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‟住宅ローンの審査基準”についてわかりやすく解説!

皆さん、こんにちは。フクロウ会長です。

今回お話しする内容は、「住宅ローンの審査基準」についてです。

銀行などの金融機関が、「あなたのなにを見て審査の可否を決めるのか」「どんなことを改善すれば審査が通りやすくなるのか」を知っておくことで、より好条件の住宅ローンを借り入れられます。

ただ、前提として知っておくべきなのは、金融機関によって審査基準は異なること。また、各金融機関は審査基準を明確にしておらず、もし審査に通らなかったとしても「なんで審査を否決としたのか」という理由については、教えてくれないことがほとんどです。そのため、住宅ローンの審査基準というのは、曖昧な部分を含んでいるものだという認識が必要です。

では早速、住宅ローンの審査基準についてお話ししていきます。

住宅ローンの審査基準は、大きく分けて3つです。

1.年齢・健康状態
2.勤務状況
3.物件自体

審査基準1 年齢・健康状態

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住宅ローンの審査基準の1つ目は、ローン債務者の「年齢」です。

多くの金融機関では、住宅ローンの借入時の最低年齢は20歳以上と定めています。また、借入時の年齢は、70歳や65歳を上限としているのが一般的です。さらに、住宅ローンは数十年に渡る長期的な支払いが前提ですので、完済時の年齢の上限が決まっています。

国土交通省がおこなった調査によれば、アンケートを取った金融機関の約8割が、完済時年齢の上限を80歳としています。上限年齢が80歳だとすれば、仮に35年の住宅ローンを組むとすれば、ローンを組める年齢のリミットは45歳だと計算できます。

そもそも、住宅ローンを借り入れるには、「団体信用生命保険」への加入が条件となっているケースが多いものです。団体信用生命保険とは「団信」ともいわれる、住宅ローンの返済中に万が一のことがあった場合に、保険金によって残りのローンが弁済されるという保証制度のこと。団信の中には、債務者の死亡のみならず、三大疾病や重度障害となった場合にも保証されるプランがあります。この団信の加入可能年齢が80歳となっているため、住宅ローンの完済時年齢の上限もまた、80歳となっているケースが多いのです。

団信への加入時には、年齢のみならず「健康状態」についても審査されます。審査方法は、健康診断書などの提出や過去の病歴や通院歴のヒヤリング。ここで嘘をついてしまうと、いざというときに保証金が降りなくなる恐れがありますので、必ず事実を告知しなければなりません。健康状態の判断によっては、団信への加入ができなかったり、金利が高いローンにしか申し込めなくなったりすることがあります。

審査基準2 勤務状況

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住宅ローンの審査基準の2つ目は「勤務状況」です。

勤務状況の審査については、「雇用形態」「勤務先」「勤続年数」「年収」に分けて詳しく解説していきます。

雇用形態

正社員、契約社員、派遣社員、自営業、経営者…などの「雇用形態」は、住宅ローンの審査に大きく影響します。近年、勤務形態は多様化していますが、基本的には正社員でなければ住宅ローンの審査を通過することは厳しいとされています。

住宅ローンの審査は、金融機関側からしてみると長期間にわたってローンを返済できるかどうかを見極める大切な場面です。そうなってきますと、やはり非正規社員は正社員と比べて仕事や収入が安定しない恐れがあるため、審査ではどうしても不利になってしまうのです。

また、自営業者や経営者についても、仕事や収入の安定性に欠けると判断され、住宅ローンの審査では不利になってしまう傾向にあります。ただ、逆に言えば「この人にお金を貸しても、ちゃんと返してもらえる」と判断されれば、住宅ローンの審査は圧倒的に通りやすくなります。具体的には、業績や年収を安定させる、できるだけ多くの購入資金を貯めておく、現在抱えている借金を減らすなどの方法によって、自営業者でも審査を通すことは可能です。

勤務先

仕事や収入の安定性を図る審査項目には、「勤務先」も含まれます。公務員なのか一般企業なのか。一部上場の大企業なのか中小企業なのか。といったことですね。

ただ「大企業だから安泰」と必ずしも言えなくなった今の時代、勤務先の規模だけで収入の安定性を図ることは難しいという見方が増えてきました。平成31年3月に国土交通省が出した調査結果報告書によると、融資を行う際に考慮する項目として「雇用先の規模」を挙げた金融機関の割合は、1年前の22.3%から20.0%と2%以上低下しています。とはいえ、まだまだ勤務先が重視されることには変わりありません。

勤続年数

「今の企業に何年間勤めているか」という勤続年数もまた、審査に大きく影響を与えるものです。勤続年数が短い場合は「収入の安定性が低い」と判断され、住宅ローン審査に通りにくいとされています。先ほど「勤務先を重視する金融機関の割合が減少している」というお話をしましたが、その一方で、勤続年数を重視する金融機関の割合は、平成29年度の92.8%から平成30年度95.7%と、3%近く上昇しています。転職したばかりで勤続年数が短いと、今後の収入アップの見込みが判断しづらいため、審査を通過できない可能性が高まるのです。

