顧客満足度を上げる、語られない方法論~銀行の「マーケティング」と「営業企画」の教科書~
「お客さま満足度を向上させるため、サービスの品質を向上させよ!」
そんな説教は、みなさん聞き飽きていることでしょう…
しかーし、サービス品質を向上させずとも、お客さまの満足度を上げる方法があることをご存じでしょうか?
「期待値を下げる!」
それが答えです。
そもそも「満足」はどうすれば生まれるのか。
それは、結果がお客さまの期待を上回ったときに生まれるのです。
「お客さまのために汗をかく」精神論は否定しません。ですが、できる営業マンは、お客さまの期待をうまくコントロールしているのも事実。
今日は、私自身が体験した具体的エピソードを3つご紹介します。
「リッツカールトンで最高のサービス」のはずが・・・
私、人生で1度だけ、六本木の「リッツ・カールトン東京」に宿泊したことがあります。
すべての従業員に「おもてなし」の精神が徹底されている超一流ホテル。
自然と期待値が上がります。
しかし・・・、朝食時に大変残念な出来事が・・・。
朝食会場の前は10人くらいの行列。なかなか進まず、10分から15分程度待たされたでしょうか。
私が期待していたのはこんな声かけです。
声はかからず・・・、だんだんイライラ。
朝食会場で待たされるなんて、普通のホテルならよくあること。これがリッツではなくて、アパホテルなら何とも思わなかったでしょう。
はじめから期待値が高いと、その期待値を上回ることはなかなか困難です。
ちなみにリッツさんの名誉のために、その後いただいた朝食はめっちゃ美味しかったことは付け加えておきます。
「社長、この投資信託、損するよ!」
私の元上司(当時支店長)に、驚くべき営業を行っていた人物がいます。
どうか、コンプラ違反はなかった前提で聞いてください。
支店長と部下のAさんは、ある優良取引先の法人代表者を訪問。
新任マネーアドバイザーのAさんは、お客さまのニーズに沿って、一生懸命運用商品の説明を行います。
あと一歩で、成約しそうなタイミング。ここで支店長の一押しがほしい!
ところが、Aさんは、支店長の驚くべき一言を耳にします・・
「社長、この投信、損するよ。絶対損するからね。」
「じゃ、次の予定があるので、先に失礼します」
あっけにとられるAさん・・
「それじゃ、10百万円購入してみよう(笑)」
Aさんは何がなんだかわからないまま、お客さまのリスク許容度や適合性を確認して、契約にこぎつけました。
3ヵ月後・・・支店長に電話が!
「支店長、〇〇ファンド値上がりしとるやん!!すげーー」
この話の本質は、本当は違うところにあるのですが、その話はまた別の機会に・・・
融資担当者は「首をタテにふってはいけない」
最後は、私自身の失敗談です。
ローンを担当していた20代の頃、あるお客さまがご夫婦で「おまとめローン」の相談に来店されました。
年収や他社借入のヒアリングを終えて、直感的に審査は大丈夫と考えてしまった私。「きっと、お役に立てると思います」的なことを言ってしまったように記憶しています。
しかし・・・審査の結果は「否決」。
こんなとき、担当者は「総合的判断で・・」とお詫びするしかありません。
これを聞いたお客さまは、態度を豹変させて激怒!
苦情につながってしまいました。
その後、先輩からは「融資の相談を受けるときは、審査は通ると思っても『首はナナメに下ろせ!』」と教えられました。
お客さまにダメかもしれないと思っていただいた方が、審査が通ったときの満足度は高まるのです。
おわりに
3つのエピソード、みなさんどのようにお感じになりましたか?
結果がお客さまの期待値を上回れば満足度は上がり、期待値を下回れば満足度は下がります。
抽選のキャンペーンを企画するときも、その点に注意が必要です。
抽選に外れると「ぜひあたってほしい!」と願うお客さまの満足度は下げてしまうことになりかねません。
期待値と満足度の関係、あまり語られることはないですが、企画担当者として、ぜひ知っておきたい真理なのです。
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