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発展する企業の事例から感じたこと

先週、地方に拠点を置く企業様で近年発展し続けている事例を2つ聞く機会がありました。コロナ禍の影響も受けてはいますが、打開の糸口を見出して戦略化し、事業拡張を続けています。
具体的にどのような企業戦略なのかはここでは触れられませんが、両社に共通する点を3つ感じました。

1.業界共通の困りごと・クレームの解決策を提案している

どの業界にも、以前から続いている商慣習、各社が共通して対応できていない難点、商品化・サービス化できていないことがあるものです。しかし、当事者もそれがわかっていながら、コスト面、技術的問題、人手の問題などで各社が対応できていないことが多々あります。これらは、業界共通の困りごと・クレームとなっている難題と言えます。

しかし、逆に言うと、その難題に対して今まで実現化できていなかった解決方法に取り組み、商品化・サービス化して対応できるようにした会社は、大きな社会貢献になるということです。その社会貢献の大きさは、莫大な先行者利益となって還ってきます。

上記事例の2社様は、業界も商材も異なりますが、業界共通の「手の届かなかった」問題に対して解決するためのシステムを提示したという点が共通していました。さらには、他の事業者や消費者が喜んでそのシステムに協力したくなる、協力の負荷がかからないという点も共通していました。このことは、どの業界・商材でも当てはまる図式だと思います。

2.社会的な視点に立っている

2社様とも、その解決方法によって社会がよくなるという主張が印象的でした。最近声高に叫ばれている、ESG(環境・Environment、社会・Social、ガバナンス・Governance)の、EとSのイメージです。2社様を取り巻く市場や関係企業が、EとSの視点に共鳴し、協力したくなる内容でした。

機関投資家も、たとえどんなに収益性が高くても、ESGを満たしていない企業は投資対象から外すと言い始めている社会環境です。今後は、その企業の事業が、どのような観点から社会性が高いと明確に説明できるのかが、様々な社外・社内関係者を好意的に巻き込みながら発展していくための大事な要素となるでしょう。

3.目的が明確である

上記2.とも関連しますが、事業の目的が明確に強力に謳われていることが印象的でした。これは、市場や社会ももちろんですが、社内外の社員・グループ企業など事業の関係者を巻き込む上で強力な武器となるでしょう。

事例のうち1社様は、(私は直接参加したことありませんが)定期的に行われるグループの総会では並外れた熱気が漂っていると聞きます。中小企業で古い業界であり、著名な投資家などが介在しているわけでもありませんが、「自分たちが日本を変えていく」という気概に溢れているそうです。

もう1社様は、先日直接訪問する機会がありましたが、私を含めた来訪者を見るやいなや、オフィス内にいる全社員(30人ぐらい)が一斉に自席から立ちあがり「いらっしゃいませ」と声を合わせてお辞儀をされました。(だからお辞儀をしましょうというわけではありませんが)そういう場面ひとつを見ても、統制の取れた、一体感のある社風であることは容易に伺えます。

最近「パーパス」という、聞きなれない横文字言葉が、各所で積極的に使われ始めています。「日本の人事部」の説明によると、「一般に「目的、意図」と訳される。近年、経営戦略やブランディングのキーワードとして用いられることが多く、企業や組織、個人が何のために存在するのか、すなわち「存在意義」のことを意味する。世界の先進企業においては、「パーパス」を明確に打ち出し、それを軸にしてコンセプト、戦略、社員の行動様式まですべてを統一する「パーパスブランディング」の手法を取り入れる動きが広がっている。」とされています。

米国のLinkedInの調査によると、「人々の生活や社会に対してポジティブなパーパスを掲げる企業で働くならば、給与が下がってもいい」と答えた人は全体の49%と、ほぼ半数を占めるという結果が出たそうです。そのうち「給与が1~5%下がってもいい」は20%。「5~20%下がってもいい」は19%。残りの10%は何と、「20~100%下がってもいい」と答えたということです。(「日本の人事部」サイト参照)

これから社会人となる世代では、こうした傾向は一層強まると言われています。自社は何のために存在するのか、在籍する社員は何のために働いているのか、その組織の存在意義を意味する概念である「パーパス」は、今後の事業を発展させる原動力となる「人に対する求心力」にする上で不可欠でしょう。

上記1.2.3.は、どの企業にも参考になる視点だと思います。

<まとめ>
社会的な視座を自社の事業目的として明確に位置付ける


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