論理的文章を書く作法

 大人の3条件を提示し、何歳から大人と認めて欲しいかとその理由。大人と子供の境界線は何よって決まるか。400字程度で記入する課題を出した。

 みんな一生懸命書くこと書くこと。本当に熱心に取り組んでくれる。300人近い人数の文章を読むとさまざまな考えがあることに驚かされる。文章の基本的な書き方をまずは教えた。分かりにくい文章の共通点がいくつか判明したので、ここでまとめさせてもらう。

分かりにくい文章の特徴

①1文がとても長い。どちらが分かりやすいか明白である。

 私はケーキが好きで、よく買い物に行くのですが、やっぱり寄り道をして買い物もしてしまい、買い物も好きで、さらに映画を見るのも好きなのです。

私が好きなものは3つある。一つ目はケーキである。二つ目は買い物で、寄り道をよくする。三つ目は映画を見ることである。


②接続詞 ~だが、また そして などが多い。

とくに、「また」と「あと」という接続詞は分かりにくいです。

私はコーヒーが好きです。また、ココアも好きです。

私はコーヒーが好きです。あと、ココアも好きです。

また、あと、という接続詞は後からいくらでも文章を追加することができる「文章追加製造マシーン」です。文章の構造を読み手側にゆだねる接続詞ともいえるでしょう。

私が好きなものは2つあります。一つはコーヒーです。もう一つはココアです。こちらの方が読み手側の負担が少ない。

③抽象語で済ませてしまう。

抽象後は便利で、人間が人間足るのはこの言葉があるからといえる。だが、一方で、漠然としすぎていて、聞き手や読み手と共通認識を作ることが困難な場合もある。特に教育業界の言葉にはこの言葉は非常に多く、言葉の定義をしないまま使われる言葉が多く困る場面が多い。例、学力 学習 記憶 など

こういった言葉を早稲田大学教授福澤一吉さんは著作の中で「理論語」と「観察語」という科学哲学者ノーウッド・ラッセル・ハンソンの言葉を引用して紹介しています。

 今回の小論文課題の中でも多くの抽象的な言葉、すなわち理論語が登場してきました。自立、自律、責任、精神的世界、生活力など。便利な言葉ですが、相手に何を伝えたいのかが不明瞭ですね。だから、こういった言葉を使う場合は、必ず使う条件と範囲を明示しないといけません。具体的な言葉に置き換えるともいえるでしょう。自立という言葉であれば、自分で朝6時に起床できること。自分が生きていくためのお金を稼ぐことができること。など、頭の中に映像が浮かび上がるくらいの表現まで落としこめればいいです。


偉そうなことを書いていますが、実際私自身も日常生活で論理的思考について普段は考えていません。今日の夕食がローストポークである根拠を3つ挙げなさい。なんてやっていたら疲れてしまいますから。学問の世界ではこの思考は常に持っておいた方がいいですね。最後に新聞の社説を「事実」「主張」「根拠」に色分けして線をみんなで引きました。これは大変盛り上がりました。この活動は継続的に取り組みたいと思います。面白い実践があれば、教えてください。

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