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元日から「第4次産業革命と人事労務」について考えていたのでえらい

こんにちは、🍢ふじじゅん🍢です。

2019年何を頑張るかについて考えていたら、話が膨らみに膨らみすぎてしまいました。

なぜ自分は人事労務関連サービス、そしてメディアに携わるのかを考えるにあたり、「第4次産業革命、働き方改革時代の人事労務」について私見をまとめた次第です。

2030年頃「汎用型AI」の登場で職業代替が進む?

それでは本題です。いきなりなんですが、第4次産業革命等についてのお話です。

現代社会においてAIだなんだと言われておりますが、この「AI」について、来るべき第四次産業革命の目玉は、各所で言われているとおり2030年頃登場するであろう「汎用型AI」のことだと解釈しています。

駒澤大学・井上智洋准教授が、著書『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』をはじめ、様々な媒体で「雇用破壊」について論じていますが、「肉体労働」や「頭脳労働」に先んじて「事務労働」が代替されていくと目されます

これは先述の汎用型AIのみならず、2030年を待たずして特化型AIやRPA、あるいは既に普及しつつある業務効率化ツールが加速させていきそうだなと。

(気になる方は先ほどの書籍のほか、手軽に読める文献としてこちらの記事なども是非ご参考ください。| 「人工知能の経済学」視点で考える第4次産業革命 ―― 雇用なき経済成長と認知アーキテクチャ / Hitachi IoT Platform Magazine

日本の49%の職業がAIに代替されるという研究結果

更に、「2030年」というターニングポイントについては、3年ちょっと前のリリースですが、野村総研とオックスフォード大学のマイケル A. オズボーン准教授およびカール・ベネディクト・フレイ博士の共同研究結果において、以下のような推計結果を示しています。

“10~20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業において、それらに代替することが可能”
(出典:日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に ~ 601 種の職業ごとに、コンピューター技術による代替確率を試算 ~ / 株式会社野村総合研究所 2015年12月2日

僕の仕事と関連する人事労務にまつわる領域では、「人事係事務員」がこの内の職業としてリストに入っています。

厚生労働省が運営するハローワークでは「人事係事務員」について以下のように定義しています。

(抜粋)
企業を支える人材を活用するために、人事、労務、給与、福利厚生など社員の雇用管理に関わる事務を行う。
人事関係では、社員の採用、配置、異動、昇進、退職などの事務手続きを行う。経営計画などにもとづいて社員を採用し、本人の希望や適性などを考慮して配属先を決定したり、必要な能力を持った人材を中途採用したりする。定期的に人事異動を行い、昇進の決定をすることもある。
労務関係では、教育訓練や能力開発を行う。組織的に体系づけた教育訓練、自己啓発を主とした能力開発などを実施する。労働組合との折衝を行うこともある。
給与関係では、毎月の給与額を算出し、出勤簿やタイムカードなどの資料と照らし合わせて、間違いがないかどうか確認を行う。
福利厚生関係では、社会保険や退職年金などの事務手続きを行う。保養所や社員寮などの運営事務を行うこともある。
労働基準法などの法律にもとづき、従業員が最大の能力を発揮できるように心がけて、仕事をする必要がある。職務や業績などをもとに査定を行って能力に応じた賃金を支払う新しい賃金制度の導入など、これまでの人事制度を改革する専門的な能力を求められることもある。
(出典:人事係事務員 C252­01 / ハローワーク

ご覧のとおり「人事係事務員」は、身近な言葉でいうとまさに「人事労務担当者」ですと。

しかし、「職能代替」ではなく「業務代替」なのでは?

一方で、これらの調査結果については様々な意見で割れています。例えば『「AIで仕事がなくなる」論のウソ』(著者・海老原嗣生)という書籍では、「15年間でなくなる雇用はせいぜい9%」とされています。

そもそも「職業代替」については、これまで人々が担ってきた業務のすべてを代替するのではなく、その人々が担ってきた“タスクの一部”を代替するのではないかという議論もあり、人工知能学会会長の山田誠二氏(国立情報学研究所教授)は、以下のように語っています。

“AIはタスク単位で人間の仕事を代替するものの、全体の仕事から考えれば一部。人間の職業を丸ごと代替するとは考えにくい”
(出典:AIは「タスク単位」で人間の仕事を代替する、人工知能学会会長やNRIなどが議論 / 日経XTECH

つまり、“職業代替”ではなく“業務代替”と考えるほうが近しいのではないかと思います。

「業務代替」という視点からみた「これからの人事労務」

ここまでの流れを踏まえ、AIにとってかわられる可能性が高いと書かれていた「人事係事務員」もとい「人事労務担当者」について、“職業代替”ではなく“業務代替”という視点から見るとどうなのか?

