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てんやの徹底した省人化戦略。

 昼食を食べに「てんや」に入った。
 店の外でチケットを買う。スマホでてんやのホームページを探し、クーポンのページにあるQRコードをかざすと自動的に50円割引される。
 チケットには番号が書かれており、調理場所の前には電光掲示板がある。番号が表示されたらお客がお盆の料理を取りに行く。お茶ももちろんセルフである。
 生ビールもジョッキが用意してあり、セルフとなっていた。
 食べ終わったら、食器は返却棚に返す。
 セルフで徹底し、人件費を浮かせているようだった。
 調べてみると、調理もオートフライヤーを開発し、誰でもおいしいてんぷらが揚げられる環境を作っているようだ。
 私が若かった80年代あたりからみると、夢のような店作りだ。だいたい昔はそんなに簡単に外食はできなかった。店も少なかったし、お金もなかったし。外食はハレの日のイベントだった気がする。
 てんやの省人化、安い値段でてんぷらが食べられるという意味ではユートピアだし、働く機会がなくなっていくという意味ではディストピアなのかももしれない。

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