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第41回Book Fair読書会~読む人の顔が見たい~

ふっかー復活委員長(Book Fair読書会)

4周年を迎えたBook Fair読書会。今回は東京・渋谷区にある、『あーとカフェ 笹峯ぎゃらり』さんで開催しました!(2019年12月の番外編以来、本当に久しぶりでした)

月並みな言葉ではありますが、「どう生きるか」見つめ直す、きっかけの時間になったと思います。

その中で、特に「今は(特に若い人が)すぐ正解を求めてしまう」という話が盛り上がりました。参加者さんそれぞれに、思う所があったようです。

また、生きる上で避けられない悲しみや死と、いかに向き合うのか。それを考える契機にもなったのではないでしょうか。

それでは、本と帯の紹介をどうぞ!
※カッコ内数字は、参加してくださった回数

じゅんさん(3)→下村千秋『飢餓地帯を歩く――東北農村惨状報告書――』青空文庫

【当たり前が当たり前じゃなくなることもある】

◆本の紹介、帯の解説
〈1〉1931年、大飢饉が襲う東北地方を取材したノンフィクション。極寒の地で電灯も布団もなく、原始的に暮らす人々の絶望を記す。

〈2〉一番びっくりしたのは、茶碗一杯のお米を家から家に回し、目で見て喜んでいるという話。
しまいには、(あまりの不作に)お米を盛った茶碗を病人の枕元に置けば、治るとまで言われる始末。昭和の時代に、そんな苦しい生活をしている地域があったことに驚く。

〈3〉〈その土地が、全く食物を実らすことができなければ、美しい自然も風景もあったものではないのだ〉
この一文を読み、食べ物に対する「いただきます、ごちそうさま」の精神は、今も大切だと思いました。

◆雑談、こぼれ話
・食料自給率が低い現代の日本でも、世界情勢次第ではありうる事態かも。
・東京が停電の危機に陥った時、電力会社はどう対応している?
・青空文庫から初の紹介。ビューア系アプリを使うと、レビューやランキングも参照できて便利。

LauLauさん(11)→本谷有希子『ぬるい毒』新潮社

【痛い女の悪いロールモデル】

◆本の紹介、帯の解説
〈1〉19歳の由理に突然、高校の同級生と名乗る向伊から電話が。顔も知らぬ、正体不明の男に出会う時、「痛い女」が始まる…

〈2〉由理は向伊を「魅力の塊」と評するも、次に会ったのは1年後。今度は彼の取り巻きも一緒だった。話術で持ち上げたり落としたり、怪しすぎる男たちを、「夢中なフリ」で弄ぼうとするが…

〈3〉由理は、向伊たちと「演技の関係」をやめられない。自信はなく、自己肯定感も低いけど、自意識過剰。この痛さを楽しめたら、きっと本谷有希子にハマるはず。

◆雑談、こぼれ話
・主人公がなぜ、向伊を「魅力の塊」と思えたのか、文章から伝わってこない点が不思議(LauLauさん)→読者にも納得できる魅力を感じさせてしまったら、終わり?(RUIさん、mayuさん)/ズルズルと関係を続けるのに、理由なんて要らない?自分の内側ばかり見ていて、相手のことなんて本当は見えてない?(ふっかー)

RUIさん(初)→土井善晴、中島岳志『料理と利他』ミシマ社

【料理研究家と政治学者が語る語る 料理、民藝、宗教、哲学・・・ 利他ってこんなところにもあったのか まるで教養のデパート!】

◆本の紹介、帯の解説
〈1〉「利他」をテーマに読書する中で見つけた本。土井先生(料理研究家)と中島先生(政治学者)が、運命的に出会い対談!私が「考えてみたかったこと」に溢れる一冊でした。

〈2〉料理を通し「利他は誰のため?」を考える中島先生と、「料理を作る人と食べる人の間に利他が生まれる」と解釈する土井先生。異分野でもお互いを知ろうとする姿勢が、トークを面白くする。

〈3〉「家庭料理はまずくなりようがない」と語る土井先生。食材が元々持っているものを引き出す、そして「ケの日(⇔ハレの日)」の料理は頑張りすぎない…。自宅での食事に悩む人を楽にする言葉が、利他をより身近に、そして深く考えさせてくれます。

◆雑談、こぼれ話
・「いい塩梅を意識する」「じゃがいもの機嫌を気にかける」「環境問題をまな板から考える」…これらも全部、利他!
・相手ありきの料理ができれば、結果的には自分が嬉しい。「食べる人」の顔が見たいから、カウンターキッチンが好きな「作る人」は多い。(こーせーさん)
・料理に疲れている人、もしくは思考の幅を広げたい人におすすめ。(RUIさん)

↑『料理と利他』の冒頭が、こちらのサイトで読めます!

mayuさん(2)→佐藤雅彦、大島遼、廣瀬隼也『解きたくなる数学』岩波書店

【「数学」は意外と身近な所にもある。し、おもしろい。】

◆本の紹介、帯の解説
〈1〉Eテレ『ピタゴラスイッチ』を監修する佐藤雅彦さんの研究室から生まれた、おしゃれで楽しい問題集!

〈2〉お風呂のタイル、チョコレート、電車の窓・・・数学は意外と身近にあるし、おもしろい!(でも、「おもしろい」と言うと何か気持ち悪いので、すみっこに小さく、小声で…)

〈3〉大人になったら、数学の知識は使わないかもしれない。でも、数学を通して身に付けた「ものの考え方」は、社会に出ても必ず役に立つ!

