藤井哲也 @PUBLICX CEO & SOCIALX Co-founder

株式会社パブリックX代表取締役|株式会社ソーシャル・エックス共同創業者|京都大学公共政…

藤井哲也 @PUBLICX CEO & SOCIALX Co-founder

株式会社パブリックX代表取締役|株式会社ソーシャル・エックス共同創業者|京都大学公共政策大学院|元地方議員|滋賀県出身びわこ好き|京都と渋谷・虎ノ門で仕事しています

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【社会課題解決先進国スウェーデン、デンマーク視察訪問レポート】 第1部 ゆっくりとした時間の中で生きる

1 カールスバーグビール醸造所跡地を活用したサステナブルなホテルデンマークの首都、コペンハーゲンの中央駅より西へ3駅進んだヴェスターブロ地区に巨大なカースルバーグ駅の姿がそびえ立つ。世界のビール市場において第4位のシェアを誇る「カールスバーグ社」の本拠地である。 北欧を巡る6日間の視察の旅の終わりに、カールスバーグビール醸造所を改装して生まれ変わったホテルに滞在した。ビール醸造所の面影を色濃く残す打ちっぱなしのコンクリート構造となっており、産業の息吹が隅々に刻まれていた。

    • 『コ・デザイン デザインすることをみんなの手に』(上平崇仁著、NTT出版、2020)を読んで。

      本書はデザインに関する新しい古典となりうる一冊じゃないだろうか。 実はもう数ヶ月前に読んだ本なのですが、読み終えた後、清々しい気持ちで本書を棚に置いたことを思い出す。 デザイン(デザイン思考)に関する本をこの数年、いくつか読んできたが、これほどわかりやすく、且つ深くまとめた本はなかったのじゃないだろうか。デザイナーではなく、ノンデザイナーの方でも読み進められやすい一冊でありながら、今後の思索を深めるのに最適な一冊だと思う。 デザインについて学びたい、知りたい、実践で使いたい、

      • 【社会課題解決先進国スウェーデン、デンマーク視察訪問レポート】 第5部 社会変革のための政策 ※おまけ記事

        本稿は、第4部までの視察報告とは一線を画し、北欧視察を自分なりに現時点で総括したおまけ記事である。単なる感想なので読み流してもらえたらありがたい!  1 「社会課題解決」から「社会変革」へ!?WINNOVAや、BLOXHUB、DDC、CIFSなどで頻繁に聞かれた言葉が、「社会課題解決」ではなく「社会変革」であった。課題解決はもちろん大事だが、課題を違う課題に紐付けたり、何が真の課題なのかを考えるなど、立体的に捉えていく必要があるのだと私は理解した。そのためには「社会変革のた

        • 【社会課題解決先進国スウェーデン、デンマーク視察訪問レポート】 第4部 労働生産性とウェルビーイングを両立する

          1 北欧の労働生産性とウェルビーイング日本は格差社会となっている。相対的に貧しい人が増えている。日本の労働生産性の低下はデータを見ると明らかであるが、その一端には人材育成ができなかった過去20年間の積み重ねがあるような気がしてならない。社会保障費も税金も上がり続け、ここに来て物価も急上昇。残念ながら日本社会において、日常の中に幸せを実感できる機会は減っているように思うのは私だけだろうか。 北欧諸国は幸福実感が非常に高いと言う。国連の持続可能な開発ソリューション・ネットワーク

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        【社会課題解決先進国スウェーデン、デンマーク視察訪問レポート】 第1部 ゆっくりとした時間の中で生きる

          【社会課題解決先進国スウェーデン、デンマーク視察訪問レポート】 第3部 北欧のイノベーション

          1 スウェーデン政府イノベーション庁(VINNOVA)とのディスカッション北欧諸国の生産性の高さは高い注目を浴びている。人口は日本に比べて小さくとも世界のイノベーションを牽引する大国なのだ。例えばスウェーデンはOECD38か国中第7位の一人当たり労働生産性を誇る。世界のマーケットのルールメイキングを担う米国が第9位、ドイツが第11位であることを考えると、スウェーデンがこの位置にあることは注目すべきである。 OECDのランキングを見ると、スウェーデンより上位にある第3位ルクセ

