広里ふかさ(ひろさと ふかさ)

短歌をやっています。(2017.8-)/ 日本経済新聞歌壇、読売新聞歌壇、毎日新聞歌…

広里ふかさ(ひろさと ふかさ)

短歌をやっています。(2017.8-)/ 日本経済新聞歌壇、読売新聞歌壇、毎日新聞歌壇などに投稿しています。NHK全国短歌大会近藤芳美賞(連作)(2018-2020年3回入選)。 2023年「美ら星の歌賞」(石垣市・南の島の星まつり)受賞。

マガジン

  • 今までの投稿入選作(新聞歌壇など)

    新聞歌壇(日経、毎日、読売)やNHK短歌などに投稿して、入選した作品の記事をまとめました。

  • 短歌結社誌「かりん」2022年度掲載作品

    短歌結社「かりん(歌林の会)」に掲載していただいた作品です。 2022年2月に入会、4月号から2023年3月号までの掲載作です。

  • 短歌結社誌「かりん」2023年度掲載作品

    短歌結社誌「かりん」2023年4月から2024年3月掲載作品

  • 短歌連作(入選作品)

    複数の短歌を同じテーマで構成したものです。いまのところ、近藤芳美賞に入選(受賞ではない)した15首連作が3つあります。

最近の記事

  • 固定された記事

こんにちは。広里ふかさです。

多くの方がたくさんの作品を発表されている中で、今日は、このページを訪れてくださって、ありがとうございます。 広里ふかさ ともうします。 ひょんなことから2017年の夏から、短歌を始めました。それまでの二十年くらい(二十代のころは)、他人の趣味、、と思っていたものが、いろいろな物事のタイミングで、不意に目に留まり、自分の趣味になったという経緯はすこし不思議なものです。 「ひろさと ふかさ」は筆名です。その昔、学生のころだったか、いろいろペンネームを考えた結果、なるべく透明

    • 『かりん』2024年4月号掲載作品

      さやさやと北風に鳴る欅たち澄んだ季節の潮目にふれて 閉じ込めたむかしの自分についた嘘 放してやれば薄荷の吐息 飛び立った乗れない翼を思うより次に来たのに乗ればよいだけ 血と汗の返却本が山と待つ試験期間の大学図書館 書架をみる遠くのほうから近くまで漁師が海をながめるように 「こんばんは」アプリの表示が告げる夜カーソル瞬き入力を待つ ※2024年3月下旬、かりん には退会届を提出しました。 今まで多くのことを学ばせていただき、ありがとうございました。 (歌稿は既に送っ

      • 『かりん』2024年3月号掲載作品

        夕暮れは画面の中に冷たくて月が浮かんだ手のひらの空 背伸びした鋭くきゃしゃな鳥のあし かかとの高い靴からぬけて  水圧の強いホースがいうことを聞かないような性急(はや)すぎた恋* デバイスの先に感じるあなたとは側でなくても見つめあうよう あの人はこう この人はこう、さてと そういう私はいったいどうか 昼休み苦い思いに傷ついたひとが立ち寄るコーヒーショップ *: かりん4月号「前月号の十首 Ⅲ欄」にて鹿取未放氏の選をいただいた。

        • 『かりん』2024年2月号掲載作品

          平日の続きにむかえた誕生日 準備をしない年越しのよう さくさくと紅いベリーのタルト食み話しはじめる姪っ子のこと アールグレイ香らせながら頷いて瞳は飾らずまっすぐ笑う コロナ禍をこえて六年ぶりの時間(とき)私の決めたこれからのこと 気が付けばガラス越しにさす陽は強く席を空ければ待つ人もいて じゃあまたと自転車を押す明日からはお互い静かに自分を生きる

        • 固定された記事

        こんにちは。広里ふかさです。

        マガジン

        • 今までの投稿入選作(新聞歌壇など)
          8本
        • 短歌結社誌「かりん」2022年度掲載作品
          12本
        • 短歌結社誌「かりん」2023年度掲載作品
          12本
        • 短歌連作(入選作品)
          3本

        記事

          2024年 入選短歌のまとめ(年内更新中)

          陽当たりの良い長椅子で待っている電子カルテの故障した朝 (日経歌壇 穂村弘先生選 2024.1.6) 暮れはじめ輝きを増すビルの窓ひとつひとつが街の細胞 (日経歌壇 三枝昻之先生選 2024.1.20)

          2024年 入選短歌のまとめ(年内更新中)

          『かりん』2024年1月号掲載作品

          ゆびさきの選択ひとつが異なれば今とは違う七年後がある 偽物がフォローしてきて見せる夢まがい物でももしやと思う デパートで働く女性の靴を見るきちんとしながら立っていられる 私にもすてきなところはあるけれど今日はひかりが当たらなかった* まだ知らぬ理想みつけて悔しくて悲しくなるからあなたを見ない オルガンの音色が過去に連れていく微睡む耳に優しいバッハ * : かりん2024年2月号「前月号作品鑑賞 Ⅲ欄」にて黒木沙椰氏のコメントをいただいた。

          『かりん』2024年1月号掲載作品

          『かりん』2023年12月号掲載作品

          休養でそとの緑と風があり誰とも決めない待ち合わせをする 十階のグラスの中の自分軸どこかでゆれる私の望み 八月のまだ許される白い服まとって夜がすこし延びてる 琥珀には閉じ込められた虫の影そのまま凍るむかしの鼓動 秋風のベンチにかけて本を読むひとときだけの季節をめくる* 活字では通り過ぎてた数行の真実(ほんとう)に気づく木漏れ日の下 * : かりん2024年1月号「前月号作品鑑賞 Ⅲ欄」にて貝澤駿一氏のコメントをいただいた。

