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ソーシャルワークに必要な体験の言語化とメタ認知について

本記事は、2020/4/7に福祉関係法人を対象に行なったワークショップ(ws)の内容についての補足になります。

本記事の目的は以下の2点になります。

・wsに参加できなかった人たちに内容をシェアすること
・記録に残すことで、参加者の振り返りの機会を確保すること

以下、解説していきます。

ワークのおさらい

当日は下記の流れで、「体験→体験したことを振り返る→チームで語る」をベースとした『体験の言語化』の学習サイクルを身につけることを目的に、「悪い聞き方」と「良い聞き方」のロールプレイワークを行いました。

①まず、最大3人1組に別れ、①話し手②聞き手③①②のやりとりの観察者役を配役し、参加者にそれぞれ交代で演じる。

②このとき、聞き手は「悪い聞き方」「良い聞き方」の順番で、それぞれ自分が主観的に思う「悪さ」「良さ」に基づき、相手の話を聞く。

③その後、ワーク中にどんなことが起こったか同じグループで話し、「何を悪い/良いと感じたか」について個々の体験を言語化し、全体に共有する。

『体験の言語化』の目的

本ワークの目的でもあった『体験の言語化』については、早稲田大学での同名の講義実践を参考にしました。

『体験の言語化』の目的としては次の3点が挙げられます。

・体験したことを自らの内面に自覚化する
・自覚化された内容を他者に的確に伝えるために整理し、言語化する
・単に内面の思いを言葉にするだけでなく、それをグループ(チーム)の共通目的に押し上げ、他者を納得させて実践化する
(『体験の言語化』p.10より引用)

ソーシャルワーカーの背景課題

前年度、今回wsを行った法人内のソーシャルワーカーたちと協力し、システム図を用いて彼らの課題の背景について探索しました。

下図は、ソーシャルワーカーの諸課題について、システム図を用いて図式化したものの一部です。

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当該法人はいわゆる介護中心の福祉施設であり、「生活相談員」としてのポストも数に限りがあるため、ソーシャルワーカー(図内「sw」表記)として働くまでに時間がかかり、その間に働く意欲が失われる環境下にありました。

この課題については当該法人特有のものではなく、書籍『ソーシャルワーカーのジレンマ』の中でも実際に働くソーシャルワーカーたちのジレンマ(課題意識)としていくつか言及されています。

「体験→振り返り→グループで語る」の『体験の言語化』プロセスを繰り返し行うことで、ソーシャルワークの時間でなくても、働く中での諸体験をソーシャルワークの視点から捉え直す機会が増えることで、ソーシャルワーカーの自信や承認につながり意欲がなくなる環境に歯止めをかけられるか?という仮説の元、本ワークを実施しています。

『体験の言語化』とメタ認知

また、『体験の言語化』と同じく参考元としたWSDの講義においては、『体験の言語化』に通じる概念として「メタ認知」が取り上げられます。

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「体験している自分」「(体験の中で)印象に残ったこと」「(印象に残ったことから)学んだこと」を振り返ることで、無意識の意識化=気づきにつなげることが学習者には大切とされています。

自分にとっては当たり前だった環境から気づきを得ることで、考えるきっかけになり、行動するきっかけを得ることにもつながります。仮に、困難な環境に身を置いていたのなら、ルーチンと異なる行動により変化が起きれば、自身のQOLが上がる可能性が高まります。

逆に気づきが得られなければ、システム図が示したような自身の環境に気づかず、知らないうちに意欲が削がれ困り続けることになります。

ソーシャルワーカーはクライアントの環境要因にアプローチします。「クライアントの置かれた環境は何か?」を考える力を育てるためにも、本プロセスは有効であると考えます。

最後に

ワークの最後に、次回までに取り組んで欲しいこととして下記の宿題を出しました。

「次回のwsまでに、業務の中で体験した悪い聞き方/良い聞き方を記録し、それがどんな体験だったか、何を感じたかシェアしてください」

介護現場ではクライアントワークから、上司の面談まで、働く日常に「聞くこと」が散りばめられています。「相手の聞き方」から始まり、「自分の聞き方」にまで目が向くと学び深い次回につながると思います。

体験の言語化、メタ認知などのキーワードから、「自分自身を俯瞰してみること」が本ワークにおける肝であることを示しつつ、今後も本テーマを様々なワークで体験できるような仕組みづくりを行っていきます。

【そのほか参考書籍】


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