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絵本「どんぐりかいぎ」の紹介と評価

評価

娘:☆☆
ママ:☆☆☆

読んだ目的/きっかけ

本絵本は、HMV&BOOKSの「秋に読みたい福音館書店の絵本」のページで見つけました。本絵本は、私が重宝させていただいている「かがくのとも絵本シリーズ」の絵本であったこともあり、「どんぐりたちが何を会議するのだろう?」と興味を持ったため、読んでみることにしました。

ママの感想

どんぐりの木たちは、秋になるとたくさんのどんぐりを落とします。すると、森の動物たちがどんぐりを食べ、さらには冬の間の食べ物として、地面に穴を掘ってどんぐりを隠します。しかし、欲張りな動物たちは自分たちが食べる分以上のどんぐりを埋めておくため、春になると、動物たちが食べなかったどんぐりから芽が出ます。こうして、どんぐりの木と動物たちはお互いに支えあって生きていました。しかし、食糧が豊かであることは動物たちの増加につながります。その結果、どんぐりの木と動物たちの間のバランスが崩れてしまい、動物たちがどんぐりを食べ尽くしてしまい、新しいどんぐりの木の芽が出なくなってしまいました。困ったどんぐりの木たちは「どんぐり会議」を開くことにしました。

本絵本は、大人の私がとても興味深く読ませていただきました。先日、『ぽっとんころころ どんぐり』のあとがきを読んで、どんぐりの木には「なり年」と「不なり年」があることを恥ずかしながら私ははじめて知りました。
しかし、「なり年」と「不なり年」の存在を知った際にも、「ふーん、そうなんだ。いろいろあるんだな」と思っただけで、「どうして『なり年』と『不なり年』があるのか」ということについては、考えもしませんでした。
重ね重ね恥ずかしい限りです…

本絵本では、どんぐりの木と動物たちの「支えあいのバランスをとる方法」として「なり年」・「不なり年」が存在するという理由があげられていました。ただ、インターネットで調べると、「なり年」・「不なり年」が存在する理由については諸説あるようでした。けれども、私は本絵本で説明されていた「なり年・」「不なり年」が存在する理由について非常に納得しています。とても説得力のある内容だったと思っています。上から目線の感想を大変失礼いたしました。

本絵本は、物語文と説明文の合の子のような絵本でした。「説明文」は子どもには難しい印象があるので、本絵本には、物語文的な要素があったため読みやすくなっていたと思います。それでも、本絵本の内容は幼稚園児の娘には、だいぶ高度で難しい内容だったと思います。

しかしながら、娘は「どんぐりは、木の『種』であること」、「どんぐりを埋めておくと春になると芽が出ること」、「どんぐりは動物たちが埋めておいてくれること(食べるためにどんぐりを埋めたけれど忘れてしまうことがあること)」などを、これまでいくつかの絵本で読んですでに知っていたため、「すごく難しくて全然わからない」ということはなかったように見受けられました。むしろ、本絵本は、この秋に読んだ「どんぐりに関する絵本」の知識を総動員して読むべき「まとめのお話」だったように感じました。

娘は難しい本絵本のお話をしっかり聞いていたように、親バカな「ママ」には感じられました。特に、食糧難により、動物たちが死んでしまう様子を描いた場面については、真剣な表情で興味を持って読んでいるようでした。最近の娘は、「死」について関心があるように見受けられます。しかしながら、私にとって「死」を扱うことは難しく… この点については、少しずつ向き合っていきたいと思います。

本絵本は、どんぐりの「なり年」と「不なり年」に関する興味深い見解が示されている、物語文と説明文の合の子のような絵本でした。幼稚園児には難しい内容のため、「どんぐりに関する知識」を多少増やしてから読んだほうが良いように感じました。

子どもとはなす:どんぐりの木と動物の関係

本絵本の冒頭、「どんぐりの木が動物たちがどんぐりを食べる様子をうれしそうに見ている」という趣旨の描写のあと、その理由が説明されていました。当該部分を読んだあと、娘が絵本に書かれた内容を理解できているか確認をするべく、下記の質問をしてみることにしました。『いもいもほりほり』を読んだ際に思いましたが、意外と子どもは「論理/理屈」で説明されている部分について、それが簡単な内容であっても、わかっていないことがあるようです。そのため、上記部分については、娘がしっかりと理解することは難しいだろうという印象もあったため、「一緒に確認をする」意味も含めて、娘と「はなす」点として扱うことにしました。