          『かりん』2023年12月号掲載作品

          『かりん』2023年11月号掲載作品

          受け取った電話はすこし遠い声久しい響きに時間が色づく 交差点 右折できずに回り道窓の景色は遠くしずかに 取り壊しすんだ空き地の空が見えかすかに青みが深くなってる クーラーの結露かなしく見上げれば東京メトロの想い出ぽとり テラスから眺めたオフィスの通行人横顔だけを魚のように 金曜の夜美術館は混んでいて ひそかな熱を集める宇宙

          『かりん』2023年11月号掲載作品

          『かりん』2023年10月号掲載作品

          大きめの消しゴムがよく消してゆく書き込みされた本の傷跡 差し出してお気持ちだけでとかわされる宴会芸のような瞬間 使えないちから此処では持て余しやっぱり咲ける場所を求める 世の中に多くの色があるなかでいっときだけでも光らせたい色 映し合う二重の虹の大きくて淡いひかりは夢の広さで パシャパシャと顔に浴びせる雪肌精ほのかに甘く夏がはじまる

          『かりん』2023年10月号掲載作品

          穂村弘さん「現代短歌ノート二冊目」に短歌を引用していただきました。

          『群像』の2023年11月号(リンクは文末)、穂村弘さんの連載する「現代短歌ノート二冊目 #037 何故、どうして・その2」中の一首に、以下の歌を取り上げていただきました。昔、日経歌壇に入選した歌が、また、活字になって紹介してもらえるとは、とても光栄なことで、本当にありがとうございます。 なぜかしら結婚していく男たち私の次にできた彼女と/広里ふかさ さて、しかし、実は、この歌は、いろいろ目立ちやすいため、放っておくと邪推を書かれて過去にひと波乱あり、苦労したこともありまし

          穂村弘さん「現代短歌ノート二冊目」に短歌を引用していただきました。

          『かりん』2023年9月号掲載作品

          新緑の乾いた風が吹き込んで夕焼け色の薔薇の花咲く 次々と要らなくなった本を抜くこころの窓に風が舞い込む 濃紺の明けてゆく街見やりつつ あなたがいたらと思うまどろみ 見おろしたビルの谷間を渡ってく薄墨色の鳥の淋しさ あの頃は彼が一番好きだった それより好きな人を待ちのぞんで ときどきは一冊もない部屋で寝るそういう自分が「本」かもしれない

          『かりん』2023年9月号掲載作品

          石垣島「南の島の星まつり2023」にて「美ら星の歌」賞(最優秀賞)をいただきました。

          このたび、沖縄県石垣市で行われた「南の島の星まつり・美ら星(ちゅらほし)の歌短歌コンテスト」で、一番いい賞をいただきました。350首近くの応募があったそうで、まさか自分の歌が、その一番よい賞にとってもらえるとは思っておらず、予想以上の結果が出てうれしいです。 お知らせのお電話をいただいたときは、さいしょ、何かもっと下の、、たくさんある10~20首くらいの枠だったら入るかもしれない、とは思った部分もあったので、その辺にはいったかな? と思って、お話を聞いていたら、「副賞で東京

          石垣島「南の島の星まつり2023」にて「美ら星の歌」賞(最優秀賞)をいただきました。

          『かりん』2023年8月号掲載作品

          教会の花壇に咲いたチューリップ 花束みたいで歩み止め見る 金曜にたのむ梅酒のソーダ割り 下げた頭の回数ぶん、泡* 写真とる音がひびいて感動がこの絵にあると展示室(へや)に伝わる ゴーガンの明るく揃った筆捌き百年むかしのひかりを留めて** かきつばた観に来てみれば根津の庭つらぬく風に緑ざわめく 青空を溶かしたようなキュラソーに南の海を思い出す夏 *: かりん9月号「前月号の十首 Ⅲ欄」にて齋藤芳生氏の選をいただいた。 ** : かりん9月号「前月号作品鑑賞 Ⅲ欄」

          『かりん』2023年8月号掲載作品

          『かりん』2023年7月号掲載作品

          実際は動かないままバーチャルに吸い上げられた無邪気なこころ ひとさじの残った夢は掬われてヨーグルト色 朝のひかりに 忙しさ惑星直列レベルだと書いてきた友 ボロネーゼ食む 訊ねたいことはあるけど今はまだ林檎並べるような週末 望まずに貴方に向かうまなざしが私の軸を取り戻すとき

          『かりん』2023年7月号掲載作品

          『かりん』2023年6月号掲載作品

          同じ月みてた仲間の暮らし聞く 人それぞれに「たいへん」がある あいにくと今日は成果がないけれど必ずいつか底力になる オムレツとまるでだし巻き卵なら負けても確かに納得がいく きらわれた私の香り強すぎて だけど味方は見つけてくれる ちょっと待て 私の世界を守らせて あなたの「正しさ」一歩さがって* 悩んでも心の窓はあけておく何かを変えるものが飛びこむ *: かりん7月号「前月号作品鑑賞 Ⅲ欄」にて畑彩子氏のコメントをいただいた。

          『かりん』2023年6月号掲載作品

          『かりん』2023年5月号掲載作品*

          ギャラリーを初めて借りる一週間 旅するようにチェックインする パネル貼る白い壁でも真っ直ぐに巻き尺吊るし高さを測る 休店のとびら閉じれば貸し切りの私の色を並べる時間 会いに来たその事だけでも感謝して話す時間の与えるちから 立ち上がりギャラリーを観る 友だちが報せてくれる私のかたち 手土産をくれたこころに囲まれて春へと向かうひかりの在りか *「かりん集」欄に掲載していただきました。  今年2月下旬に開催した個展の情景を表現したものです。

          『かりん』2023年5月号掲載作品*