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日々雑感2018

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テキストなどを放り込んでいく場.基本的には読書録・映画録になると思います.2018年は精読を心掛ける!
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2018年6月の記事一覧

レクチャー「ゲームのノウハウで日本の建築は世界トップに立つ 」メモ

今日聞いてきたイベントについて簡単に備忘録.「建築」の部分を入れ替えれば何にでも差し替えれそうだが,色々と勉強にはなった(「建築」はほとんど関係なかった).今はゲンロン8のゲーム特集を読んでいるので,タイムリーといえばタイムリーだった.ゲーム系の読書録は下記. スピーカーはサイトウ・アキヒロ氏(亜細亜大学 都市創造学部 教授) 使いやすいインターフェースについて●ボタンだらけのリモコンは誰も使えない─使っていないボタン・機能が多い.機能を増やすためにお金かけて,結果として

秋葉原について

『シュタインズゲート ゼロ』に感化され,アニメの舞台でもある「秋葉原」について何か考えられないかと色々と勉強中. とりあえず『趣都の誕生』と『秋葉原は今』を読んで色々整理中. もう少し何か情報が欲しいなと思いつつ,秋葉原は「民間主導の街」であったことと,秋葉原にオタク文化が定着したのは戦略的な要素ではなく,たまたま郊外型大型電器屋の台頭により,秋葉原の昔からの電器屋系事業が勢いを落としつつあったところにラジオ会館に海洋堂が進出,それを契機にして文化が広まったっぽいが分かっ

「空間の拡張・人間の拡張」メモ─VR・AR・MRの建築・都市─Archifuture2017

お蔵入りになっていた講演会のログを加筆して公開. 2017年の「Archifuture」での基調講演. 東京大学の暦本純一氏による「空間の拡張・人間の拡張」と題した講演.ざっくり言えば人間とコンピュータの関係を探っていく,というもの(多分).非常に興味深かったので,追っていきたい内容. 目次 ●空間の拡張 ─Kinetic Facades ─では,「Kinetic Facades」の可能性とは? ─Mediated Reality(調停現実) ●人間の拡張 ─Flying

メタフィクション─『デッドプール2』

日曜日に観てきた。 前作『デッドプール』も良かったが、その良さを超えてきた。 今作は前作に比べて下品な要素は少なかったが、アクションなどの要素が派手になっていた。また、「デッドプール」というキャラクターの特性を上手く生かした上質なメタフィクションともなっていた。 前作では単純な二元論の話でヒーローものとしてはオーソドックスな話でしかなかった。しかし、デッドプールが他のヒーローと違うところは「不死」であることだ。「不死」であることの苦しみが今作では描かれていた。 最愛の恋人

ユーザージェネレイテッドな文化はどう醸成されていくのか?─『不合理だからうまくいく』

「超高額ボーナスは社員のやる気に逆効果?」 「水を加えるだけのケーキミックスが売れないのはなぜ?」 「子供に野菜を食べさせる秘訣は?」 「お金をかけるなら『家具』と『旅行』のどっち?」―― 行動経済学ブームに火をつけたアリエリーの第二弾は、より具体的に職場や家庭で役立てられるようにパワーアップ。 人間が不合理な決断を下してしまう理由を楽しく解き明かす! 『不合理だからすべてがうまくいく』改題文庫化。 ダン・アリエリーの『不合理だからうまくいく』読了。前作『予想どおりに不合理

秋葉原について2

前回のエントリからとりあえず付箋貼ったとことラインを引いたところを写経しつつ整理中。 「そのような大企業資本の後ろ盾に乏しいオタク趣味が、90年代以降、いくつかの要因が絡んで、秋葉原の電気街に磁場を形成した。そして1997年から急速に、電気街から日本一のオタクの聖地へと、その街を変貌せしめたのである。巨大な資本を投入した組織的開発でも行われたかのように、昔からの電器店が次々とオタク趣味の専門店に取って代わられ、アニメやゲームが壁を埋めるオタクの個室が、都市環境へとブローアッ