          【社会課題解決先進国スウェーデン、デンマーク視察訪問レポート】 第3部 北欧のイノベーション

          【社会課題解決先進国スウェーデン、デンマーク視察訪問レポート】 第2部 みんなで創る、より良い公共とウェルビーイング

          1 リビング・ラボとはリビング・ラボとは、現実の生活環境におけるオープンイノベーションのエコシステムであり、反復的なフィードバックプロセスを通じて、イノベーティブ且つ、持続可能な仕組みや事業、価値を生み出す取り組みのことである。欧州を中心に世界的に普及しつつある概念で、日本でも各所で実験的なエコシステムが作られつつある。   第1部で「デモクラシー・ガレージ」はデモクラシーのリビング・ラボだと書いた。つまり、そこに集う多様な人たちがそこで行われるディスカッションやイベント、ア

          【社会課題解決先進国スウェーデン、デンマーク視察訪問レポート】 第2部 みんなで創る、より良い公共とウェルビーイング

          これまでについて(2)

          もう何年前になるんだろう。 2003年に会社を作ったから、はや20年前。 京都リサーチパークの一坪オフィスに拠を構えて、当時の若者(就職氷河期真っ只中の人たち)の就労支援事業を始めました。 創業資金は鬼のサラリーマン時代に2年間で貯めた300万円。 まあ、信用も武器も商材も何もない中で、とりあえず想いだけで会社を始めたものですから、一ヶ月5万円のオフィス料や税理士顧問料1万円もかなりきつかった。一年目は無休・無給で働き続けてようやく立って売上高は70万円少しだった。

          これまでについて(1)

          雪を見て思い出すのは、真冬の朝の駅立ち。 雨の日も雪の日も朝の駅立ちを議員時代はやっていた。 駅立ちって、正直なところ労力に見合うほど次の選挙への影響ってないんですよね。実感として。朝6時半に駅に立とうとすると、前夜に地元懇親会でどれだけお酒を飲んでいても朝6時前にはスパッと起きていて、そこから駅へ。時々、ベストポジションに先客(先に来ていた他の議員とか)がいれば、気持ちは一気にダウン。その駅で一番いい場所って限られているんですよね。かといって帰るわけにはいかず、一応8時

          ジェームス・W・ヤング『アイデアのつくり方』(1988年・原著1940年)を読んで。

          本文は50ページほど。解説などを入れても100ページ。 この薄さの中にとんでもない知見が含まれている。 もはや、この分野での古典にあたる一冊だと思うが、私はこれまで巡り合うことはなかった。ふと、アマゾンで書籍を探索している中で本書を見つけ購入。 書いていることは極々シンプルである。しかし余計なことはほとんど書かれていない。もう80年も前に書かれているのに、いまだ多くの人が本書をバイブルにしていることも肯ける。本はボリュームが厚い=内容が濃いというのは完全に間違っていること

          ジェームス・W・ヤング『アイデアのつくり方』(1988年・原著1940年)を読んで。

          デイヴィッド・ピーター・ストロー『社会変革のためのシステム思考 実践ガイド』(2018年、英治出版)を読んで。

          タイトルにもなっているが、本書はシステム思考の実践ガイドである。 わたしはこの分野の知識がなく初学に近かったので、読むのに2週間ほどを要してしまった。しかし、課題を構造化して問題を捉えようとするときに、本書から、かなり有用な知識をインプットすることができると考える。 多くの社会課題や地域課題を生み出すことは、新たなブルーオーシャンの創造である。しかしその課題設定が間違っていたら、より大きな課題を生み出したり、単なる浪費に終わったり、社会的なコストを生み出すだけに終わることも

          デイヴィッド・ピーター・ストロー『社会変革のためのシステム思考 実践ガイド』(2018年、英治出版)を読んで。

          公的役割を担う民間人材に求められる経験、スキル

           ステークホルダー資本主義は、今後数十年間の基調的な概念となるだろう。  公共を巡って誰が担当するかは、大げさな話、有史以来長年にわたって議論が続いてきたが、ひとりの英雄が政治を取り仕切ることも、権威によって民衆を統治することも、政府が万人の闘争を統制することも、行政がすべての公共サービスを担うことも、グローバル化と情報化、民主主義が進展してきたなかで困難となってきた。  私たちはこの世界的にスタンダードとなろうとしている新概念を解釈し、一人ひとりにとって幸福感を得られる社

