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ベガルタ仙台 vs 湘南ベルマーレ 試合感想

1.スターティングイレブン

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スターティングイレブン

スターティングイレブンはほぼ予想通りのメンバーとなりました。

唯一予想と違ったのは右ウイングがゲデスではなく、ジャーメインだったこと。
ゲデスはYouTubeではスピードにも優れたプレーヤーだったので、実際に右ウイングとしてもプレーできるかは次節以降楽しみなポイントです。

小畑、蜂須賀、吉野、平岡、椎橋、松下、ゲデス、西村、長沢の9名はほぼ当確と予想しています。
ベガルタ仙台 vs 湘南ベルマーレ 試合予想

小畑はJリーグデビュー、西村はJリーグ復帰戦、途中出場の赤﨑はJ1通算100試合出場。また、元ベガルタ戦士の石原、大岩、古林との対戦ということで、再開戦だけではなく、うれしい話題がたくさんありました。

中でも、GKの小畑はJリーグデビュー戦にも拘らず、MOMに選ばれる活躍ぶり。ユース出身ですし、これからも一緒に闘えるのが楽しみです。

史上3番目の年少記録18歳7カ月27日でプロデビュー。高卒で活躍した元日本代表の川口能活、楢崎正剛らレジェンドGKに肩を並べ、初公式戦をフル出場の完封勝利で飾った。
仙台小畑、プロ初陣で完封デビュー 木山体制初勝利

2.ビルドアップ

アンカーの選手(椎橋)がディフェンスラインに降りる、3バックでのビルドアップを予想しました。理由は下記の通りです。

湘南のフォワードが2枚であること。
椎橋がフォワード-ミッドフィルダー間でボールを受ける際に、ターンがあまり得意ではないこと。
サイドバックの石原(もしくは柳、パラ)、蜂須賀がディフェンスラインでビルドアップを得意とするタイプではないこと。
ベガルタ仙台 vs 湘南ベルマーレ 試合予想

木山監督は、そんな期待をいい意味で裏切ってくれました。

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ビルドアップ:1-2-3-2-3

ビルドアップは4バック+アンカーで成り立っていました。
1番の特徴は両サイドバックだと思っています。

両サイドバックはアンカーの椎橋と同じ高さを保つことで、ボールを横断させることができるポジションをとっています。
椎橋の心地良いボールさばきが実現できた鍵でもあります。

仙台のビルドアップに対して、前線の人数が足りない湘南はインサイドハーフの選手にサイドバックへのプレッシャーを任せます。
仙台のインサイドハーフへのパスコースを気にしたり、アンカーへのパスコースを気にしたり、ウイングへのパスコースを気にしたりと、頭の中は忙しかったと思います。

湘南の選手を悩ませたのはサイドバックの高さが絶妙で、捕まえるには距離が遠かったこと。
そして、蜂須賀、崇兆は左右両足を器用に使える選手で、順方向(縦)へパスが出せる。縦のパスコースを切っても、中へドリブル可能と複数の選択肢を持っていたことです。

蜂須賀はここ数年、J1屈指のクロッサー。
崇兆は左右両足からのドリブルと高速クロスを武器としたサイドアタッカーでした。
こういった才能をゲームメイクに活かせるとは、正直思っていなかったので、木山監督の着眼点は本当にすごいですし、選手たちの努力に感動しました。

3.崩しの局面

両ウイングがハーフレーンに立ち位置をとり、両サイドバックが高い位置をとると予想していましたが、これも外れました。

両サイドバックは非常に高い位置をとることを予想します。
3枚のフォワードは、タッチライン際でプレーをするウインガーではありません。
その為、サイドバックが高い位置で、サイドアタッカーとしてプレーすることになると思います。
ベガルタ仙台 vs 湘南ベルマーレ 試合予想

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崩しの局面:1-2-3-2-3

ビルドアップの形のまま、両ウイングはタッチライン際にポジションをとったまま、サイドアタッカーとしてプレーしていました。
そして他の選手たちは、ウインガーが湘南の選手と勝負しやすい状態を作る動きをしていました。

例えば
右サイドではインサイドハーフに入った関口がが青のエリアへランニング。左サイドではサイドバックに入った崇兆が青のエリアへランニング。
ともに、ジャーメインや西村にカットインするスペースを生み出す動きです。
また、意図的にランニングせず、シンプルに縦に仕掛けるスペースを作ることもしていました。

両ウイングの破壊力は抜群で、特にジャーメインが元主将の大岩のサイドを何度も破ったのは燃えました。
大岩は後半、スタートポジションとは逆の右サイドへ配置転換となりました。ビルドアップの改善ももちろんあると思いますが、僕はジャーメインを止められないと判断した湘南が配置を変えたのだと考えています。
成長を見せつけたジャーメインは得点もありましたし、今年は新エースとして名乗りをあげることを期待しています。

