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「テクノ・ファシズム」の連続性─『「大東亜」を建設する 帝国日本の技術とイデオロギー』

戦時下において「技術」に希望を託し、合理的な統治と動員体制を築こうとした革新官僚と技術者たちがいた。帝国日本にとって「技術」とは何だったのか。「大東亜」建設の実相に、新たな視角から迫る力作。

アジア・太平洋戦争期、帝国日本の戦時動員のため「技術」という言葉が広範に使用されていた。それは単に科学技術だけではなく、社会全体の統治にもかかわるイデオロギーであった。狂信的な言説が吹き荒れたと思われる時代は、実は科学的・技術的な言説が力を持った時代でもあったのだ。本書では、革新官僚と技術者たちの動向を中心に、満州と中国における巨大建設プロジェクトを詳細に分析しつつ、戦後までをも貫く「技術」言説を思想史的に描き出す。新たな視角から帝国日本の核心に迫る、急逝した気鋭のアメリカ人研究者の遺作となった画期的研究。

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近代において,日本は科学技術の発展によって国家の発展・繁栄がもたらされた.
本書は,戦間期まで遡り,「技術」がいかに国家の繁栄に影響を与えてきたか,個人や集団,都市計画(「北京東西郊新市街地計画」)などの事例を分析し,検証する.
著者は戦間期において「技術」は単なる手法ではなく,イデオロギーを含んだ「良心に訴えかける説得」によって搾取するための技法として作用していたと説明する.それは戦時動員などに機能し,また,戦後における人びとの日常の価値観形成(家電メーカーのイメージ戦略など)にまで繋がったと説明し,戦時から戦後への連続性を明らかにする.

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