          公的役割を担う民間人材に求められる経験、スキル

          「公共サービス2.0」を実現するために。

           公共サービスとは、行政が住民に対して提供するもの。  これまでの常識。  そのために私たちは、高っかい税金を払っているのだ。子供たちが学校に通うのも、いざ病気になったら病院に通うのも、安心して日常を過ごすための警察や消防、救急なども税金で賄われている。道路整備や上下水道、公共施設なども税金が原資となっている。どれくらい効率的に、それらの公共サービスを維持、提供していけるかは、創意工夫のしがいがあるだろうけど、基本的に公共サービスは行政が担うもの。生まれた時からそれが当たり前

          「公共サービス2.0」を実現するために。

          瀬戸口航『「越境企業」のはじめ方』(2022年)を読んで。

          人の育成や就労問題は、私の興味分野であり専門分野で、ここ数年は「越境学習」「越境経験」に着目しています。京大大学院の時に研究したのもこの分野でした。 本書は、現在メインで携わっている事業にも関連する内容で、かなり面白いものでした。地域課題を解決することと、HR事業とをつなぐヒントが書かれているように思います。 「越境経験」は、越境する本人のキャリアアップや能力開発の効果はもちろん、多くの企業にとっても社員を外の空気に触れさせる機会、社会課題解決に取り組む経験は、自社の成長

          瀬戸口航『「越境企業」のはじめ方』(2022年)を読んで。

          滋賀県大津市真野の「2つの神田神社」(2) ※過去ブログ記事から転載(保存用)

          大津市北部の真野にある「神田神社」についての過去ブログからの転載記事の2つ目です。 ーーーーー 以前、「大津市真野について(4)~2つの神田神社~」という記事を書きました。この記事に追記する形で記事を書きたいと思います。  真野には2つの「神田神社」があります。一般的に「普門の神田神社(又は、上の神田神社)」と呼ばれる社と、「神田神社(又は、下の神田神社)」です。前記事で「下の神田神社」のかつての立地場所が、琵琶湖の波打ち際の下河原と呼ばれる地にあったということを書きま

          滋賀県大津市真野の「2つの神田神社」(2) ※過去ブログ記事から転載(保存用)

          滋賀県大津市真野の「2つの神田神社」(1) ※過去ブログ記事から転載(保存用)

          市議会議員をしていた時に、地元だった地域(滋賀県大津市真野)には、2つの「神田神社」がありました。歴史と由緒ある神社でした。過去ブログ(政治家ブログ)に記事を記載していましたので、保存用に転載します。 ーーーーーー 大津市真野には2つの神田神社があります。それぞれ「上の神田神社(普門神田神社)」と「下の神田神社」と呼ばれています。 子どもの頃から、なぜ2つの神田神社があるのか不思議に思っていました。 「神田(かんだ)神社」というからには東京神田の神田神社(平将門命などが祭

          滋賀県大津市真野の「2つの神田神社」(1) ※過去ブログ記事から転載(保存用)

          吉備友理恵・近藤哲朗『パーパスモデル 人を巻き込む共創のつくりかた』(2022年)を読んで。

          「パーパス」という言葉を最近本当によく耳にする。パーパス、つまり存在意義は、もちろん重要である。 では、パーパスはどのように使うべきなのか。どのような使い方があるのだろうか。それを具体的に記す書物はまだあまり世に出ていないように思われる。 本書は、どのように共創関係を「パーパス」を用いて作っていくのかを記した一冊である。 図解総研の近藤哲朗さんが共著者に入っているため、図解が豊富で、わかりやすい。本書では、「パーパスモデル」という一つの「パーパス」の使い方を紹介している

          吉備友理恵・近藤哲朗『パーパスモデル 人を巻き込む共創のつくりかた』(2022年)を読んで。