4.ビルドアップ妨害

仙台のビルドアップ妨害は予想通り、センターラインの人数を合わせる、マンマーク思考の強い守備となりました。

ビルドアップ妨害は1-4-3-3でセンターラインの人数を相手に合わせることを予想します。
ベガルタ仙台 vs 湘南ベルマーレ 試合予想

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ビルドアップ妨害:1-4-3-3

長沢がアンカーの福田のマークにつくところからスタート。
湘南のディフェンスラインでボールを持てるのは中央のセンターバック 坂とゴールキーパー 冨居だけという状況を作っています。

当然ですがゴールキーパーはフリーな状況だからといって、奪われるリスクを考えると、どこまでもボールを運ぶことはできません。
これは3バックの中央の選手も同様です。
その為、クリーンにボールを運びたい湘南は最終ラインで数的優位を作るべく、アンカーの福田がディフェンスラインに降ります。
ここでの長沢の振る舞いが本当にインテリジェンス溢れる大人のプレーなので、ぜひ見てください。画像5

アンカー落ちに対する仙台の立ち振る舞い

長沢はあえて中央センターバックは無視し続け、アンカーにつき続けます。
前方のスペースの空いたセンターバックはドリブルで運びますが、その先はすべて捕まっています。
選択肢を失ってから、はじめて長沢はプレスバックします。
ディフェンスラインが崩れたままボールを失うのは避けたいので、ロングフィードを蹴りますが、人数も配置も揃っている仙台はセカンドボールを回収することができています。
この一連の流れを作り出した長沢のプレーは、まさにプロサッカー選手です。

尚、湘南の対策としては3パターンありました。

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1つ目は、ウイングバックの鈴木が低い位置でポジションをとり、サイドバックの蜂須賀がついてこれない高さをとること。
ジャーメインに対して守備の負荷が増えるので、クリーンにボールは持てるようになったと思います。
ただ、湘南の一番の攻め筋がウイングバックの鈴木のアーリークロスだったので、ゴールから遠ざかってもらえることは仙台としては都合が良いように感じました。

2つ目は先述した左右センターバック、大岩と石原の配置を変えること。
石原はウイングバックでもプレーできる足元に自信のあるプレーヤーなので、よりスペース・時間のない状況でもプレーできるという判断だと思います。
ただし、石原は右利きなので、どうしてもボールの循環が右回りになります。
先ほどの通り、湘南の一番の攻め筋は左ウイングバックの鈴木のアーリークロス。この手でも、鈴木はゲームから消えることになるので、大きな痛手にはなりませんでした。
尚、鈴木はゲームから消えた影響からか、途中交代となります。

3つ目は左センターバックに左利きの大野を入れることで、順足方向へのパス回しをスムーズにすること。
これが一番仙台としては嫌だったような気がしますが、仙台も同時に選手を変えていたので、どちらが鍵となったのかは分かりません。
どちらにしても、貴重な左利きのセンターバックがファーストチョイスではない理由は分からないままでした。

5.撤退守備

撤退時の守備はウイングの片方を前線に残した、1-4-4-2のブロックを予想していましたが、外れました。

自陣に撤退する場合は、西村をフォワードからサイドハーフに落とした1-4-4-2になることが予想されます。
ベガルタ仙台 vs 湘南ベルマーレ 試合予想

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撤退守備:1-4-5-1

撤退時の守備はフラットな4-5のブロックで、中央3レーンに堅さを持たせています。
サイドへのパスやクロスは許容しているようで、弾き返せる自信を感じられました。
また、ウイングバックに攻め入らせることで、ポジティブトランジションでの両ウイングが起点となるポジションを優位にとれることも含めていたと思います。

1番の特徴は1-4-1-4-1のあからさまなアンカーシステムで守っているのではなく、3センターとして守っていることだと思います。
アンカーの椎橋の動きをみていると1人だけディフェンス-ミッドフィルダーライン間で浮いているわけではなく、しっかりインサイドハーフの選手と紐づいて、3センターで守れているのが分かります。
アンカー脇と呼ばれる場所は急所なのですが、例えばナーゲルスマン時代のホッフェンハイムは同じ1-4-3-3で守備時は3センターで立ち振る舞えています。
どことなく欧州らしい雰囲気を感じたのはこういった部分にあると思っています。

6.J1再開に関して

いま、Shonan BMW スタジアム平塚で思い出すのは2018年のルヴァンカッププレーオフ 第1戦。
RIZAPのスペシャルデーで湘南の前監督である曺監督が痩せることをコミットメントしますと言っていました。
試合はというと、0-3で負けて、本当に悔しかった。
鳴りやまない梅崎の応援歌、帰り道で聞いた「仙台弱い」という言葉は未だに忘れられません。

多くの人が努力して、やっと再開できたJ1。本当にありがとうございます。
でもまだ、サッカーは戻ってきていないです。

本当のホームの湘南はもっと強いですし、カッコイイです。
次は鳴りやまないAURAと、帰り道に「仙台強い」と言わせるために。
またここから頑張りましょう。

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