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ZOZOSUITだけじゃない、ファッション業界の進化

先日スタートトゥデイが発表した「ZOZOSUIT」は、ファッション業界とはまったく縁のない自分の周りでも、大きな話題になっている。

しかし、ここ数ヶ月のあいだに、ZOZOSUIT以外にも、ファッション業界に革命を起こすような驚くべきニュースがあったことを記憶しているので、ここで併せてまとめておく。

<目次>
1.  スタートトゥデイ  ZOZOSUIT
2.  アリババ  AIスタイリスト
3.  Amazon  AIファッションスタイリスト&デザイナー



1. ZOZOSUIT

まずは、話題のZOZOSUIT。
身体の寸法を瞬時に採寸できる、ボディースーツだ。ユーザーは、着用してスマートフォンをかざすだけで、採寸データがとれる。

発表と同時に無料配布の一般予約を開始しており、ZOZOTOWNアプリ内の全体ランキングでも1位になるなど、すでに多くのユーザーが期待しているのがわかる。

これは、ファッションECの普及において、ユーザー側から見て大きな障壁になっていた、"サイズ感への懸念" を払拭する打ち手となる。企業側から見ても、サイズが合わないことで発生していた分の、返品率が下がることになる。

さらに、既製品よりも高価格帯である、オーダーメイド市場が拡がる可能性もある。現在公式上でComing soonとなっている、ZOZOオリジナルブランドについても、このサイズデータを活かした製品生産が期待される。


ZOZOSUITの、ティザーも含めた宣伝、そして無料配布という戦略は、現時点では大成功のように思う。そして、見た目が非常に近未来的でワクワクするのも、話題になった要因のひとつだろう。これが灰色の単なる全身タイツみたいなものだったら、ここまで話題にならなかった気もする。「これ洗濯できるんだろうか…」といった素朴な疑問は、ひとまず置いておく。

<参考>
・公式サイト:http://zozo.jp/zozosuit/



アリババ AI スタイリスト

11月11日、中国アリババの「独身の日」セールのニュースは、日本でも大きく取り上げられた。その裏側で、アリババは、AIを活用した最新テクノロジーの検証を行っていたという。

ショッピングモールの試着室に専用スクリーンを設置、試着室に持ち込んだ衣服に埋め込まれたセンサーを認識して、そのアイテムと合いそうな他のアイテムを探し、組み合わせの提案を映し出すのだ。
提示された商品が気に入れば、スクリーン上でサイズを選択し、そのまま店員に持ってきてもらうことができる。

これは、「服を選ぶ」「スタイリングする」という行為を、ユーザーが効率的に行うための取り組みである。企業側から見ても、購買行動の促進に繋がる。

現状では、これは実店舗への訪問動機の強化であり、オフライン小売業界を盛り上げるための施策とされているが、いずれはECでもできるようになるだろう。

<参考>
・MIT Technology Review(会員限定)
https://www.technologyreview.jp/s/62751/alibabas-ai-fashion-consultant-helps-it-set-a-new-singles-day-record/



Amazon AI ファッションスタイリスト&デザイナー

Amazonは、プライム会員向けに、気になった衣服をオーダーして必要なものののみ購入できる(つまり試着ができる)「プライム・ワードローブ(Prime Wardrobe)」というサービスを始めている。

さらに、音声アシスタントAlexaを搭載したカメラ付きデバイス「Echo Look」のアプリを利用すれば、ファッションに対するアドバイスをもらうこともできる。

また、あまり知られていないかもしれないが、Amazonは、独自のファッション・ブランドを展開している。
そして、ファッショントレンドを見つけ出したり、特定のファッションスタイルついて学習し、類似スタイルの新しいアイテムを生み出すアルゴリズムの開発も、進んでいる。

これにより、ソーシャルで話題になった商品をベースにレコメンドを行うなど、トレンドを反映した仕組みの導入もできるようになるし、なにより、AIのファッション・デザイナーが誕生することさえなる。


<参考>
・engadget
http://japanese.engadget.com/2017/04/27/amazon-echo-look/
・Techcrunch
http://jp.techcrunch.com/2017/06/21/20170620amazon-prime-wardrobe/
・MIT Technology Review(会員限定)
https://www.technologyreview.jp/s/53595/amazon-has-developed-an-ai-fashion-designer/



まとめ

ここしばらくの、オフラインのファッション業界事情を振り返ると、GAPやユニクロ、ZARAなど、企画・生産から小売までを一貫して行う、SPA(Specialty store retailer of Private label Apparel)と呼ばれる業態が台頭していた。

そもそもこれには、
・製造主導のサプライチェーンから店頭起点のデマンドチェーンシフトし、消費者ニーズやトレンドとらえやすくなったこと
・一貫して請け負うことで、リードタイムが短くなったこと
というようなメリットがあった。

これと同様の動きが、いまオンラインECで起こっている。

さらに、このデマンドチェーンの起点が、単なるリアル店舗の購買活動でなく、オンラインのログや、詳細なユーザーデータ、世界のトレンド情報に拡がることで、さらに多くのユーザーニーズに応えることを可能にしているのだ。


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