逆に、勤続年数が長ければ長くなるほど、将来の年収も高くなると判断されやすくなります。国交省によれば、勤続年数の基準を「1年以上」としている金融機関が半数以上です。ただ20%ほどの金融機関は、勤続年数の基準を「3年以上」としています。

とはいえ、基準は1つの目安であり、転職したばかりで勤続年数が短いとしても「キャリアアップのために同業種へ転職した」というような場合には、審査が有利に運ぶことも考えられます。勤続年数が長い方が審査に通りやすいといえますが、単純に年数だけを判断されるのではなく、契約者の収入の安定性や収入アップの見込みを判断する項目として重視されているということです。

年収

住宅ローンの審査基準には、年収に占める返済額の割合、すなわち「返済比率」も含まれます。

たとえば、年収500万円の人が1年間に100万円を返済するとすれば、返済比率は20%となります。この返済比率は、金融機関によって30%や35%など制限が決まっているのですが、注意点として、住宅ローン以外の「その他の借り入れ」についてもこの返済比率に含まれてしまうことがあげられます。

どういうことかというと、たとえば「カーローンを毎月5万円返済している」とすれば、住宅ローンとして借り入れられる可能額が月々5万円減ってしまうということになるのです。

さらに、住宅ローン以外の借り入れというのは、多くの場合で住宅ローンよりはるかに金利が高いものです。とくに最近では、住宅ローンの金利水準は著しく低下しており、長期固定金利だとしても1%前後で推移していますが、キャッシングやカードローンの金利は10%を超えることもしばしば。住宅と比較して少額の借り入れだとしても、月々の返済額の負担は大きく、その分、住宅ローンとして借り入れられる額が引き下がってしまうのです。


審査基準3 物件

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審査基準には債務者の勤務先や年収に関することだけではなく、物件自体の担保価値についても確認されます。

金融機関が物件の担保価値を確認するには、売買契約時の「重要事項説明書」などをチェックします。「重要事項説明書」とは、不動産契約前の最終確認書として不動産会社の有資格者から交付される書類のこと。重要事項説明書という名前が示すとおり、物件の説明書ですね。

この重要事項説明書ですが、仲介業者を介さない個人間売買や親族間売買では、取り交わすことがありません。重要事項説明書がなく、物件の価値や状況の詳細が確認しづらい不動産に融資するというのは、金融機関にとって大きなリスクとなってしまいます。さらに、仲介業者がいない場合には、売買金額の適正性や契約自体の正当性についての判断も難しくなるものです。そのため、個人間売買においてローン審査に通過することは、非常に難しいとされています。

また物件によっては、住宅ローンの融資は受けられるとしても、住宅ローン控除が受けられないものがあるので、その点も注意しましょう。

「住宅ローン控除」とは、年末のローン残高または住宅の取得対価のうち少ない方の金額の1%が、10年に渡り所得税・住民税から控除されるという非常に大きな減税制度です。ただし、どんな住宅でも控除が受けられるというわけではなく、次のような要件があります。

1.自ら居住すること
2.床面積50㎡以上
3.借入期間が10年以上
4.合計所得金額が3000万円以下

これらは新築であるか中古であるかに関わらず適用される要件です。

さらに中古住宅では、「耐震性能を有していること」が要件の1つとなります。「耐震性能を有している」とみなされるには、“一定年数以下の築年数であること”あるいは“耐震基準に適合していることが確認された住宅であると証明されたこと”が必要です。

住宅ローン審査に通ることは大事ですが、借り入れた「後」のことも考えると、住宅ローン選びの前である物件選びも重要になってくるということです。

住宅ローン審査に落ちる理由

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住宅ローン審査が否決となってしまう理由としては、これまで説明してきた3つの項目が審査基準を満たしていなかった場合とともに、個人の「信用」に問題があると判断されてしまったことが考えられます。個人の信用は、所定の信用情報機関によってこれまでの各種支払いの遅延状況や滞納履歴を確認することで判断されます。

住宅ローンを融資する金融機関は、この信用情報を厳しくチェックしており、キャッシングの返済やクレジットカードの引き落としが一定以上遅延していた場合は、住宅ローン審査否決の大きな要因となりえます。「個人の信用問題」については、こちらの記事で詳しく解説しておりますのでご覧ください。


以上、ここまで住宅ローンの審査基準についてお話ししてきました。

今回は詳しく取り上げませんでしたが、連帯保証人や家族構成、国籍、所有資産なども審査で見られる項目として挙げられます。冒頭でお伝えしたように、「銀行などの金融機関が、何を見て審査の可否を決めるのか」「どんなことを改善すれば審査が通りやすくなるのか」を知っておくことで、より好条件の住宅ローンを借り入れられます。

弊社は住宅ローンのコンサルティングを通じて多数の金融機関との取引実績があり、住宅ローンアドバイザーの有資格者が複数在籍し、どの項目が住宅ローン否決の要素になっているのかを熟知しております。そのため、他社で住宅ローンが否決となった方でも、他の金融機関を利用して住宅ローンを組める可能性が大いにあります。

住宅ローンが通らなくて困っている方だけではなく、「自営業の方」「親族間売買でなかなかローンが通らないという方」「正社員ではないという方」「収入が少ないという方」「その他の借り入れが複数あるという方」も、どうぞお気軽にご相談ください。