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短文バトル第9回「靴」その下駄、待った。

作務衣を着ていた頃、靴を捨てて下駄に乗り換えた。
取材にもその恰好で行った。
当時自衛隊の背任事件で揺れていたNEC本社に作務衣で乗り込んだ時、警備員に止められた。下駄が凶器に当たるというのである。
どうするか検討するというので待っていたら、私たちの前を厚底の靴を履いた女子高校生の群が歩いて行った。間が悪い感じになり、結局、下駄のまま通してもらうことができたが、履物が問題になったのはあの時が唯一だった。

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