!」(2014.11.02OA)14年前、交際していたサトシ(永山絢斗)にそそのかされて、礼拝堂に火を放った—とされている—姉・祐子(波瑠)の行動を、りさ(満島ひかり)はこの回の冒頭で、以下のように切って捨てます。

りさ「姉の行動は短絡的で自己中心的で軽蔑に値します。それが恋愛だと言われたら、経験のない私にはわからないし、わかりたくもありません。自分を律すること

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『ごめんね青春!』第3話をレビューする

■第3話「運命の学力テスト! 受験生必見!」レビュー(2014.10.26OA)かつての親友にして恋敵だったサトシ(永山絢斗)と14年ぶりの再会を果たした平助(錦戸亮)。
そこでサトシは、平助がひと目惚れする前から、祐子(波瑠)とは合同文化祭の実行委員として知り合い、しかも先に告白までされていたことを打ち明けられます。
しかし、サトシの記憶の中で、祐子は平助の気持ちを知りながらサトシと付き合う“悪

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『ごめんね青春!』第2話をレビューする

■第2話「お前しか見えない!」レビュー(2014.10.19OA)歴史的な犬猿の仲にありながら、合併を余儀なくされた男子校・東高と、女子校・三女。
お互い、3年生の1クラスを半数ずつ交換し、卒業までの半年間をお試しで共学化することになりました。

しかし、三女でクラスを受け持つことになった国語教諭の原平助(錦戸亮)は、前回、しょっぱなの挨拶でヘタをこいてしまい、女子生徒たちの反感を買ってしまいます

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『ごめんね青春!』第1話をレビューする

クドカンの『あまちゃん』後第一作目ということで、いやが上にも期待が高まる新ドラマ『ごめんね青春!』ですが、その第1話を見て、想像以上にこれまでのクドカンドラマ史を塗り替えるエポックメイキング的作品になりそうな予感がしたので、これからその期待がよっぽど大ハズレにならない限り、極力全話のレビューをしていきたいと思います。

■第1話「恥と後悔と初恋の記録」レビュー(2014.10.12OA)まず、この

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