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評価基準の意味

先日、ある企業様での人事制度改修ミーティングに参加しました。
同社様では、営業部社員の評価項目のひとつに、「上司の指示・アドバイスを受けながら、適切に〇・△他の販売活動を行う」という内容があります。〇や△は、取扱商品です。〇は主力商品です。△はこれまで販売実績がほとんどありません。この内容が、「自立して適切に〇・△他の~」など、該当する資格等級によって記述レベルが変わっていくイメージです。

この度多くの営業社員から挙げられた意見が、「△を評価項目から外すべき」という意見でした。△は同社様としてほとんど販売実績がなく今に至っていて、営業活動の中でも強調されていない、収益インパクトも全くない、よって△の文言につられて評価結果が影響を受けると不公平である、というのがその理由です。

この意見は、一見すると正しいように聞こえます。しかし、実は正しくないかもしれません。

私から問いかけたことは、下記でした。

・評価項目は、自社の理念・方針に紐づくものであるべき。自社の理念・方針として、営業活動で注力したいのは〇であり、△や他の商品は当面注力の対象外であるなら、その意見は正しいと思う。他方、本来は△や他の商品も営業展開していきたいが、実態がそうなっていないから評価基準から外すというなら、その意見は正しくないと思う。現状・実態から評価基準を導くのではなくて、あるべき姿・ありたい姿から導き出すべきである。

・仮に後者のほうだとすると、なおさら△や他の商品を評価基準としてクローズアップして日々の活動の一要素として認識すべきということにもなる。

社長の回答は、後者でした。
自社が提供したいのは、お客様のお困りごとの解決。その解決方法として、〇も△も他の商品もありえる。何が役立つかは、お客様・状況によって変わる。〇だけ、△が要か不要か、という話ではなく、〇も△もすべてが等しい営業ツールであり、必要。今のやり取りを聞いていて、△商材に対する社員の意識の低さがよく分かった。
それが、社長の回答内容でした。

実際、同業界でビジネスモデルのよく似た別の会社様でも、〇も△も販売されていますが、その会社様では△がそれなりの販売ボリュームとなっていて、お客様に買い求められています。今では、それなりに収益を支える存在にもなっています。そして、その会社様の社員の方と話をしていると、△の話がよく出てきます。

評価基準に言葉として入っているかいないかが社員を動かす影響力となり、結構な結果の差となって現れているというのを感じた次第です。人間は合理的な生き物という側面があります。自分にとって得する・評価されると感じられることには取り組むが、そうでないことには取り組まないものです。小さなことではありますが、基準や定義にはこだわってよいということでしょう。

<まとめ>
評価基準は、現状・実態から導くのではなくて、あるべき姿・ありたい姿から導く。

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