まず、職務内容について改めて見てみましょう。

(抜粋、再掲)
企業を支える人材を活用するために、人事、労務、給与、福利厚生など社員の雇用管理に関わる事務を行う。
人事関係では、社員の採用、配置、異動、昇進、退職などの事務手続きを行う。経営計画などにもとづいて社員を採用し、本人の希望や適性などを考慮して配属先を決定したり、必要な能力を持った人材を中途採用したりする。定期的に人事異動を行い、昇進の決定をすることもある。
労務関係では、教育訓練や能力開発を行う。組織的に体系づけた教育訓練、自己啓発を主とした能力開発などを実施する。労働組合との折衝を行うこともある。
給与関係では、毎月の給与額を算出し、出勤簿やタイムカードなどの資料と照らし合わせて、間違いがないかどうか確認を行う。
福利厚生関係では、社会保険や退職年金などの事務手続きを行う。保養所や社員寮などの運営事務を行うこともある。
労働基準法などの法律にもとづき、従業員が最大の能力を発揮できるように心がけて、仕事をする必要がある。職務や業績などをもとに査定を行って能力に応じた賃金を支払う新しい賃金制度の導入など、これまでの人事制度を改革する専門的な能力を求められることもある。
(出典:人事係事務員 C252­01 / ハローワーク

先述の「事務」「肉体」「頭脳」の労働3区分でいうと、「事務労働」だけでなく、人間だからこそ担える非定型的な「頭脳労働」業務も多々あるんですよね。

もしこのうち「事務労働」をAIやロボット、業務効率化ツールなどが代替してくれるとしたら、空いた時間を生かして「頭脳労働」により注力できるのではないか、というわけです。

更に「AI」とまで言わずとも、大幅に業務効率化を促進するツールは、クラウドソフトをはじめ、ここ数年で続々登場しています。こと、ツールの台頭が遅れていた労務手続き・労務管理等の領域においては、裏を返せば効率化の余地が大きいのではないでしょうか。

この潮流は「仕事が奪われるピンチ」ではなく、むしろ「新たな価値をもたらすチャンス」だと考えています。

(もちろん仕事への向き合い方やモチベーションによって受け取り方は異なるので、意見は様々かと思いますが。)

第4次産業革命に先立ち「働き方改革時代」を牽引するのは人事労務ではないか

折しも生産性向上の文脈においては、柔軟な働き方や多様性を実現し働き方改革を進めていこうとする中で、経営戦略に基づいた人事戦略の策定・実行が求められると思います。

更には、2019年4月1日から順次施行される働き方改革関連法においても、勤怠管理の徹底や産業医との連携強化、有給休暇5日取得義務(および時季指定義務)、新法にあわせた労使協定や就業規則の見直し等々、担当者の負担が増大する可能性もあります。

もっと言えば、AI時代や人生100年時代の従業員のキャリアについて、抜粋したような配置計画や能力開発、人事制度改革などと向き合う必要も当然あるでしょう。何より自分自身のキャリアについても。

このような時代にあって、いかに定型的事務作業を効率的に遂行し、いかに自社課題に沿った人事労務管理の徹底を図れるかがカギだと思うのです。

つまり結論としては、人事労務担当者(に限らずだけど)の仕事は奪われない。むしろ第4次産業革命に先立ち「働き方改革時代」を牽引し、その役割は人材の多様化に比例して増していくのではないかと考えています。

おわりに

本稿の内容は、何かの正解や答えではなくあくまでも私見です。

この私見が、どう2019年の抱負に繋がるのかというと、自分の2019年の取り組みを考える上で、そもそも自分はなんのために「人事労務」と関わり、そして「メディア」という手段に携わっているのかを一度視覚化しておいたほうがわかりやすいなというところで、思考を整理した次第です。

その考察のもと、人事労務に携わる方々を後押しすべく、クラウド人事労務ソフトのマーケティングに携わっているというわけです。サービスをご活用いただくことで直接的に提供できる価値はもちろん、今後どのように人事労務と向き合っていくと良いのかというヒントや、間接的に得られる“その先の価値”も、オウンドメディアを通して伝えていきたいと考えています。


画像出典:ぱくたそ(©すしぱく)

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