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食物アレルギー 自己判断はせず医師に受診を

免疫は、外から侵入してくる病原体などから体を守るための大事な機能です。しかし、特定の異物に対して免疫系が過剰に反応してしまう「アレルギー」に苦しむ人もいます。食物アレルギーの注意点を説明しましょう。

原因として多いのは鶏卵・牛乳・小麦

食物アレルギーの原因として多いのは乳児期が鶏卵や牛乳、小麦。幼児期以降は、魚卵やそば、甲殻類やピーナッツなどで発症する人が増えてきます。症状は個人差が大きく、ほんの少しの摂取で死に至るケースもあります。
 症状が出る人の割合は乳児7・6〜10%、2歳児6・7%、3歳児約5%、小学校入学以降は1・3〜4・5%とされています(食物アレルギーの診療の手引き2020)。鶏卵や牛乳、小麦は成長するにつれて症状が出なくなることが多い、とされていますが、そばや甲殻類など、成人になってから新たに発症する人が少なくない食品もあります。ほかの人がまったく問題なく食べられるものが、別の人にとっては死にも至る危険があり、社会として対処が非常に難しい問題です。

間違った情報に惑わされるとリスク被るおそれも

食べ物で症状が出たら、まずは医療機関を受診しましょう。医師は、問診や検査を組み合わせ、原因となる食物を突き止めます。診断がつくと、原因食品を除去した食事に切り替えたり、逆に医師の厳密の指導の下、少しずつその食品を食べて体の耐性を作ってゆく「経口免疫療法」などを行い、時間をかけて治癒を目指します。
 ときどき、「アレルギーが怖いから、離乳食開始を遅らせた」とか「子どもには鶏卵や牛乳は食べさせない」などと自分で判断する人がいますが、予防につながるどころかかえって、リスクとなるかもしれません。子どもが栄養不足に陥るケースがありますし、鶏卵やピーナッツなどでは、むしろ早くから少しずつ食べている子どもの方が、アレルギー発症割合が減る、という研究結果が多数出ています。
 インターネットや口コミは、不安を煽る間違った情報があふれています。たとえば、鶏卵アレルギーを持っていても、鶏肉や魚卵では発症せず、いたずらに避ける必要はありません。牛乳アレルギーの人は、牛肉を食べられます。
 “特殊な飼育で、鶏卵アレルギーの人も食べられる卵ができた”などという情報も出回ります。しかし、栽培や飼育法の変更により食品にそのような違いが出るとは科学的には考えにくいのです。
 原因となる食物をどれぐらい食べたら症状が起きるかについても、患者の個人差が非常に大きく、誰にでも当てはまるような目安を示すことはできません。加熱によりアレルギー性を引き起こしにくくなる食物も一部ありますが、加熱条件の違いや患者による個人差が大きく、はっきりしたことは言えません。
 いずれも、自分勝手な判断はせず、必ず医師に相談しましょう。原因食品を食生活から除去する場合には、別のどのような食品に置き換えて栄養バランスを整えたらよいか、食べる場合にはどの程度の量なら安全なのか。検査の結果を踏まえて医師や管理栄養士の指導を受け、食品表示もよく見て対処しましょう。

アレルギーの原因となる食物。鶏卵・牛乳・小麦で67%を占める。近年は木の実類の増加が著しく、ナッツブームにより消費量が増えたのが主な原因と考えられている。
出典:2018年度消費者庁「食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書」



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