オンライン化の今後

10月15日の日経新聞に、オンライン化に関する記事があり、目に留まりました。今後、オンライン化がさらに急拡大する可能性を感じた次第です。

ひとつは、1面の「金融機関の行政手続き 来年度に完全電子化」という記事です。
金融庁が、約1800種類ある銀行や保険、証券会社などからの申請や届け出を、2021年度中にすべてオンライン化するとあります。現在は、オンラインで受付可能な比率は8.8%のみで、9割超が未だに紙の書類で受け付けられているそうです。

IT先進国と言われるエストニアでは、金融関連も含めてほぼすべての行政手続きが電子化されていて、休日でも対応しているそうです。平日のみのアナログ対応が大半の日本とは、効率性において比べ物にならないでしょう。日本の社会や企業の生産性が他国と比べて劣っているという指摘が各所でありますが、オンライン化の遅れがその大きな要因のひとつであるのは間違いないでしょう。

ある企業で、銀行経由の振り込み手続きの承認者となっている役職者から、決済手続きを行うためのセキュリティシステムについて聞いたことがあります。大手銀行が発行した専用のカード機を使ってワンタイムパスワードを発行し、そのパスワードを同銀行の専用サイトに入力して振り込み承認を行うのですが、その専用サイトがInternet Explorerにしか対応していないそうです。つまり、マイクロソフトの(Internet Explorer の後続的位置づけである)EdgeやGoogle Chromeなどでは専用サイトが開けないということです。

2020年9月時点で、Internet Explorerのウェブブラウザシェアは日本国内で8.45%しかありません。世界では1.97%です。国内も世界もトップはChromeです(株式会社ウェブレッジによる公開データ)。大手銀行でも、マイナーで衰退しているブラウザでしか決済できないシステムという状態です。金融機関全体でのオンライン化のレベルは、世界に大きく後れを取っていると想像できます。上記記事で紹介された取り組みにより金融機関の手続きのオンライン化が進めば、こうした事象も過去の話になるのかもしれません。

記事のもうひとつは、「ネット通販 裾野広がる」です。ネットショッピングの利用世帯が、今年5月に初めて50%を超えたとあります。70歳以上の高齢者が世帯主の世帯でも、利用率が2割を超えてきたそうです。コロナ禍を機に初めてネットで買い物をする人が増えたことが大きな要因です。全体のうち、2人に1人以上、つまりはネットショッピングをする人の方が今年に入って過半となった、ということです。ネットショッピングを使い慣れた人にとっては、まだ使ってなかった人いたの?という感じでしょう。しかし、今年に入るまでは使っている人の方が少数派だったということです。

金融機関は、私たちの生活シーンに密着していて、そのインフラのあり方は私たちや社会全体に大きな影響力を持っています。その金融機関がオンライン化の流れを本格的に加速させる方針ということです。また、過半の人がネットショッピングを日常的に使う側に回ったということからは、各事業者が(実地・対面より)ネットショッピングのほうを消費行動の前提と捉え直す必要があるのかもしれません。

これらの内容からは、オンライン化、キャッシュレスが進まず、生産性も上がらないと言われてきた日本社会も、今後急速に変わっていく可能性が感じられます。私たちは、この環境変化の流れを想定して、事業活動のあり方を大きく見直していく必要があると言えるでしょう。

<まとめ>
今後、社会全体のオンライン化の流れがさらに加速する兆候が見られる。


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