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【オメガバース小説】犬のさんぽのお兄さん【第119話】

【地方都市×オメガバース】オメガでニートの園瀬そのせあずさは、T中央公園を散歩中に謎の長髪イケメンアルファ(ダサい臙脂えんじのジャージ姿)に出会う。その瞬間、ヒートが起きて運命の番だと分かり——!?

※このお話は18歳以上向けです。


 そうしてあっという間に五月五日、こどもの日がやって来た。京一郎は何故だか朝から張り切って料理しているから理由を聞くと、「こどもの日、すなわちあずさの日だからな」と答えたので憤慨した。けれどもぐにそんなことは忘れて、バラエティ番組を観ながらギャハハと笑っていたら、キッチンから良い香りが漂って来たので見に行った。
「おっほっほぅ。タルタルチキン南蛮にトンテキ、それからほうれん草と鮭のポテトグラタン……何だ京一郎きゅん、俺を益益ますます肥え太らせる気か!?」
「肥え太っている自覚があって良かった。いや実は、ストレス解消に料理しているんだ。だから思い切り作り過ぎた」
「えっ、ストレス解消? もしかして俺が何でもぽいぽい床に投げ捨てるからストレス溜まってんのか?」
「何でもぽいぽい床に投げ捨てるのは今すぐやめて欲しいが、そんなことでストレスが溜まっている訳ではない」
「じゃあ何だよ?」
 京一郎は真剣な顔でタルタルソースに使う玉葱たまねぎをみじん切りにしながらそう答えたから、俺は首を傾げた。すると彼はボソッと「このところお預けだからな……」と呟いたので合点がてんがいった。
成程なるほど、欲求不満を料理で解消するとは! 流石モテ系女子、京一郎きゅん!」
「俺はモテ系女子じゃない。しかし、女子力が高いのは認めよう」
「へええ、そんなにえっちしたかったのなら、早く言えば良かったのに!」
「言ってもどうにもならないだろう……って何をする!!」
 俺はすたすた寄って行くと「よっこらしょ」と言って屈み、京一郎の部屋着のズボンを引き下ろした。すると彼は逃げようとしたが、ソレに触れたら「あっ」と声を上げて大人しくなった。
「エロいな……妊夫が台所で夫のモノを……」
「ムホホ、AVエーブイ顔負けだろ」
ふたいな。ちょっと萎えた」
「おおうい!!」
 京一郎は料理を中断して、俺の口の愛撫を受けていた。彼のモノは大きいから顎が疲れるのだけれど、沢山料理してくれたお礼に出血大サービスする。
「あずさは意外に良い嫁だな……最初は何も知らなかったのに、破廉恥テクニックをどんどん覚えた」
「京一郎きゅんだって童貞だった癖に! っていうか『破廉恥はれんちテクニック』ってパワーワードだな……」
 俺は口淫する合間に、京一郎の言い草に突っ込んだ。するとはあはあ息を荒げた彼が「胎内なかに挿れたい……」と呟いたから、「それだけは我慢してくれよ!」と頼む。
「うっ……」
 それから肉棒をちゅうと吸って先端をれろれろ舐めてやると、遂に絶頂に達した京一郎が小さくうめいて発射した……。

 そうしてスッキリした京一郎は、いつにも増して手際良く調理したから、午前十一時過ぎには食卓にずらりと料理が並んだ。箸を手に「ウッホホーイ!」と叫んで臨戦態勢に入っていたら、京一郎が呆れ顔で「料理は逃げないから、落ち着いて食べろ」と言った。
「ンン〜、やっぱタルタルチキン南蛮はうっめぇなあ! トンテキも……京一きょういちん◯んよりずっと美味い」
「肉と同列に語らないでくれないか。今度は齧られそうでゾッとする」
「流石に齧ったりはしねぇって! インポになったら俺が困る」
「インポ……お下品発言が止まらないな」
 美味しい料理に舌鼓したづつみを打ちながら、阿呆なやりとりをする。テーブルの下にはぽん吉が寝そべっていて、寿司のおもちゃをガジガジ齧っている——これ以上に完璧な世界なんて無い。
「そういや、りょーちゃんが男の子だったら、破魔弓はまゆみとか五月人形とか、買わんといかんのやな」
「そうだな。思い切り高級なのにするぞ。金が余っているからな」
 俺は京一郎の台詞せりふにちょっと呆れたが、ぷっと噴き出すと「そんな風に庶民の気持ちが分からない、滅茶苦茶めちゃくちゃ嫌味な金持ちアルファでも好きだぞ、京一郎きゅん!」と(例によって)独創的な愛の言葉を囁いた……。

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