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2023年はベストコンディションで挑む OL#77張 リャンユッ

アスリートにとって、いつかは訪れる引退の時。すべてを出し切り、やりきったと思って競技を終えるのは、多くのアスリートが目指す終着点ではないでしょうか。

2022年シーズンが始まる前に「もしかしたら今年が最後になる」と、引退が頭の片隅にあったという張。しかし、終盤に納得のいく結果を残すことができず、「悩んだけど、やると決めました」と、9年目を迎える2023年シーズンも挑戦を続けることを決意しました。

このままでは終われない。そう思わせたのは、2022年シーズンの終盤でした。11月のシルバースター戦で首を負傷したことをきっかけに、調整が上手くいかず、ライスボウルの舞台では1プレーの出場にとどまり、「最後の最後がよくなかった。出し切れなかった」と悔いが残っているのです。

努力に無駄なんてない

2022年シーズンは「ここ数年の中では、1番調子が良かった」という張。振り返ると2017年シーズンはスターターとしてフル出場し日本一に貢献。しかし、その後、足首を負傷。手術を経て復帰したものの2018年シーズンはローテーションでの出場にとどまった。同時期に自分の強みを増やそうと、体を大きくすることに着手。狙い通りウェイトアップを果たしたものの、それまで持ち味だったスピードが影をひそめてしまいます。

2019年のジャパンXボウルでは、ユニホームを着ることができず、「試合が始まる前は『早く終わらないかなぁ』って後ろ向きな気持ちでしたが、フィールドで躍動するチームメイトを見て『なんで、あの中にいないんだ』って、いちばん泣いたシーズンでした」と、どん底を味わったといいます。

その後も試行錯誤は続き、一番ウェイトが重かったという2020年シーズンは「試合に出れば肉離れを起こしていた」というほど、やりたいことができないもどかしい時間が流れます。

状況が変わり始めたのは、2021年シーズンでした。体重を絞ったことや新たなトレーニングを取り入れたことで、「最初の1歩が早く出るようになった」と調子が上向き、4年ぶりにスターターとして試合に出場します。

そうして挑んだ2022年シーズンは、ここ数年の中で1番のコンディションに仕上げ、試合にも出場。手応えもつかんでいましたが、終盤で怪我を負ってしまい、またもシーズンを通して活躍することができなかったのです。

2018年から2022年までの5シーズンは、体重を増やした時期もあれば、絞り過ぎも経験し今では「無駄な努力だった」と振り返る張。確かに遠回りにはなったかもしれませんが、やってみなければわからないこともたくさんあります。

今では、「ようやく自分のプレースタイルにベストな体がみつかった」と、トレーニングを再開。そして、「試合に出るのが目標ではなく、レギュラーを取ることを目指したい」と力強く話します。

「正直、辞めることも考えたけど、1プレーしか出られなかったライスボウルのことを考えると、中途半端だなって。今は『やると決めたので、やる』、それだけです」。

これで終わってもいい、そう思えるシーズンにすることができるか。9年目を迎えるベテランは、覚悟を持って2023年シーズンに挑みます。

Vol.2に続く