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「101匹わんちゃんストリート」の面白さ

 実は最近、ディズニープラスで配信されている「101匹わんちゃんストリート」というテレビシリーズを観ていたのだが、これがすごく面白かった。

 この作品は元々、ディズニーチャンネルで放送されていた作品で、タイトルから分かるとおり「101匹わんちゃん」を原作にはしているが、ロンドンが舞台で101匹のダルメシアンが登場するという部分以外、ほぼオリジナル設定で作られている。

 あらすじはこんな感じ。

 15匹の子犬を持つディランのママと、15匹の子犬を持つドリーのパパが一緒になり、さらに15匹の子犬が誕生。その上、レスキューシェルターの犬や野良犬を次々に家族に迎え、今では総勢101匹のダルメシアンが家族としてロンドンの家で暮らしている。忙しいパパとママに代わって兄弟の子守りを任されている年長のドリーとディランを中心に、子犬たちを巡る騒動や冒険を描いた楽しいコメディ・アドベンチャーシリーズ。
ディズニー公式ホームページ、ディズニーチャンネル番組一覧から引用 

 このように書かれているが、その記念すべき第1話は、この複雑な家族構成の説明は一切合財すっ飛ばし、主人公のディランが子守を手伝わせるために、下の兄弟が拾ってきた「ペット」の人間をこき使おうとするお話である。

 子供の頃は何度も「101匹わんちゃん」をビデオで観ていた僕は、このダルメシアン一家には飼い主がいるもののだと思っていたが、家に人間がいないのに生活が成り立っている上、全員が人間を「ペット」として認識しているのである。

 昔、TSUTAYAで借りた「わんわん物語」のブルーレイ特典で観た、ストーリーボード制作時にカットされたという、主人公のレディが犬と人間の立場が逆転した姿(その上、歩き方まで逆転している)を想像するシーンのスライドショー映像を観たことがあるが、まさかそれを、現代にこんな自然な形で観ることになるとは思いもしなかった。

 そんな第1話と可愛い絵からわかるとおり、この子犬たちがやらかす様々な騒動を、最近の海外アニメに多いオーバーアクションと顔芸、驚くほど素早い物語展開や「え!? ここで終わり!?」というオチをたまに付けながら、1話15分で見せてくれるので、とても面白い。

 ただ面白いだけでなく、犬を飼っている人ならわかるネタ、舞台であるイギリス特有の階級社会やロンドンの地域ネタ、イギリス舞台の映画やイギリス出身映画監督作品のパロディネタがふんだんにあしらわれている。
 そしてもちろん、ディズニーの作品であるため、先ほどの「わんわん物語」や原作となった「101匹わんちゃん」など、名作から引用したギャグや演出も盛り込まれており、ディズニーファンなら爆笑必須だ。

 と同時に、あらすじにあった複雑な家族構成は、説明セリフとして出てくることがほぼないのに、よく観ていれば、それがわかるように描かれている。
 先ほど言った、あの家族が人間なしでどうやって今まで暮らしてきたのか、なんで人間をペットだと考えているのかという疑問も、エピソードを観ていくうちにさりげなくヒントが明かされ、そのたびに、どうやって彼らが家族になったのかを想像させられるような物語構成になっているので、物語の考察ができる日本のアニメの方が好きだという人でも、とても楽しめるお話になっている。

 ディズニープラスでは現在、1クール分しか配信されていないが、本来は2クール分、全52話あり、「101匹わんちゃん」といえば有名な“彼女”も出てくるそうなので、とても楽しみである。

 皆さんも、この可愛いダルメシアンたちにハグされてみてはいかがだろうか?


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