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マナーの限界

先日読んだ『「しがらみ」を科学する』という本が面白かったので、その流れで山岸さんの著書を何冊か読みたいと思い見つけた。特に、1999年本ではあるが『安心社会から信頼社会へ』というのはコロナ禍において必要な視点であり、課題がまさにそこにあると思っているので、またamazonして届いていないが読むのが楽しみだ。

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なお、この本は、社会心理学者である山岸俊男(*しがらみ〜の著者)さんと行動生態学者の長谷川眞理子さんの対談で構成されている。

この本を読んでいるタイミングでちょうどtwitterでマナーのあり方に関する投稿をしていた。トレイルマナーに通じることが本の主題ではないのだが、マナーを考える機会になる下りがあったので紹介しつつ、マナーについて考えたい。


また、僕はトレイルワークを通じて、トレイルマナーの啓発や情報発信をしている。これに関しては一緒に活動する仲間や活動エリアの主たる管理者の逗子市の意図を踏まえ僕なりに噛み砕いて発信をしているので意見の違う方やそんなの気にしてくてもいいだろう。という考えもあると思っている。

ただ、地権者がいる場所で僕らはあくまで利用者である以上、その場所のルールには従うべきだし、貢献をしながら魅力的なフィールドを作り楽しむ利用者が増えれば、地権者の理解は進むだろうし信頼が獲得できると思っている。必ずしもどこの場所でもこの方法でうまくいくとは限らないし、時間も手間もものすごくかかる。けれど、そのステップを大切にした方が長い目で見て次世代にフィールドの継承はしやすいと考え僕は実践している。


一筋縄では解決できない「秩序問題」

 例えば、マンションのゴミ出し問題なんかがそうですね。月曜日と木曜日が燃えるゴミを集積所に出すというルールを作る。他の日に生ゴミを出したりすると、悪臭を出したり、カラスがゴミ袋を突いて散らかすので、決めた日の朝に出しましょうというわけです。

 でも、そんなルールを守らない人が必ず現れる。

 というのも、この場合はルールを守らない方がメリットがあるからです。つまり、朝の忙しいときにやるのは面倒だから前の晩にゴミを出しちゃおうとか、ゴミを分別するのは面倒だからまとめて出してしまおうとか、そういう人が出てくるわけですね。ルールを守らないことで得をする。

 さらにそこで厄介なのはルールを守らないで好き勝手にやる人が出てくると、それまでルールを守っていた人たちの中には「自分たちは損をしている」と感じるようになり、同じようにルールを破る人たちが現れてしまう。

 こういう具合に「みんなでルールを守った方がいいのはわかっているのだが、ルールを無視して行動した方がみんなの得になる」という状況をどうやって解決するのかというのが秩序問題です。

 ゴミ出しルールを守らない人が出たとき、普通だったらどうするか。まずは「ルールを守ってください」という貼り紙を貼る。しかし、そんなことでルールを守るようになるとは思えないから、見張りをつけたり、あるいは規則を破って出されたゴミの中身を調べて「犯人」探しをやる…といったところでしょうか?でも、そんな面倒なことを自主的にやってくれる人はあまりいそうにありませんね。それに犯人がわかったところで罰金やペナルティを課すことは難しい。実行的な策はあまりない。(中略)

 そしてこうした秩序問題は社会のあらゆるレベルでも発生する。例えば犯罪や脱税の取り締まりも同じです。(P.167~169から引用)


マナーのありかたを考える

今回の引用では「ルール」ないし「秩序問題」として触れられているが考え方としては共通する部分が多いにあると思う。

トレイル利用において、実際は通行可能かもしれないけれど、工事やその他の理由で通行止めと管理者が言うのであれば、控えねばならない。もし、手間であっても管理者に働きかけを手順を踏んで行うことで、自分だけでなく他の利用者の利益にもなる。

また、例えばトレイル復旧にあたり予算やマンパワーが理由だと分かれば協力し、それを機に当該地域と良い関係を構築するチャンスだ。

マナーは人それぞれ物差しがあるし、危ないと感じる基準もそれぞれだ。だから、一概にどうすればいいか?と言い切るのは難しい。また、マナーを過剰に振りかざすことでマスク警察のようになるのもどうかと思う。

残念ながら、こうすれば解決!と言うのは残念ながらないと思う。
けれども、改善する策はある。

「自分ごと」にする事だ。

「マナー」を大切にしないとフィールドが使えなくなる。「マナー」を守ることで、次世代にその環境を残したり、自分だけでなく友達も楽しめる。インセンティブはそれぞれだし、はっきりいって強制力がない。強制力がないからこそ、北風と太陽が暖かな日差しで旅人のコートを力づくでなく脱がせたようにどちらかというとマイルドな方法になる。そう考えると啓発グループやムーブメントを作ることもありかもしれない。けれど、ムーブメントはさるものだ。もしやるのであれば、必ずセットでゴールを設定し、その期間に定着させる必要がある。

こうした取り組みでは継続性は絶対に欠かせない。一過性のものはメディア受けもするし、キャッチーであるが、人の心には残らない。この辺りは本当に難しい。だから、取り組むには気概が必要だ。いい事だよね、面白そうだね。そう思ってくれる人たちは間違いなくいる。そう思ってくれる人をいかに巻き込み続けるか?と同時にコツコツと続けられるか?息の長い活動に育てていく必要がある。

僕が逗子で行っている活動は5年、6年目に入ったものが多い。これからも細く長く有言実行の人でありたい。


【今後の予定】
8/7(土)ランナー、トレイルランナー向けテーピング講習会 Part.2

8/28(土) Duo Espoir 20周年記念リサイタル
9/26(日)第6回NAGANO Jr TRAILRUN in 富士見高原
10/10(日)トレイルシンポジウム2021

10/17(日)第13回TOKYO Jr TRAILRUN兼-U15ジュニアトレイルランチャンピオンシップ
10/31(日)第7回YAMANASHI Jr TRAILRUN in 武田の杜 

11/7(日)逗子トレイル駅伝2021兼U-12ジュニアトレイルランチャンピオンシップ

「RUNNING ZUSHI」
逗子市内池子の森自然公園内400mトラックを拠点にしたランニングチームです。
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2021-06-25 06.27.50のコピー


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