漫才論| ⁶⁴M-1では同じタイプのネタを2本そろえたほうがいいの❓
M-1では,マヂカルラブリーやミルクボーイや霜降り明星のように,「同じタイプのネタ2本で勝負したほうが優勝しやすい」というイメージがあるかもしれませんが,これは間違いだと思います
一番優勝しやすいのは,「まったく違うタイプの爆笑ネタ2本」です。同じタイプのネタだと,「またこのパターンか」という印象を与える分,1本目より笑いの量が減ることが多いからです。ただ,これをそろえるのは至難の業なので,結果的に同じタイプの爆笑ネタ2本を持っているコンビが優勝しているだけだと思います
ミルクボーイの場合
2019年のM-1は,ミルクボーイは同じタイプのネタ2本,かまいたちはまったく違うタイプのネタ2本でした。優勝したのはミルクボーイなので,やっぱり「同じタイプのネタ2本で勝負したほうが優勝しやすい」と思われるかもしれませんが,ミルクボーイは「なんとかギリギリ優勝できた」という印象を受けました
結果だけを見ると,1本目も最終決戦も「ぶっちぎりでミルクボーイ」というかんじがします。確かに1本目は,歴代最高得点もたたき出したことからも分かるように,ぶっちぎりでミルクボーイが1位でした
しかし審査員の様子を見るかぎり,最終決戦は決して「ぶっちぎり」ではなかったと思います。「ミルクボーイか,かまいたちか」でかなり悩んだ挙句,ミルクボーイに入れた審査員が多かったという印象を受けました
実は,これには「好み」も関係していて,「もう1本同じタイプのネタがみたい」と思う人もいれば,「別のタイプのネタがみたい」と思う人もいます。後者の場合,1本目と同じくらいおもしろいネタだったとしても,「また同じパターンか」という気持ちが乗っかる分,1本目と同じようには笑えません。結果,「おもしろいんだけど同じパターンだからな〜」というマイナス要素になってしまいます。ミルクボーイの2本目でこういう感覚になった審査員も結構いたのではないかと思います
ブラックマヨネーズとチュートリアルの場合
過去の大会においてはほかにも,ブラックマヨネーズやチュートリアルなども,同じパターンの爆笑ネタ2本で優勝していますが,漫才に関してこの二組は,M-1後に苦労しているという印象があります。同じパターンだとみているほうもだんだん飽きてきて,あの頃のような笑いが起こらなくなってしまうので,限界を感じるのかもしれません
同じパターンのネタであれだけの爆笑をとってしまうと,全然違うタイプのネタをやるうえでもそれが足枷になるような気もします
結 論
「同じタイプのネタ2本で勝負したほうが優勝しやすい」と考えて,あえて同じタイプのネタを2本そろえる必要はないと思います。だからといって,「まったく違うタイプの爆笑ネタ2本」をそろえるのは簡単なことではありませんが・・・
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