◆雑談、こぼれ話
・「数学なんて社会で使わないよ」と言う子どもの心理を考えてみる→生き方の選択肢が増え、迷いが生まれた?
・学生時代の勉強には必ず答えがある。でも社会に出たら、答えは・・・?
・今の若者は、自分で考える前に「正解」を知りたがる。失敗に対する不安が強い?
・「安野光雅さんの絵本を思い出します」との感想も!

はらさん(3)→佐々涼子『エンド・オブ・ライフ』集英社

【自分らしく生きるために死を知ること】

◆本の紹介、帯の解説
〈1〉京都の在宅医療チームと、その診療所に勤め、自らも末期がんとなった訪問看護師。二つの軸で取材し、当事者の言葉やエピソードを収めた本。著者自身が、母を看取った話も入っている。

〈2〉近年「死生観」という言葉が出てきたけれど、まだまだ「死」を語ることはタブー視されがち。でも、誰にでも訪れるからこそ、「死」について知る意味はあるのではないか。

〈3〉例えば、喪失体験の段階的な受容を「悲嘆作業」と呼ぶ。身近な人が亡くなった時、この作業ができないと、一気に生活が崩れてしまったりもする。持っておいた方がいい知識は、いくつもあると思います。

◆雑談、こぼれ話
・「悲嘆作業」は死だけでなく、退職など(環境の変化)の絶望感に対しても重要になる。
・何かを失うと、自分の一部が死ぬ?→さっきの「利他」の話や、平野啓一郎さんが唱える「分人」にも通じる。(mayuさん、RUIさん)
・(エンディングノートを書こう、みたいな話ではないけれど)死と向き合うことには正解がない。
・「人間は強い、美しい」ではなくて、ダメな部分をちゃんと書いているのがこの本の好きな所。(はらさん)

かなさん(11)→太宰治『斜陽』新潮文庫

【滅びの美学】

◆本の紹介、帯の解説
〈1〉1ヵ月前から紹介しようと思っていた、太宰治の長編小説。戦後の没落貴族が、力を失う過程を描く。全体を通し、滅びの美学を感じられる作品。

〈2〉家を売っても、病気になっても、「美しい」まま生涯を閉じた母親。一方、そのままでは生活できなくなった娘(主人公の女性)は、既婚者である作家への恋も経て「下品」になろうとする。

〈3〉”恋、と書いたら、あと、書けなくなった”(新潮文庫 P.35)
この短い文章に、主人公の苦しみが表現されている。恋愛に限らず、誰にも言えないことってあるなと思った。

◆雑談、こぼれ話
・本を紹介しようとしたかなさんのスマホで、ポケモンGOが勝手に起動。おそらくきりぎりすポケモン、トカトントンが飛び出したに違いない。
・言いやすい悩みと、そうでない悩みがある。共感してもらえることは、SNSでも吐き出しやすいけど…
・『斜陽』は、手紙の形で書かれた部分が多い。手紙には、普段の会話では言えない、心に留まっていた内面が出るのかも。

こーせーさん(33)→森博嗣『勉強の価値』幻冬舎新書

【つまらない勉強 つまる勉強】

◆本の紹介、帯の解説
〈1〉仕事の準備から読書会まで、色んなことが広い意味では「勉強」。じゃあ、自分はなぜ勉強するのかな?と思い、読み始めた本。

〈2〉元々の帯にある「子供が勉強しないのは、大人が勉強していないから」は、僕も常々感じていた。押し付けられる勉強はつまらない。勉強によって自分の現在地を知り、幅を広げられるということを、伝えていかなければと思う。

〈3〉大人になってからの方が勉強は楽しいと思う。この本にも書いてあるけれど、子供には褒められるためではなく、自分のために勉強してほしい。そして僕も「勉強して良かったな」と思えるように、結果を出していきたい。

◆雑談、こぼれ話
・「勉強」っていう字面が良くないのかも。強いられるような感じがして…(mayuさん)→濁点がない方がいい(はらさん)学び?(RUIさん)まなぴ?(ふっかー)
・動機付けはあってもいいけれど、報酬が目的になっては良くない。その辺りは『「学力」の経済学』(中室牧子著)が参考になるかも。(mayuさん)

ふっかー(41)→若松英輔『悲しみの秘儀』文春文庫

【本が読めないほど悲しい日に、思い出す言葉たち】

◆本の紹介、帯の解説
〈1〉日本経済新聞の連載コラムが書籍化。随筆家・詩人である著者が、1章につき1冊の本を引きながら「悲しみ」と向き合う。登場する本の書き手は、宮沢賢治・須賀敦子・プラトン・ゲーテなど多彩。

〈2〉〈読むことは、書くことに勝るとも劣らない創造的な営みである〉〈頁を開かずとも「影響」される本はある〉…メインテーマは悲しみだが、一種の読書論にもなっている。

〈3〉今は好きな本も、悲しい時は読めなくなるかもしれない。そんな時に、この本の言葉が支えになればいいなと思います。

参加してくださったみなさん、本当にありがとうございます!!

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ふっかー復活委員長(Book Fair読書会)
Book Fair読書会共同主催/第28期JPIC読書アドバイザー/『ふっかつラジオ』パーソナリティー