建築の「好み」─『建築のイコノグラフィとエレクトロニクス』

昨日、久しぶりに『建築のイコノグラフィとエレクトロニクス』のことを思い出したので、昔のメモを引っ張り出してみた。 ヴェンチューリの前2作『ラスベガス』『建築の多様性と対立性』よりは言及されることは少ないが、とても興味深い本だと思う。 『建築のイコノグラフィとエレクトロニクス』では、ヴェンチューリが影響を受けた人物として、ルイス・カーン、フランク・ファーネス、ヘンリー・ホブソン・リチャードソン、ヴィンセント・スカーリーなどが挙げられている。また、アルマンド・ブラシーニの「サン

秋葉原について3

メモ『こち亀』に限らず、「東京」を舞台としている漫画・映画・小説・写真は数多くある。それらは「東京」からある主題に基づいて情報を切り取り、それを別の媒体(フィルムなど)において転換・再構築し、新しい物語や価値を生もうとしている点で、全ての作品が「東京」をリサイクルしていると言ってもよい。しかし、その新しくつくられた「東京」がすでに流通しているイメージとしての「東京」の写像にすぎないのであれば、「東京」を新たなサイクルに乗せた(リサイクルした)とは言えないだろう。つまり、小津の

「設定萌え」の漫画について

浅草みどりはアニメ制作がやりたいが、一人では心細くって一歩が踏み出せない。 そんな折、同級生のカリスマ読者モデル、水崎ツバメと出会い、実は水崎もアニメーター志望なことが判明し・・・!? 金儲け大好きな旧友の金森さやかも加わって、「最強の世界」を実現すべく電撃3人娘の快進撃が始まる!!! 『映像研には手を出すな』を読んでいて、主人公の一人である浅草が言った 私の考えた最強の世界。 それを描くために私は絵を描いているので設定が命なんです。 というセリフに納得感が高かったので

スキン&フレーム(屍体標本系),インテグレーション(ノンヒエラルキー系),セクション・ディスプレイ(素材転倒系),スワッピング(部材転倒系)─隈研吾氏の建築から

役得な仕事で建築家の松島潤平さんのレクチャーを拝聴したので,ログ.内容としては,5月11日に『建築と「もの」』というレクチャーで行ったものと同様とのことなので,下記のURLにすべてまとめられている(こういうの素晴らしい!).というわけで個人的に気になったところだけざっくりと. 松島潤平氏は、建築家・隈研吾氏の事務所出身。 レクチャーのスタートは自身の隈建築カテゴライズを披露した上で、自身の作品へと繋げていた。自身が勤めていた事務所でのつくり方を思想的に深化させた上で、自身の

建築の,面白い本を紹介してみる3─想像力の極地を探求する『二笑亭綺譚』,『異形建築巡礼』

「二笑亭を見終わって、私は夕べの賑やかな街に出ても、私の頭には、何か鉄製の大きな〈たが〉が、はめられたように重苦しかった。我が家に帰ってきても、二笑亭の、度はずれた鉄材や石材を奇怪に用いた〈形〉を思い出すと、私の頭には、その狂える形が、不快に、重く、のしかかってきた。目をつぶっても、私の眼底には、妖気を含んだ残像が、おののき浮かんできて、身震いした。」 建築家・谷口吉郎による〈二笑亭〉についての文章 二笑亭とは昭和でも生粋の奇建築と呼ばれた建築である.この建築に注目した建築

「建築資料の後ろ側 アーカイブズに関わる仕事ー日本と海外の事例から」ログ

昨日,下記のレクチャーを聞いてきたので,簡単にログをば. あまり聞く機会のない分野でしたので,興味深かった.断片的なのでご容赦を. 講演者:藤本貴子さんについて磯崎新アトリエ勤務のち、文化庁新進芸術家海外研修員として建築アーカイブズの研修・調査を行う。現在、文化庁国立近現代建築資料館建築資料調査官。 アーカイブの仕事とは,展覧会や出版物になる前の資料整理. 磯崎新アトリエの秘書─広報用資料の管理などをやっていた.その後,コルビュジエ,アアルト,ミラーレス財団でのインターン