
【 What=経営方針 を How=現場が仕組み化する②「人事DX」】
”俺のベネフィット”が目的の人事。1993年以来、成果主義による目標管理制度の下で運営されてきた富士通の人事部門は、400もの社内システムを構築・運用してきました。社内システムの成果アピールは評価が得やすい一方で、個別最適化によるシステムの複雑化や効率低下が問題となっていました。
1000人規模のコストセンターである人事部門をプロフィットセンターに変革することが課題です。人事と書いてヒトゴトと読むところから人事給与業務向けトータルソリューションHITKOTが名づけられましたが、富士通の本業やリスキリングを、当の人事部門が他人事として経験ないままでいては、運用において、Job型人事制度の成熟が進みません。
従来の富士通は、プロダクトアウトの製造や御用聞きシステム開発を主軸として、技術者の稼働時間で売上・粗利を算出する人月商売を原価構造としてきました。これを人事施策にあてはめると、時給1,400円のインターンシップとの単金差で、社員が生計を立てるといった発想になりかねません。富士通のパーパス実現に向けて、全体最適を考えることが極めて大切です。
全社DXプロジェクト(FUJITRA)は、富士通社員12万4千人をWell-beingに向けて改革するために、経営層のトップダウン方針を基に、現場の社員たちが横連携して仕組み化や制度化を進めています。そのスタートにあたり、プロジェクトの共通認識として、一橋大学名誉教授の野中郁次郎先生の知識創造理論が採用されました。特にSECIモデルが共通概念として使われました。
共感・信頼をベースとしたマネジメントへ、富士通が実践する新たな評価制度とは(2021年12月6日)
変革期においては、共感と信頼を基にしたマネジメントが不可欠であり、これがイノベーションを生み出します。野中郁次郎先生は、富士通の「Fujitsu Way」が掲げる挑戦・共感・信頼の価値観は、現代の経営において重要であり、企業の持続可能性を高めると高く評価。そして、新評価制度「Connect」は、生き方を問う評価制度として、持続可能性とパフォーマンスの一貫性を重視している点で優れているとしています。
新評価制度「Connect」を導入し、パーパスドリブン経営を推進することで、社員一人ひとりの成長と組織全体の活性化を実現し、富士通が持続可能な未来を築くために必要な基盤を確立する。共感と信頼を基にしたマネジメントとイノベーションの重要性を強調し、富士通を世界のリファレンスとすることを目指しています。
富士通は、データドリブン経営の実現を目指し、グループ全体で自らの変革に取り組む「OneFujitsuプロジェクト」を推進しています。培った変革の知見を導入支援に活かしていくこのプロジェクトの目的は、グローバルなシェアードサービス構築を通じて、標準化されたデータとシステムの活用による経営の最適化です。
人事DXの現在地:SuccessFactorsで実現する「人事業務改革」と「人事DX」