「娘ちゃん、動物たちがどんぐりを食べる様子を、どんぐりの木たちがうれしそうに見ていたのはどうしてだったかわかった?」
「えーっと、あれ…?」

私の質問に対して、説明を試みようとした娘ですが、「話そう」とした途端、わからなくなってしまったようでした。そんな娘に下記の「助け舟」を出してみることにしました。

「動物たちはどんぐりを食べる以外にも何かしてくれていなかった?」
「えーっと、埋める?」
「そうそう。動物たちはどんぐりを埋めてたよね。それで、動物たちは、埋めたどんぐりをどうするんだっけ?」
「食べる」
「全部食べるの?」
「少し残す」
「そうすると、食べなかったどんぐりはどうなるんだっけ?」
「芽が出る!」
「動物たちは、冬用の食べ物にどんぐりを埋めるけど、全部食べないから春になると動物に食べられなかったどんぐりから芽が出るんだよね。だから、どんぐりの木たちは、動物たちがどんぐりを食べる様子をうれしそうに見ていたんだね」

上記「はなし」は難しい内容だったと思います。それでも、娘は娘なりにしっかりと考えてくれたとママは思っています。
親バカですが、娘は頑張りました!

子どもとはなす:どんぐりの木たちの気持ち

森のなかに動物たちが増え、どんぐりの木が落としたどんぐりが食べ尽くされてしまうようになってしまいました。その結果、新しいどんぐりの木の芽が育たず、どんぐりの木たちはすっかり困ってしまいました。そこで、「どんぐり会議」を開いたどんぐりの木たちは、「もうひと踏ん張りやってみる」ことにしました。その年の秋、どんぐりの木たちは、「力の限り頑張って、今までで一番たくさんのどんぐりを落としました」。しかし、動物たちは「ますます数が増えて」いたため、「埋めたどんぐりを冬の間に一つ残らず掘り出して食べてしまった」そうです。「年取ったどんぐりの木たちの気持ちも知らずにね」。当該場面について、娘に下記の質問をしてみることにしました。

「どんぐりの木たちは、どうしてほしかったのかな?」
「わかってほしかった」
「何を?」
「自分たちの気持ち」
「どんな気持ち?」

娘が最初に答えてくれた内容は、私の質問に対する「答え」としては妥当なものです。しかしながら、私はとしては、「動物たちにわかってもらいたいどんぐりの木の気持ちの内容」を答えてもらいたかったので… 私の質問の仕方が良くなかったことを反省しました。反省をしたうえで、下記のとおり「はなし」を続けることにしました。

「どんぐりの木たちは、動物たちにどうしてもらいたかったんだっけ?」
「埋める?」
「何を?」
「どんぐり」
「そうだよね。どんぐりを埋めて、それでどうしてほしかったんだっけ?」

またもや私の問いかけに娘は窮してしまいました。やはり、「説明文的な文章の理解」はまだ難しいようです。物語のほうが、「自分のこととして想像がしやすいためわかりやすい」と私は、自分が子どもだったころに思っていました。娘の状況を踏まえ、下記の「助け舟」を出すことにしました。

「どんぐりの木たちは、動物が埋めたどんぐりを全部食べていいって思ってたっけ?」
「残してほしい」
「そうだよね。どんぐりの木たちは、たくさんどんぐりを落とすから、その代わりに、動物たちにたくさんどんぐりを埋めてもらって、全部食べないで残してもらいたかったんだよね。そういうどんぐりの木たちの気持ちを動物さんたちはわかってくれていなかったんだよね」

娘にとっては難しい「質問」だったようですが、何とか私が求めていた「答え」にたどり着くことができました。娘は途中で投げ出すことなく、頑張ってくれたと思います。娘にはまだ難しいとは思っていますが、少しずつ本絵本のような「説明文」的な絵本も今後、扱っていきたいと思いました。


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