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あなたはストロングポイントを伸ばす?それとも???(特別支援学校現場より)


ストロングポイントを伸ばしましょうって
どこの誰でも言えそうなくらいスタンダードになりましたけど・・・。
この長所、強みへの考え方、取り違えていると
その長所すら伸ばせなくなりますよというお話です。。

エピソードで説明しますね。

例えば、個別の支援計画,保護者さんからのききとりで、
得意なこと、強み、今後に生かしたい点、などの欄に
「音楽に興味があり、歌を覚えるのが得意です。」
とあったとしましょう。

その音楽に興味のある子の名前を仮に達也君にしておきましょう。

達也君ね、何気なくかかっている音楽にもすぐに興味をもって
口ずさんだり、音のなるメロデイ絵本が大好きでね。
耳元に充ててじっと聞いていて、これは〇これは〇を曲名を行ったりして楽しんでいるんですね。おしゃべりも上手な達也くんでした。

ここで、以前憧れの先生になるのお話で出てきた由香子先生です。
由香子先生は当時2年生だった、達也くんに対して、             音楽と関わっていることをあえてほめたり、
その力をあえて伸ばそうとされていなかったんですね。

その様子は立ち振る舞いをみていたらわかります。
ほかの先生が曲名を覚えるのが早いたつや君に曲名をきいていて、
その質問にニコニコ答える達也君。
達也君こんなこともわかるの?すごいねって拍手をしていても
その場所にいる由香子先生は、すっと場所をかえたり、あえて、反応しようとされてませんでした。

それよりも達也君が苦手な体を動かすことに
積極的に関りをもたれていました。、
四つ這いで山をのぼったたりすると、お山のぼれたねえ、
もう一回いこうよ!!とか、
上り棒やってみようよ!先生と一緒にやってみよう!って
積極的に達也君の身体に向き合おうとしていらっしゃいました。

あとは、達也君、集中力も途切れがちなことと、手先の不器用さもあり、
お着がえが苦手だったのですが、
達也君、かっこいいね、お洋服一人できれたよって・・・。自分のみのまわりのことができるようになると
それはそれは、たくさん褒めてらしていました。

由香子先生には過去の失敗があったそうで、
年齢の幼い子どもたち、自分の身の回りのことができない段階で、身体が育っていない段階で、得意そうなところにクローズアップして
誉めてばかりいると失敗するって、

得意をみつけたからといって、
小さいころからそのことにクローズアップして積極的に伸ばすことの危うさ。

達也君は身体の力、そのものが弱くて よくつまづいて、転んでいました。手元をみる力も弱く、いつも宙をみているって感じで、また指先の
使い方がとても不器用で、身の回りのことをやろうとすると、イライラすることも多かった子なんです。お話していること、自分の身体の動かし方に大きな差があったんですね。

由香子先生があえて、大好きで得意な音楽を
学校では見てみぬふりをしていたのは
得意な音楽、ピアノをひいたり、楽器を演奏するための道具を使うときに
あの身体のイメージ、軸のない姿勢、あの指先の動かし方では、達也君の音楽の才能が発揮できない、絶対に困るって。。。
大好きなピアノがしたいけど、座り続ける力が弱いから、姿勢が保てないから
自分の身体をうまく使えないことにイライラして、大好きなピアノにうちこめなくなる。

結果お手軽で何の力も必要のないメロデイ絵本の中の世界から抜け出れなくなるんじゃないかって思われたんですよね。音楽の楽しみは音を聞くだけじゃなくて、きっといつか、達也君なら、音を奏でることにも興味をもつはずだから、そのときに自由に身体か使えるようにって・・・そういう視点だったんですね。

だから、達也君にはまずは土台となる、身体と心を育てて、そして、いつかぞんぶんに得意な力を発揮してほしいって。

だから、強み、得意なことを伸ばすことに特化して
考えてしまう指導はその場しのぎになる 怖さがあるんですね。
周りのおとなも得意なこと、好きなことはわかりやすいもんだし、
本人の反応もよいものだから、
今向き合うところに向き合えなくなるんですね。


それって将来にわたって「得意」を本当に伸ばすになっていない。

達也君に足りなかったのは姿勢を保てる身体の力と集中力、
身の回りのことを自分でできるようになって、
日常の中の出来ない自分にさよならをして、自分に自信をもつこと。
自分ってできるんだ!という成功経験を大人と一緒に積み重ねること。

自分の身体が自分でコントロールできる力が必要ってこと。


これがあってこその得意なこととわかっていたからなんですね。

ココロと身体を育てている視点は絶対に忘れないでほしいなって思います。
そこがあってこそ‥のストロングポイントが生かせる人生。

若い先生方はこのストロングポイントをいかすために
「今」
どうするのか。。。
「何」を経験するのか
を考えられる先生
になってほしいなと思います!!


もちろん、達也君、ご自宅では習い事などで、大好きな音楽を広げる経験はされていたので、余暇や気分転換にはよいのですよ^^^


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