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伝播する熱量

僕は兵庫県加古川市の街なかで月一回、学びの場を主催している。
MANABIYA Kakogawa
僕が加古川に生み出したイベント。
なぜ始めたのか。自分の振り返りも兼ねて少しづつ書いていこうと思う。

#04  //////////

地域の人たちと自分たちが使うことを考えたまちづくりを進めている中で臨んだ2週間の研修。
まちづくりのトップランナー達に触れた僕は何かが変わっていくような気がした。

・行政研修とは思えない研修
その研修は行政主催の研修で日本各地から都市に関わる行政さんが集まっていた。そして世間知らずな僕はその講師陣の凄さを知らずに臨んでしまった。清水儀次さん、島田洋平さん、西村浩さん、嶋田洋平さん、馬場正尊さん、大島芳彦さん、松村秀一さん、木下斉さん、岡崎正信さん、泉英明さん、加藤寛之さんなど・・・・。今から見るとなんちゅう凄い人たちであふれた研修なんやと思う。この研修に参加して何も持って帰らないほどもったいない事は無い(笑)
よくある研修、聞こうと思っているけれどついつい寝てしまう。聞いていてもワクワクない。でも、この研修は違った。2週間、脳がフル回転。寝ている暇がないとはこのことだった。

僕は思った、新しいことを知る楽しさは自分の世界を広げる。想定が少なければ、得たものとのギャップの大きさに身震いし、急激に自分をアップデートできる。明日の自分に対して希望が持てれば、動き始めることができる。
そして、実践をしている人の声、常にバッターボックスに立ってバットを振りまくっている人たちのヒリついた経験からくる自分の言葉。その言葉にはホンモノがあり言葉の一つ一つに熱量ある。

逆に今までの土地区画整理事業はどうだったんだろうと思う。僕も何回か会社主催の研修で話はしたが、結局はどこかの基準をありきたりな話としてしまっていたんじゃないかと思う。業務の中でヒリつく自分がいるにもかかわらず、借りてきた言葉でお茶を濁す。研修を受ける人たちも想定通りの内容で退屈、そしてその知識は明日の自分にとって有益かどうかわからない。研修という時間から新しい何かを生み出そうとする気概が僕には無かった。

・志と算盤
たぶん、このフレーズを聴いて「それそれ!」っていう人いると思う(笑)
まさに研修の中で一貫した想いを形に表す言葉だと思う。
官民連携、PFI事業、コンセッション方式、包括民間委託、僕もある程度言葉は知っていたし、よくあるフレーズとして「民間活力を導入して行政サービスを向上させる」「民間の知識を取り入れて費用の削減を図る」と言ったものがある。その前に、行政自らがサービスの向上してるの?民間活力って言いながら単にアウトソーシングしているだけじゃないの?それって非正規雇用の促進じゃないの?って思っていた。
でも、ここでは違う。公民連携とは民間が行政の施設や仕組み使いながらサービスを行うことで新たな価値を生み、その価値でサービスを循環させる。そして、民間が活動しやすい場所をつくるのが行政。それはお上である行政と請負の民間ではなく、行政と民間が対等な関係で地域の実情に応じたサービスを提供する仕組み。既存の価値をそのまま民間に委託するのではない、何かを加えることで新たな価値を見出す事が大事だと思う。民間いじめではなく民間が主役となり、行政はその黒子として支え、民間が動きやすい枠組みを作っていく。それこそが、これからの公民連携だと思った。
そして、その民間に必要なものが志。

「パブリックマインド」

それは地域に対し情熱と責任を持った熱量の高い人たち。そんな熱量の高い人たちだからこそ、手段主義に陥らず本当に必要なサービスをスモールスタートでこつこつ積み上げる漸進主義。まさに、これからのまちづくりの本流がそこにあった。
研修では簡易なリノベーション案件を作る実践があった。チームで考え、チームで行動し、チームで発表する。初対面でどうまとまっていくのか分からないチーム、でも徐々に打ち解け、自分たち言葉で話をし、自分たちが出来ることを自分たちの意思でやるチーム。そんなチームが作った案、中間報告でドキドキしながら講師に見せると、コテンパンにやられ、案の練り直し。だが、その言葉には本当にサービスを望んでいる人は誰か?その人を想像して事業を作る。つかう人の視点にたった熱い想いがあったと思う。

熱量の高い講師と日本全国から集まってきた熱量の高い研修生と過ごした2週間、「なまくら」だった僕の体は座学と案件づくりで徐々に鍛えられていったと思う。

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