SIerは何が本当にやばいのか

SIerで働く人の多くはITに詳しくないです。もちろんITに関わりの無い人と比べると知っていますが、自分一人で何かを作り上げられる様な人はほとんどいません。
入社したての頃は研修を受けたり、資格取得のためだったりで勉強もしますが、偉くなってくると管理業務ばかりになり、ITについて学ぶこともやめてしまいます。資格も情報処理技術者試験の高度試験資格を一つでも持っていれば安泰です。それ以上は求められません。
最新の技術をあまり知らないはずなのに、なぜか的を得た(得た派です)意見をしてくる偉い人もいたりして、そんな人が格好いい扱いされたりもします。

そんなSIerで何か新しいことをしたければ、最新のITを知らない人向けに説明資料を作り、説明し、承認をもらう必要があります。それも何人にも。偉そうな人に向けて。
用語さえ知っていれば一単語で済むことでもしっかりと説明し(なのにA3用紙1枚にまとめろとか言われたりして)、それでも理解してもらえないことも多く、だいたいの場合はこっちの本気度で判断されます。会社としても、若手にも積極的に挑戦させる会社なんて、自画自賛していたりもします。

長々と書きましたが、こんな面倒なSIerですが、こんなことは大した問題じゃないです。サラリーマンなので。

言いたいことはグローバル化が進んだ結果、日本のSIerが脅かされているということですが、ついでに細かい話もいくつか。

グローバル化

どの業界でもだと思いますが、IT業界でもグローバル化が進んでいます。ただ、IT業界では外資の企業に圧倒的に負けています。
日本のSIerが海外市場で上手くいっていない一方で、日本の市場は外資のIT
企業に奪われています。

日本のSIerが海外市場で上手くいかない理由ですが、もちろん言語の壁や文化の壁も理由ではありますが、それ以上に開発の仕方の違いが大きいです。
日本以外の大規模開発では(中規模開発でも)ほぼ確実にオフショアのエンジニアを利用します。
もちろん日本のSIerもオフショアの利用が奨励されていて、一応使っていたりしますが、欧米の企業と比べると使い方が違います。
日本が中国やベトナムのそこまで安くも優秀でもないエンジニアを作業者として使うのに対し、欧米の企業のほとんどはインドの安くて優秀なエンジニアをちゃんとエンジニアとして使います。
その結果、価格でも技術力でも勝てなくなっています。

日本のIT市場は若干特殊なので守れている部分もありますが、徐々に日系のSIerはシェアを奪われてきています。理由は日本のシステムと海外のシステムの差がなくなってきている(アメリカのシステムが標準になってきている)ことが大きいです。日本企業は過去の実績(類似システムの開発経験があるか)を気にすることもあって、外資系の企業に任せるケースも増えてきています。

ちなみにグローバルで見てもSIerへの需要は減っていません。欧米企業の場合、自社開発に切り替えている企業も多いですが、SIerは必要とされています。人を集める必要があったり、他のとこでの事例を活用したかったり、リスクを転嫁したかったり。

サラリーマン以外が増えている

ITの会社に入社したと思っている人が増えていますが、残念ながらサラリーマンです。
SIer業界は人が足りていません。なので色々な人が入ってきます。
ちゃんと情報系の学部を卒業した優秀なエンジニアも入ってきます。そして挫折します。環境の古さに、組織の古さに、ルールの古さに、考え方の古さに、面倒なしがらみに。
大規模な開発をする場合、そんな面倒な色々を上手く調整しつつ、適度なところに着地させるサラリーマン的な能力が求められますが、誰もやりたがらない結果、プロジェクトに失敗するケースが増えています。

チェックリスト

日本の会社はチェックリストが好きです。何か失敗する度にチェックリストに項目を追加します。再発を防止するためにチェックリストに追加しましたと、お客さんにも報告します。
チェックリストがあること自体は別に良いのですが、一度追加したものはなかなか削除できません。
開発を進めようとするとアホみたいな量のチェック項目を確認する必要があり、効率が悪くなっています。

マニュアル

何か新しいことをする時にマニュアル作成が求められます。新しいツールとか、流行りのソフトとか先ずは使ってみるということがなかなか出来ません。使う前に比較して、使う前にマニュアルを作成してという、無駄に難易度が高く、最高に無駄なことをします。
その結果どんどん新しいものに疎くなります。

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